第11話 脱出
「ふうっ」
私は漸く『
少し汗ばんだ髪にそよ風が心地良い。
私とヒルデガルド、そしてアンナ(?)は“教団”の地下アジトから脱出していた。
『あっ、社長さーん、怖かったぁ~』
ドスッ ドスッ ドスッ
私の顔を見たアンナ、いや『メカ娘』が私に向けて突撃して来た。
ガシャーン
金属音と共に
アーマーのチタン合金製の装甲はなんとか衝撃に耐えた。
『わーん、怖かったよぉ~』
ミシミシミシ
しかし、恐ろしい程の怪力で抱きつかれた。
まるでプレス機にさば折りをされているようだ。
ピー ピー ピー
アーマーのあちこちからアラーム音が鳴る。
「ごふっ」
こ、このまま私は死ぬのか?
「ちょっとアンナ、しゃちょ~が死んじゃう、しゃちょ~が死ぬ時はトドメを刺すのはわたしなんだからね!」
なんか物騒な声が聴こえる、幻聴だと良いな…私はそのまま意識を失った。
~・~・~
『そうなんですか、社長さんがあたしを助けてくれたんですね?』
何やら話し声が聞こえる、えーと“女神様”私なら転生は二回目です…
んっ、頭の後ろに何か柔らかいモノが…それになんだか良い匂いがする。
死んでないのか?
「しゃちょ~、気がついた?」
ヒルデガルドに膝枕をされていた…
『社長さん、あたしを助けるためにそんな大ケガを!』
おい、メカ娘、全部お前がやったんだろうが!
えっ、目をつぶっていたから良くわからない?
お前、目をつぶったままで“教団”の連中を皆殺しにしたのか?
私は身体の状態を確認しながら、ゆっくりとヒルデガルドの膝から身を起こした。
「あんっ、まだ動いちゃダメ!」
いや、このままヒルデガルドに膝枕をされている方がもっと駄目な気がする…
「わたしの特製ポーションを飲ませたから怪我は治ってると思うけど…」
ヒルデガルドの作ったポーションって、何か怪しい成分とか入ってないだろうな?
『あ、あたし、口移しなんてするとこ初めて見ました///』
ぐほっ、メカ娘が恐ろしい事を…
振り返るとヒルデガルドが口元をニヨニヨさせながら照れている。
うん、意識が無かった時の事だし、忘れよう…
「しゃちょ~、動けるのならソレを“空間収納”に」
ヒルデガルドが指差す先に、バラバラに破壊された
「ここはどの辺りなんだろうな?」
アーマーの部品を収納しながら聞いてみる。
『えーと、あっちに行けばあたしの住んでた村で、そっちの方角に『帝国』、向こうの方角に『王国』があるってじっちゃが…』
うん、辺境の農村の村娘の知識ってそんなもんだよね。
「えーと、アンナの村はどの国に属してるんだい?」
『わかりません…』
「身分証とかは?」
『ありません…』
「そうか教団の連中に」
『最初から持ってませんでした…』
「…」
「話にならないわね」
アンナの故郷は恐ろしく田舎の村だった、何処の国に所属してるのかも 知らないのかよ。
「とりあえず、アンナを村まで送って行くか…」
『ええっ、こんな身体になってるんですから、このまま村に帰っても誰もあたしの事わかんないですよぉ』
そうか、ヒルデガルドの
アンナの遺体は私の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます