第22話 side 冒険者ギルド
「三人ともDランクで」
「えっ、副ギルド長?」
地下の訓練所で社長達の実力を確認したベテラン受付嬢、いや、ここのギルド支部の副ギルド長はギルドカードを作成していた職員にDランクで登録するように告げた。
「Dランクですか、ギルド支部の権限で新人に認定出来るランクの上限じゃないですか?」
職員は副ギルド長の判断に疑問を呈した。
S、A、B、C、D、E、Fと7段階の冒険者ランクがあり、登録したての冒険者は通常はFランクからのスタートになる。
Fランクは見習い冒険者、Eランクは駆け出し、Dランクで一応一人前の冒険者と認められる。
ギルド支部の判断で初登録の冒険者のランクを上げれるのは、元兵士や狩人など下位のランクからスタートさせるのが勿体ない実力の持ち主への救済策であった。
「一人は強力な魔導具を使う空間収納持ちの魔導具師、もう一人は無詠唱で攻撃魔法を並列で放つ錬金術師、最後の一人は小石を投擲して的を消し飛ばした上に訓練所の壁に大穴を開けたわ」
「そ、それほどとは…」
職員の顔が引きつる。
「私に権限さえあればC、いやBランクに推したいくらいよ」
「Bランク…」
「新人にしては年齢が高かったけど、いったい今までどこで何をしてた人達なのかしらね?」
副ギルド長は腕組みをして考え込む。
「あれっ、えっ、これって!」
「どうしたの?」
職員が出来上がったカードを手にして目を丸くしているのを、いったい何かあったのかと副ギルド長が聞く。
「トニー・タスークって、タスーク・インダストリーの社長じゃなかったです?」
職員は
「えっ、ちょ、大企業の経営者じゃない!」
~・~・~
冒険者登録や戦闘力の確認で少し時間が遅くなったので、うさ耳の可愛い受付嬢にギルドカードは明朝に受け取りに来ると言伝てて、宿を探しに出た。
ついでに冒険者ギルドのうさ耳受付嬢に別に安くなくても良いから、とりあえず建物が新しくて頑丈な宿を聞いている。
錬金術ギルドで
ズシン ズシン ズシン
『なんで頑丈な宿を聞いたんですかー?』
君はもっと静かに街を歩きなさい。
~・~・~
うさ耳受付嬢のお薦めの宿にチェックインしたのだが…
ミシッ ミシッ ミシッ
『な、なんかこの床板傷んでないですか?』
いや、メカ娘、お前が0.5tもあるからだぞ。
宿の床板がメカ娘の重量で軋む。
いつ床を踏み抜くかとハラハラさせる。
「ちょ、メカちゃん、階段はそーっと登ってね!」
ヒルデガルドもメカ娘の一挙手一投足に気を配っている。
『わー、久しぶりのベッドだぁー♪』
「「ストップ!」」
ベッドにダイブしようとするメカ娘を二人して止めた。
「ベッドが壊れるから君の寝床はここ!」
空間収納から取り出した鉄板を宿の部屋の床に敷く。
『て、鉄板の上で寝ろだなんて酷い~』
「ちゃんと布団は敷いてやるから」
空間収納から取り出した布団を鉄板の上に敷いてやった。
『あっ、これはこれで寝心地良いかも…』
部屋に荷物を置いて、一階の食堂に降りると少し遅めの夕食を採る。
メニューは黒パンとウサギ肉のシチューだった、宿の女将は兎獣人だったが共食いにならないのか?
ていうか、うさ耳受付嬢、お薦めの宿ってお前の実家を紹介しただろ?
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