第28話 襲撃

「しゃちょ~、アレどうしよう?」

「何人だ?」

森で薬草を採取をしてる時、唐突に何かを聞いて来たヒルデさんに、社長さんが人数?を聞き返した。

アレって何? 何人ってどゆこと?


「三人組ね…」

「街からずっとか?」

「ええ」

ちょ、二人ともあたしの事を無視しないで下さい!


『社長さん、アレってなんですか?』

あたしは勢い余って社長さんの腕をガシッて掴んでしまった、ちょっと力が入っちゃったけどアーマー着てるから腕がもげたりとかしないよね?


「“コマンド”、対人レーダー作動」

ぴこーん、ぴこーん

『んっ、“れぇだぁ”に赤い点が三つ?』

なんか森から少し入った辺りに反応が…


「わたしの眷属ウルフが見つけたのよ」

「そいつらが街からずっと私達の事を尾行しているんだ」

『えーと、社長さんのお友達とかじゃないですよね?』

「“コマンド”集音マイク、指向性モード」

きゅいーん


『森の中でなら新人冒険者が行方知れずになっても魔物の仕業って事になっちまうわな…』

『男の方は金だけいただいたらぶっ殺して、メイドの小娘と年増女はどっちもかなりの美形だし、俺たちで散々可愛がった後で違法奴隷商にでも売り飛ばせばこっちもかなりの大金に…』

『久々の上玉だな、ぐふふ…』

遠くで悪事を相談してる声が聞こえる。


「なんて言ってる?」

『えーと、ヒルデさんの事を美形だけど年増って…』

ゴゴゴゴゴ

『わ、わたしが言ったんじゃないですよぉ!』

あたしが口を滑らせたとたん、ヒルデさんからスゴい殺気が!


「他にはなんて?」

『社長さんをぶっ殺してお金を奪うって…』

ズゴゴゴゴゴ

ひいっ、ヒルデさん、ま、また!


「あたしのしゃちょ~をぶっコロだなんて…」

ヒルデさん、目がマジ怖いです…


「盗賊認定して良さそうだな」

「しゃちょ~、あたしの眷属ウルフる?」

「賞金首だったならともかく、只の冒険者くずれとかだとこっちから先制すると正当防衛の証明が面倒だ、一旦襲わせてからの反撃だな」

※社長達を尾行している三人組はヒルデの眷属のアンデッドフォレストウルフに逆尾行されてます。


~・~・~


「おいっ、死にたくなければ武器を捨てて金と女どもを差し出しな!」

プロの盗賊ではなく、冒険者くずれの方だった。

冒険者ギルドでしゃちょ~に絡んできたスキンヘッド君だ。

後の二人は弓を手にした細身の男と短剣を装備した盗賊風の男だ。


「そんな事を言って、金を差し出しても殺るんだろ?」

「良くわかってんじゃねえか!」

シュッ

弓を手にした男がしゃちょ~に矢を放つ。

キンッ


「なっ、鎧通しが!」

通常の矢尻と違い、鎖帷子や板金鎧すら貫く細くて鋭い矢尻の付いた鎧通しの矢が鉄人アイアンアーマーのチタン合金製の胸部装甲に弾かれる。


「くそっ!」

短剣を手にした盗賊シーフが人質に取ろうとメカ娘へと走る。


『きゃあっ!』

バキッ

「ごふうっ!」

怖くて目をつぶったメカ娘が無意識に振り回したパンチが盗賊シーフにカウンターで決まる。


「ちっ、何やってやがる!」

スキンヘッド君がメカ娘を羽交い締めにしようとする。

ズシッ

「えっ?」

0,5tもあるメカ娘はビクともしなかった…


「触らないでっ!」

ぶんっ!

ボキッ

「ぐべっ!」

メカ娘がイヤイヤをしただけでスキンヘッド君の首の骨が折れた…


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