第41話 武器錬成

「うふっ…」

「「「…」」」

翌朝、シュミット家の食堂で皆で朝食をいただいている。


「うふっ、うふふっ…」

給仕をしてくれているメイド長のロッテンマイヤーさんの肌が妙にツヤツヤしている。

ジークフリート卿との距離も昨日より近い、凄い近い。


て言うか、昨日の食事会の後、シュミット家の屋敷に泊めてもらったのは良いが…夜、アノ声が凄かった。


父上おっさん、脊髄損傷による半身不随が治ったとたん飛ばしすぎだぞ!

ガブリエラとか恥ずかしくて顔を真っ赤にしてずっと俯いているぞ。


近々、ガブリエラに歳の離れた弟か妹が出来るかもしれんな。


気まずそうな顔をしてないのはもりもり朝飯を食ってるメカ娘くらいだ。

しかし、お前、この中で一番高感度のセンサーしてるクセに良く爆睡出来たな、集音センサー壊れてないか?


一方、ヒルデガルドはプリプリ怒りながら食事をしている。

昨夜、私の寝室に鍵をかけて閉め出したからだ。

ちゃんと戸締まりをしておかないといつ襲われるかわからんからな。


しかし、朝起きたら私のベッドの中でタマが寝ていたのには驚いた。

暗視(天然)、解錠、気配隠蔽などの盗賊シーフのスキルを全力で使用して添い寝しに来たらしい。

何もなかったから良いが、夜這いだったり、万一タマが私に危害を加えるつもりが有ったりしたらと考えると、寝室への侵入を防ぐ為の結界の魔導具が必要かもしれん。


~・~・~


とりあえず冒険者ギルドに行って、何か依頼クエストでも受けるかと出かける準備をする。

ガブリエラとタマのパーティー登録もしないといけないしな。


ガブリエラは今日は領軍のお仕着せの鎧では無く、私物の鎖かたびらの上から軽めの革よろいを着て、左手に皮製の小ぶりな円盾バックラーを付けている。


「剣はどうした?」

ガブリエラの腰の剣帯ベルトには鞘に入った大ぶりのナイフが一本ぶら下がっているだけだ。


「そ、その、右腕を魔物に喰われた時に失くしてしまって…」

今頃、ガブリエラの剣は魔物の腹の中か…痛そう。

いや、魔物を倒した冒険者にパクられてるかな?


「長剣が無いと困るだろう」

空間収納インベントリからステンレススチールのインゴットを取り出すと、錬金術で片手でも両手でも扱える長さの両刃の直剣を“錬成”した。

出来上がったのは長さ1.2mほどのステンレス製のバスタードソードだ。

「切れ味は鋼鉄ほどじゃないが、錆びないから手入れが楽だぞ」

「す、スゴい…」

目を丸くして驚いているガブリエラに渡してやる。


「タマにも剣を作って欲しいにゃ」

タマが私の腹にタックルして来る、わかった、わかった…


タマは小柄だから、鉄よりも軽いチタン製にするか…

空間収納からβチタン合金のインゴットを出して、忍者刀をイメージして片刃の直刀を“錬成”した。

「軽い、スゴい軽いにゃ!」

刃渡り60㎝ほどの刀を渡すとタマはブンブン振り回し始めた、危ないからやめなさい!


「ええっと、わしも…」

父上おっさんまで剣が欲しいらしい。

「刃渡り120㎝、全長150㎝ほどで肉厚の刃の大剣を…」

モジモジと恥ずかしそうに言いながらも注文が細かい。


ガブリエラパパには現代の冶金知識で作った合金製の剣より鋼鉄製の剣の方が良いだろう。

移動の道中で集めていた砂鉄を錬成して、炭から錬成した炭素を1%ほど加えて玉鋼にした、大剣の形に外観を整え、錬金術で焼き入れやら焼きなましなどの工程も加えていく。

「こ、これは…」

大剣を手にしたジークフリード卿が絶句する。

ドワーフの名工にも負けない出来だぞ…たぶん。


刀身が長いバスタードソードや大剣は抜き身のまま背負うしかないな、鞘に入れたら抜けなくなってしまう、タマの忍者刀には木材を錬成して鞘を作ってやるか…

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