第2話 監禁
今日も私とヒルデガルドはカルト教団の秘密の地下アジトで
自宅にいた所を拐われ、ここに馬車で連れて来られた時には目隠しをされていたのでこのアジトの場所が何処なのか皆目わからない。
ここは天然の洞窟を人の手で拡げた地下施設だ。
この場所で稀代の魔導具師にして錬金術師である私と天才錬金術師にして
魔力だけで動くゴーレムなどと違って
~・~・~
「しゃちょ~、今夜わたしの部屋で
ヒルデガルドのヤツは距離が近い、いつもずかずかと私のパーソナルスペースに踏み込んでくる。
今も話しかけながら私が座ってる椅子代わりの木箱にちょこんと尻を乗せて来た。
若い美人にくっつかれるのは嫌いではないが、いくら美人でも目が死んでる女は…それに若いと言っても学園の教授としてはで、ヒルデガルドは十代半ばで嫁ぐ娘の多いこの世界では絶賛行き遅れなお年頃だ。
おうふっ、なんか横から凄まじい殺気が!
ヒルデガルドの体型はいつも着ているぶかぶかのローブのせいで良くわからんが、腰まで伸ばしたサラサラの銀髪に卵形の顔、抜けるように白い肌、
「ねぇ、しゃちょ~」
「あ、いや、ヒルデガルド、どうせなら私の部屋に来ないか?」
とたんに
硬いパンに干し肉、野菜くずの浮いた薄いスープという粗末な夕食を与えられた後、私の寝室に集まった。
「逃げる?」
ヒルデガルドがこてんと首を傾げる。
「わ、わたしはしゃちょ~と一緒ならずっとここに居ても…」
コイツは私のどこを気に入ったのか、時々訳のわからない事を言う。
「お前、誘拐されて来た事を忘れてるんじゃないだろうな?」
念のため確認した。
「忘れてなんかないわよ、ただここだったらしゃちょ~と一緒に研究が出来るし…」
ぷくーっと頬を膨らませるヒルデガルド。
うん、可愛い、顔は。
「あの
「えっ?」
「まさか、完成させたら無事に家に帰して貰えるとか思ってないだろうな、邪神だか魔神だかを崇拝してるヤツらだぞ、用済みになったら恐らく二人とも…」
「じゃあ、わたしと一緒に逃げてくれる?」
「えっ?」
だから逃げる相談をしてるんだろ。
「駆け落ちっぽい感じで…」
「え゛っ?」
なんで駆け落ち?
ちょっと、いや、何かと不安な
「初めての共同作業…」
オイっ、
口元をニヨニヨさせているヒルデガルドに心の中でツッコミを入れた。
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