第13話 sideメカ娘①

「ヒルデは野営地の周囲に魔物避けの結界を張ってくれるか?」

「わかったわ♪」

さっきまであたし達を睨んでた教授さんは、社長さんが仕事を頼んだらルンルンで作業を始めた、もしかしてコレが都会で云うチョロい女ってヤツなのかな?


「さて、私は寝床を用意するか…」

そう言うと社長さんは膝をついて地面に手のひらを当てます。

モコモコモコ

『ふわわわわ!』

思わず変な声が出てしまいました。


『お、お家が出来た!?』

土が盛り上がったと思ったら、壁になり、土で出来た四角なお家になりました。

「家だなんて、ただの小屋だよ」

社長さんスイマセン、あたしのお家と同じくらいの大きさです…お父さん、あたしのお家は小屋だったらしいです。


『社長さん、これって、土を魔法で固めて作ったんですか?』

コン コン ボコッ!

『あっ!』

手で叩いてたら壁に穴が開いてしまいました!


『しゃ、社長さん、ごめんなさい!』

あたしはぺこぺこ頭を下げます。

「土を圧縮して壁をに固めたんだけどな…」

社長さんがやれやれと言いながら土属性の魔法であたしが開けた穴を四角く整えました。


『ん?』

「この辺りの砂でイケるかな?」

社長さんは小川の底から砂を両手に掬い上げました。


『ふおおおおっ!』

すいません、ビックリしてまた変な声を出してしまいました。


社長さんが錬金術で川から採った砂でガラスの板を作っちゃいました。

そのままお家の四角い穴に嵌めて窓にします。

あたしのお家にはガラス窓なんて高級品はありません、村でも教会の礼拝所に明かり取り用のガラス窓が一ヶ所あっただけです。


あのガラス板、要らなくなったらくれないかな?


「しゃちょ~、結界を張り終ったわよ♪」

野営地の四隅に魔石を置いてなにかを唱えていたヒルデさんが戻って来ました。


「じゃあ食事の用意をするか」

社長さんはそう言うと土属性魔法でささっとを作ったり土鍋を作ったりしています。

「アンナちゃん、コレに水を汲んで来てちょうだい」

ヒルデさんも土属性魔法でささっと桶を作ってあたしに渡します。

うーん、魔法って便利…


※普通の魔法師はこんな事は出来ません、社長や教授が稀代の錬金術師だからです。


パチパチ ポコポコ

ヒルデさんが火属性魔法でかまどの薪に火を着けて、水を入れた土鍋を火にかけます。


社長さんは芋とか野菜を風属性魔法を器用に使って皮を剥いたり、食べやすい大きさに切ったりしてます。

まな板や包丁を使わないで、空中に浮いた野菜がスパスパと切られて土鍋に飛び込んで行きます。

本当に魔法って便利…


※普通の魔法師は(以下略


「しゃちょ~、アジトから持ち出せた食料はこれだけなの?」

ヒルデさんが干し肉の欠片や道中で摘んだ山菜や茸なんかを鍋に入れながら聞いています。


「うーん、明日からは狩りとかもしないといけないな…」

社長さんが難しい顔で答えます。


社長さんもヒルデさんも狩りとか似合わなさそうですもんね、勿論あたしも狩りなんて出来ません。


「さあ、煮えたわよ」

ヒルデさんが土属性魔法で作ったお椀にスープを注いで渡してくれます。


えっと、あたしのこの新しい身体ってご飯食べれるんですか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る