第21話 冒険者登録

「まずは名前か、トニー・タスークと…」カキカキ

渡された書類の氏名欄に受付嬢から借りた羽ペンで名前を書き込む。


「えーと、名前は、ヒルデガルド・タスークと…」カキカキ

偽名を書くな、偽名を!

直ぐにこうなるからこれで良いって?


『じゃあ、あたしもアンナ・タスーク…』カキカキ

ゴゴゴゴゴ

『娘って意味ですよぉ、娘!』

ヒルデガルドからの圧に半泣きで訴えるメカ娘…



「種族…人族」カキカキ


「種族…人族」カキカキ


『種族……人族?』カキカキ



「性別…男性」カキカキ


「性別…乙女」カキカキ


『性別……女?』カキカキ



「職業…魔導具師エンジニアでいいか…」カキカキ


「職業…錬金術師アルケミストと…(死霊術師ネクロマンサーって書くよりこっちの方が良いよね)」カキカキ

※死霊術師は教会関係者から嫌われています。


「しょ、職業? えーと、家事手伝いっと…」カキカキ

いや、戦士とか魔法使いとかいう意味の職業だぞそこに書くのは。


~・~・~


名前:トニー・タスーク

種族:人族

性別:男性

年齢:32才

職業:魔導具師、錬金術師、魔術師、企業経営者

称号:(異世界転生者)、社長

魔法属性:光、風、土、雷、【基本属性の火と水も使える】

※( )内は隠蔽中



名前:ヒルデガルド・タスーク←自称

種族:人族

性別:乙女

年齢:28才

職業:(死霊術師)、錬金術師、魔術師、大学教授

称号:(異世界転生者)、教授、トニーの妻←自称

魔法属性:闇、火、水、氷、【基本属性の風と土も使える】



名前:アンナ・タスーク

種族:人族?

性別:女?

年齢:15才(0才)

職業:家事手伝い

称号:村娘、メカ娘、トニーの娘←自称

魔法属性:なし


~・~・~


「一応、新規に登録される冒険者の方の戦闘力の有無を確認してるんですけど…」

記入の終わった書類を受け取ったベテラン受付嬢が言う。

『えーっ』

不安そうな顔をしてるけれど三人の中でお前が一番戦闘力高いぞ。


「大丈夫です、試験とかではありませんから、ギルドカードを作ってる間に地下の訓練所で確認をしますね」

ベテラン受付嬢に案内されてギルドの建物の奥にある階段から地下に降りる。


ギルドの地下には魔導具の照明に照らされた結構広い空間が広がっていた。

弓矢や魔法の訓練用らしい的や、ぼろぼろの金属よろいを着せた木製の人形なんかがいくつも設置してある。


「前衛の近接職の方は武器で練習用の人形を攻撃してもらい、後衛の魔法職の方はあちらの的を魔法で攻撃してもらいます」

受付嬢が30mほど離れた的を指差す。


「じゃあ、私から」

空間収納から鉄人アイアンアーマーのガントレットを取り出して右手に嵌めると、的に向かって光弾を撃ち出した。

シュパッ ジュッ


「的が蒸発しましたね…それに空間収納持ちと…」

受付嬢が何やら呟きながら、書類に書き込んでいる。


「じゃあ次はわたしね」

ヒルデガルドは愛用のねじくれた杖をかざすとで氷の槍を三本、的に向けて放った。

ドス ドス ドスッ


「アイスランスを無詠唱で三本同時に…」

また何か書き込んでいる。


『(社長さん、あたしはどうしたら?)』←小声

うーん、身体ボディに搭載された武器を使っても良いけど…


「これを的に投げれば良いから」

私はメカ娘に小石を一つ渡した。


『つ、土属性まほー!』

いや、ただの投擲だろ。

ブンッ ドーン!


メカ娘の投げた小石は狙った的を消し飛ばした上に訓練所の壁に大穴を開けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る