第40話 食事会

今朝の分の投稿予約するのを忘れてました(´・ω・`)


~・~・~


「だ、旦那様のお身体が治って良かった…」

30台前半くらいの女性がさめざめと涙を流している。

シュミット家のメイド長のロッテンマイヤーさんだ。


ブラウンの髪をひっつめにして、濃紺のメイド服を着た年増美人だ、勿論メイド服は短いスカートなどではなくクラシカルなロングスカート。


「わしの身体が不如意だったばかりにメイド長にも苦労をかけたな」

「いえ旦那様、わたくしなど何のお力にもなれず」

「いやいや、そなたが常日頃不自由な身体のわしの世話をしていてくれたからこそ…」

なんか手を取り合って見つめ合ってる。


「アレってデキてるのか?」

ガブリエラに聞いてみる。

「そ、そのー、戦傷で寝たきりになった父上をメイド長が献身的に看病をしてから…たぶん」

熱々の二人から目を逸らしながらガブリエラが答える。


「ナイチンゲール症候群かしらね、でもパパ上は半身不随だったんでしょ?」

つまり肉体関係無しの清い関係か、身体の治った今後はどうなるかわからんがな!


「母上が流行り病で亡くなってから父上は後添いも貰わずずっと独り身でしたので祝福したいのですが…」

そう言いつつ俯くガブリエラ、恥ずかしいのか耳たぶが真っ赤になっている。


まあ、父親が娘の前で女とイチャコラしてたら気まずいわな…


~・~・~


ガブリエラの家に招待された名目である食事会、前当主の快気祝いも兼ねて貧乏騎士爵シュミット家で用意出来る精一杯のご馳走がテーブルに並んでいる。


『がつがつ』「もしゃもしゃ」

おいっ、メカ娘もタマも欠食児童みたいにそんなにがっつくな!


「どうだね、うちのメイド長は料理の腕もなかなかのモノだろう?」

「まあ、旦那様、そんな…」

久々にテーブルに着いて食事が出来るとご機嫌なパパ上はまだメイド長とイチャコラしている、色んな意味でご馳走さまです。


「そうですね、この肉の煮込みなどもなかなかの美味で…」

貴族社会の儀礼など知らない私でもこの程度の社交辞令くらいは言える。


「その煮込み料理はわたくしではなく、おガブリエラ様が御作りに…」

おっと、ピンポイントで外した?


「わ、私は料理は余り得意ではないのだが、その煮込み料理だけは亡き母上から作り方を習っていてな」

ガブリエラが照れながら言う。

「ま、まあ、我が家の家庭の味と言うか…」


「しゃちょ~は家庭の味なんかよりも、チーズバーガーとかドーナツとかジャンクフードの方が好きなのよ!」

いやヒルデガルド、今ここでソレ言わなくても良いだろ。


て言うかお前、転移か転生した異世界人だろ、全然隠す気無いだろ!

それになんで私がジャンクフードが好物なのを知ってるんだ、マジで怖いわ!



「そうですか、婿殿は王都に戻る為の路銀を稼ぐために偶々この街で冒険者登録を…」

パパ上、婿殿言うな!


食事をしながら先の集団暴走スタンピードの話になった。


「わたしとしゃちょ~で採取した“薬草”から錬金術で魔法薬ポーションを作って、それを売ったお金で路銀を作ろうと思ったんだけど…」

ヒルデガルドのジト目にガブリエラパパ、ガブリエラ、タマが一斉に目を逸らした。


「ご、ゴホン…ガブリエラ、しばらくの間、婿殿の金策のお手伝いをしてはどうかな?」

パパ上がジト目のヒルデガルドに目を合わさないようにしながらガブリエラに提案する。

「わしの身体もこうして元どおりに治った事だし、領地や騎士団の仕事はわしに任せて、お前は婿殿のパーティーに加入すれば良い」


貧乏騎士爵シュミット家には金は無いから、働いて返すってか…

うーん、女騎士ガブリエラの力を借りるのは良いが娘は返品不可とか言って来そうだな。

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