第42話 試し斬り
『社長さん、あたしにも武器くらさい!』
いやメカ娘、お前は全身が武器だろ。
『武器ほしー、武器ー!』
子供みたいに駄々を捏ねだした。
仕方ない、
「ほら、お前の武器だ」
出来上がった武器をメカ娘に渡す。
『なんですか、コレ?』
「
先端の打撃部分がトゲトゲの付いた球になったメイスの一種だ。
『なんであたしだけ剣じゃないんですかー!』
「いや、お前のパワーだとどんな剣でも一発で折れるぞ」
『う゛…』
駄々を捏ねていたメカ娘がさすがに大人しくなった。
でも、たぶんその
~・~・~
「トニー殿、試し切りをしても良いだろうか?」
新しい剣を手に黙々と素振りをしていたガブリエラが聞いてくる。
「その前に握りの太さとか振った時のバランスなんかの調整は大丈夫か?」
「うん、以前使っていた
まあ、騎士団から支給される長剣ってのは王国軍だろうと領軍だろうと同じような規格品だからな、それに合わせとけば違和感なく使えるだろ。
「ガブリエラ、ちょっとそれ貸してくれ」
「トニー殿、調整は不要なんだが…」
ガブリエラから受け取った剣の刀身に光魔法で魔法陣をレーザー彫刻していく。
「“攻撃力UP”に“耐久性UP”、それに…“聖属性”でも付与しておくか…」
「ちょ、トニー殿、それは付与魔術なのか?」
ガブリエラの美しい顔が引きっている。
いや、私は魔導具師が本業だから“魔剣”くらい作れますよ、これは聖属性を付与したから“聖剣”だけど。
「魔法を3つも付与、しかも聖属性を…こ、国宝級の聖剣!」
いや、国宝級は大げさだ、
「ん」
タマが自分の忍者刀を差し出してくる。
ハイハイ、お前の刀にも付与してやるよ、“斬れ味UP”に“耐久性UP”、それに“素早さUP”だ。
「わ、わしのも…」
ガブリエラパパまで調子に乗って大剣を差し出してくる。
ずばぁ
「おおっ!」
シュミット家の裏庭の一角、弓矢の練習用の的だの、打ち込み用に木の杭にぼろぼろの鎧を被せた物など普段訓練に使ってるらしい場所。
新しい
「な、なんだこの手応えは…」
うん、弊社の製品はその辺のなまくらと違ってスパっと逝くよ、スパっと。
「あたいも試し斬りするにゃ」
タマが両手で握った忍者刀を八双に構える。
「刀は振るんじゃなくて引き切るように使えよ」
「わかったにゃ」
しゅぱっ
また的替わりの古鎧が真っ二つになる。
うん、良い切れ味だ。
「よおし、次はわしだな」
ガブリエラパパが大剣を肩に担いでのしのしと的に近づく。
ガブリエラやタマと違い、地面に立てられた的は直径30㎝ほどで杭と言うより丸太と言った方がいい太さだ。
ずばぁ!
ガブリエラパパは豪快なスイングで丸太の上部を斬り飛ばした。
「キャー、旦那様っ♪」
後ろで見学してたメイド長のロッテンマイヤーさんが黄色い歓声を上げる。
「いやいや、これくらい、ハッハッハ」
「旦那様、ステキです///」
いや、色々迷惑だから向こうでやってくれない?
『社長さん、社長さん…』
ちょんちょんとメカ娘が背中を突っついてくる。
「ん、なんだ?」
『ヒルデさんに武器盗られちゃいました』
「えっ?」
ブンッ ブンッ
なんかヒルデガルドが光の無い目をしてモルゲンステルンをフルスイングしている。
『社長さんが長いことヒルデさんを放置してたからじゃあ?』
えっ、もしかしてアレで殴るつもりなのか?
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