第24話 冒険者ギルド再び

「おい、派手な鎧の兄ちゃん」

私達が冒険者ギルドの建物の中に入ったとたん、身長2mはありそうな、スキンヘッドで筋肉の塊みたいな冒険者の男が前に立ち塞がった。


「派手な鎧? 私の事か?」

1.今日は私は修理の終わった鉄人アイアンアーマーを装着している。

2.鉄人アイアンアーマーは赤と金に塗装されている。

3.この脳ミソまで筋肉で出来てそうな冒険者には鉄人アイアンアーマーがただの金属鎧に見えたのだろう。

高速思考のスキルで0.3秒で理解した。


「テメエ見かけねえつらだな、新入りか?ちょっと顔が良いからって生意気にもエライ別嬪を二匹も連れてんじゃあねえか!」


1.街中なので私は 頭部ヘルメットパーツはまだ装着していない。

2.私はこの街周辺に住む人間ではない、冒険者ギルドにも登録したばかりだ。

3.私は女性が思わず振り返る程のイケメンだ。

4.ヒルデガルドもメカ娘も良い。

高速思考のスキルが唸る、0.1秒でこれはテンプレの可能性が高いと判断。

どうやら古参の地元冒険者に絡まれているようだ。


「灰色のローブを着た方ならお前に恵んでやっても良いぞ」

いかん、別にヒルデガルドの方なら連れて行っても良いと言うつもりが、異世界言語スキルに変な変換をされて上からの口調で口を出た。


「て、テメエ!」

スキンヘッドの大男のこめかみの青筋がピクピクしている。

「わたしはこんな禿げイヤよ!」

ヒルデガルドが更にバッサリ言った。

「いや、ヒルデ、そこは頭髪の不自由な方とか、毛根に障害がある方とか、言い方があるだろ…」

『ぷーくすくす』

メカ娘、他人の頭を見て笑っちゃいけません、テカテカだけど。


「ぬおおおおっ!」

スキンヘッドの大男が殴りかかって来た、そこはメカ娘かヒルデガルドだろ、私に八つ当たりされても困る。

※社長の頭髪の不自由な…に、一番怒ってます。


パシっ

「ぬっ!」

大男の大振りのパンチをアーマーの左手で受け止めた、そのまま拳を掴む。


私はアーマー無しでも高速思考でパンチを受け止める事は出来るが、素の状態だと体格差によるパワー不足で力負けする。

優男の私がこうして大男のパンチを受け止めて、そのまま相手の拳を握り潰す勢いで掴んでられるのはアーマーの増力機構パワードスーツのおかげだ。


ギリギリギリ

「ぐっ、離しやがれ!」

スキンヘッド君は私に掴まれた右の拳を引き抜こうともがくがアーマーのパワーで離してやらない。


ミシミシッ

なんなら更に拳を掴む力を増やしてやる。

「ぐうっ…」

スキンヘッド君の頭から脂汗が滴る、バッチイからもう離そうかな?


「そこまでにしてやってくれないかしら」

横から、声がかかった、昨日のベテラン受付嬢だ。

バッチイからもう離そうと思ってたところなんで素直に離してやる。

「ううっ…」

スキンヘッド君は無事な左手で右手を抱えると床に踞った。

潰してないから大丈夫だよね、指もそんなに折れてないよ、たぶん…


「二階の応接室で出来上がった冒険者カードを渡すからついて来てくれるかしら?」

色っぽいお尻をぷりぷり振りながら階段を登る受付嬢の後ろについて行く。


なんか後ろにいるヒルデガルドの方から冷気が漂って来るが、受付嬢のお尻が私の目の前に来るのは階段の段差のせいだ、態とじゃない。

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