突撃メカ娘!

さまようよろい

第0話 突撃メカ娘!

私の名はトニー・タスーク、稀代の魔導具師エンジニアにして錬金術師アルケミストだ。


中肉中背で黒髪黒目の32才、もう美少年と言われる年齢ではないが、道ですれ違う女性が振り返る程のダンディーな顔立ちをしたイケメンだ。


事業が成功したので私は大金持ちの富豪だが、貴族身分ではない、身分は平民だ。


そうそう身分と言えば、私の生まれ育った国は『王国』だ。

封建制の国家で王家が国を治め、その下に貴族もいる、平民はその下だ。

しかし、平民が最下層かと言うとそうでもない、まだその下に奴隷身分があるからだ。


おっと、話が逸れた…

私が居るこの世界は所謂“剣と魔法”の世界だ、地球の中世レベルの文明水準で、エルフやドワーフ、獣人などの亜人もいれば、“魔物”もいる。

過去には【魔王】や【勇者】も居たんだそうだ。


~・~・~


『きゃああああっ!』

ドカッ!


今、私の“最高傑作”がその真価を発揮している…


『いやああああっ!』

バキッ!


メイド服を着た身長150cmほどの金髪の少女が“教団”の神殿騎士テンプルナイト僧兵モンクを蹴散らしている。


神殿騎士テンプルナイトの長剣も僧兵モンクのメイスものアダマンタイト製の装甲に弾き返される、勿論弓矢だろうがボウガンの太矢だろうが彼女には傷をつける事すら出来ない。


地下に築かれた“教団”の秘密のアジトのど真ん中で彼女は暴れまわっていた。


魔導人形オートマタが暴走してるぞ!」

「『儀式』が失敗したのか?」

「くそっ、なんてパワーだ!」

魔導人形(オートマタ)と言うのは日本語で言うと自動人形とか機械人形と言う意味だ。


まあ、平たく言えばロボットの事だな、今、私の目の前で暴れているのは人型なので人造人間(アンドロイド)だが。

勿論、スマホのOSの意味では無い。


『いやー、怖いぃ!』

彼女が怖いからと目をつぶったまま、逃げ惑ってあちこち走り回ったり、パニック状態で両手をぶんぶん振り回すだけで“教団”の連中が吹き飛ばされる。


『ぽかすか』と擬音が聴こえて来そうな猫パンチだが、魔力反応炉リアクターから供給される膨大な魔力と身体ボディ各部に施された付与魔法によって得たパワーで、“教団”の連中はまるで巨大な獅子ライオンに猫パンチされてるように感じているハズだ。


“教団”というのは【魔王】信奉者による秘密結社だ、なんでも大昔に【勇者】に倒された【魔王】を復活させ、世界を恐怖により支配する事を目論んでいるらしい…何が楽しくてそんな事を考えているのやらさっぱり理解出来ないイカレた団体だ。


魔導人形オートマタを逃がすな、通路を塞げ!」

「盾を並べて密集隊形ファランクスを取れ!」

揃いの甲冑を着た教団の神殿騎士テンプルナイト達が大盾を並べスクラムを組んで通路を塞いだ。


『逃げりゅうううー!』

怖いからとぎゅっと目をつぶったまま神殿騎士テンプルナイト密集隊形ファランクスにメカ娘が突撃する。

おいおい、逃げるのなら反対方向だろ?


ドカッ!

「ぎゃー!」「ぐべっ!」「ばぼらっ!」

硬くて重い魔法金属のアダマンタイト製の装甲とオリハルコン製の骨格やミスリル製の部品のせいでkg単位よりt単位で表した方が良い体重にぶちかましをされた神殿騎士テンプルナイト達が大盾ごと派手に吹っ飛んだ。

壁に叩きつけられるヤツ、メカ娘に踏み潰されるヤツ…どいつもこいつも手足が変な方向に曲がっている。

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