第6話 side 教団②
「何だこれは?」
両手の指に幾つも嵌めた
「何だこれは?」
大事な事なのでもう一度訊く。
「“
部下の中年の男はメイド服を着た金髪の小柄な少女の姿をした
「あの御方の寄り代となる
「お待ち下さい!」
“司祭”がこめかみに青筋をたてて怒り出す前に部下が遮った。
「我々が彼らに出した要求は、
1.オーガをも素手で引き裂けるパワー
2.長距離攻撃手段
3.物理攻撃、魔法攻撃に耐性を持つ強靭な装甲
これらの要求は全てクリアされています」
そう“教団”は高性能な
「この世界を恐怖を持って支配せんとする御方がこのような姿になど…」
「いえ、この姿形には深い考えがあるのです!」
またしても司祭の言葉をインターセプトする部下。
「深い考えだと?」
「戦闘用の
「うーむ」
“司祭”は儚げな少女の外見を持つ
「ましてや、相手が正義感に凝り固まった【勇者】なら果たしてその“聖剣”をこの儚げな姿に振り下ろす事が出来ましょうか!」
勿論、部下の男は“社長”と“教授”に好き勝手に開発をさせていた監督不行き届きの末、出来上がった可愛い
「そ、それより近在の村の者らしい娘が迷い込んで来たのですが…」
「なにっ、村の者にこの拠点を見られたのか?」
自らの思索から我に返った司祭が問い質す。
「いえ、小娘が一人、山菜採りをしていて迷い込んだだけのようです」
「ふむ、ここの存在を知られた訳ではないのだな」
司祭が少し肩の力を抜く。
「その~、村娘の身柄なんですがー」
部下の男が手もみをしながら下卑た笑顔を見せる。
「どんな娘だ?」
「年の頃15〜6のちょっと可愛らしい娘でして…」
部下はニヤニヤしながら答える。
「その年ならばまだ嫁いでなさそうだな、
「えー!」
不満の声を上げる部下。
「まさか先に手を出した訳ではないだろうな?」
司祭の氷のように冷たい声に部下はゾクリと背筋を凍らせた。
「い、いえ、独房に監禁したまま、まだ誰も指一本触れていません!」
「ならば善い、我らが主上も贄がむつくけき野郎よりも汚れなき
ニヤリと嗤う司祭の黒い笑顔に戦慄しつつ、
娘に手を出してたら自分が贄にされるところだった事に気付き、早まった真似をせずに良かったと部下は胸を撫で下ろした。
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