第25話 冒険者カード
「改めて、わたしは当ギルド支部の副ギルド長をしています、アイシャと申します、以後お見知り置きを」
簡素なテーブルとソファーが置かれた応接室に入り、お互いに面して席についたところでベテラン受付嬢が挨拶をしてきた。
「ただの受付嬢じゃなくて副ギルド長だったのか」
「受付の統括も兼務してますので…」
そう答えを返す冒険者ギルドの副ギルド長、アイシャは年の頃は30台の半ばか…肩までのブルネットの髪に、むっちりした肢体を受付嬢の制服に包んだ年増美人だ。
うん、こういうのもありだと思う。
ゴウッ
隣に座るヒルデガルドから冷気が!
コイツ、人の心が読めるのか?
「皆様のギルドカードです」
アイシャが懐から三枚のカードを出した。
他のギルドのカードと同様に薄い金属板で出来たカードだ。
「Dランク?」
『ほへっ?』
自分のカードを手にしたヒルデガルドとメカ娘が首を捻っている。
「昨日確認した皆様の戦闘力でしたらCランク以上の実力はあるでしょうが、冒険者ギルド支部の権限で初登録の冒険者に認定出来るのはD ランクまでなのです」
アイシャがそう言って微笑む。
『ふええっ、あたしがいきなりDランク冒険者!』
中味の人がただの村娘だから、FランクやEランクを飛ばしてDランクスタートなのに驚くのだろうが、その
私は自分のギルドカードを手にすると魔力を流し込んだ、ポワッとカードが光り登録を終えた。
『えっ、カードが光った?』
メカ娘が目を丸くしている。
そう言えばこの娘は身分証を作るのは初めてなんだな。
「ギルドカードに自分の魔力を流し込んで“登録”するのよ」
ヒルデガルドがメカ娘にそう言いながら自分のカードに魔力を流し込む。
ポワッ
『魔力を流し込むんですか?』
「魔力を登録しておけば他人がカードを盗んだり拾ったりしても、魔力を登録した本人以外は使えなくなるのよ」
『わかりました!』
そう言うとメカ娘は自分のカードを手にした。
『うーん、うーん…』
中々メカ娘のカードが光らない、魔力量の少ない獣人なんかでもカードの登録くらいは出来るんだが…
『うーん(半泣き)』
そうかメカ娘のボディの外装は魔力を通さないアダマンタイトだったな…
「ちょっとカードを貸してみな」
私はメカ娘の手からカードを取った、メカ娘が魔力の放出を出来る場所はと…
『ふえっ?』
ギルドカードをメカ娘の頭の上に置いた。
「これで魔力を込めてみろ」
『うーん』ポワッ
「あっ、光った」
頭の上に置かれたメカ娘はカードを見れないのでヒルデガルドが代わりに見て言った。
『あたし、頭の上からしか魔力出ないんですかー?』
アダマンタイトの外装に覆われてないのは頭部の金髪に見える放熱索くらいしか無かったんだよ。
「カードの登録が終わったようですね、皆様はパーティー登録はされますか?」
メカ娘がカードの登録を終えるのを辛抱強く待っていたアイシャが聞いてきた。
「いや、パ「勿論するわ!」…」
ヒルデガルド、身分証の為に登録しただけなんだからパーティー登録は要らないだろ…
「パーティー名はどうされますか?」
「『タスーク・ファミリー』で!」
おいっ、ヒルデガルドなんだその名前は!
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