第14話 side メカ娘②
食事を終えると社長さんが土属性魔法で造ってくれた小屋に入ります。
「しゃちょ~、夜は冷えるから抱き合って暖め合いましょ♪」
灰色のローブの下からごそごそと毛布を出しながらヒルデさんが社長さんを誘います。
「なんだヒルデ、寒いのか?」
社長さんはヒルデさんから目を逸らしながら、土属性魔法で小屋の一角に小さな暖炉を造りました、空間収納のスキルから取り出した薪を暖炉に入れて火属性魔法で着火します。
パチパチパチ
暖炉のおかげで小屋の中が暖まってきます。だけど、暖炉の上から小屋の屋根へと煙突を造っている社長さんをヒルデさんが死んだ魚のような目で見ています、おかしいです、部屋は暖炉の熱で暖かいのに何故かヒルデさんから冷気が漂って来ます。
『あおーーーん』
んんっ、獣の遠吠えでしょうか、あたしはガラス窓から外を見てみます。
あれっ、今夜は二つある月が隠れていて星明かりしかないのに暗い外が良く見えます?
※スターライトスコープモード(増感)
んんーっ、森の木の陰に何か居るようですけど良く見えな…わっ、突然視界が緑色の濃淡に変わりました!
あっ、四本足の輝く光が何個か見えます。
※赤外線スコープモード(暗視)
「何か見えるか?」
社長さんが聞いて来ました。
『えっと、四本足の獣か魔物が、いちにー、四匹見えます』
「ヒルデの結界で野営地には入れないだろうが周りを彷徨かれるのもなぁ」
「丁度良かったわ、何かにストレスをぶつけたいところだったの」
ヒルデさん笑顔が怖いです、それにまた冷気が出てますよ。
「え、えーと、小屋を出たら灯りで照らすからヒルデが攻撃してくれ(汗)」
「わかったわ」
あれっ、社長さんもヒルデさんも戦闘は苦手だって言ってましたよね?
パパパパ
社長さんは小屋の入口を出ると同時に森の方へ魔法で何個も光球を飛ばしました。
明るく照らされた森からは四匹の魔物、フォレストウルフがこちらに向けて駆けて来ます!
『きゃあああっ』
怖くてあたしは目をつぶりました。
ボキボキッ
「ぐはっ!」
「『アイスランス』」
ドスドス
『ぎゃうん!』
激しい戦闘音がします、怖いです。
「しゃ、しゃちょ~、死なないで!」
ヒルデさんの悲鳴のような声を聞いてあたしは目を開けました。
!!
社長さんが口から血を流してあたしの腕の中でぐったりしています!
『しゃ、社長さん、魔物にやられたんですか!確りして下さい!』
ダメです、完全に意識を失ってます。
「アンナちゃん、貴女、しゃちょ~を思いきり抱きしめなかった?」
うっ、ヒルデさんがジト目であたしを見て来ます。
『そ、そう言えば、魔物が怖くて目をつぶって何かに抱きついたかも…(冷や汗)』
「何かって、貴女の腕の中に誰がいる?」
『・・・』
抱きつきましたねあたし、社長さんに…
「もう、仕方ないわねー」
何故か少し嬉しそうにあたしの腕の中から社長さんを奪うと、ヒルデさんは灰色のローブの中から
そしてポーションを自分の口に含むとぶちゅーっと社長さんに熱烈なキスを…いや、口移しでポーションを飲ませました。
あのー、ニッコニコで社長さんを膝枕してますけど、もう機嫌直ったんですか?
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