異世界大森林ライフ 俺って森か??
@sinnrinnyoku
第1話 俺は死んだらしい
目が覚めた。
俺の名は、森中 有 もりなかゆう 38歳アラフォー男子でした。身長は185cmゲフンゲフン違います。見栄はりました。150cm え・・・ 正確に言え?143.6cmです。かなり小さいです。ガクン
まあでも普通に大学卒業し就職も出来ました。虐められたこともありましたが・・・
しかし、先日死にました・・・
10階建ての屋上からダイブしました。最後に思ったこと、もう少し大きかったらなぁ・・・
落ちた俺は無残でした。頭は割れ、内蔵は飛び出て即死でしたねぇ。
屋上は、手摺の老朽化が進み危険と言うことで立ち入り禁止になっていたらしいのですが、偶々張り紙が取れていたらしく、偶々警備員さんが点検後に鍵を閉め忘れたらしく、それらを知らなかった俺は、休憩がてら屋上に行き手摺にもたれて落ちたのです。
いわゆる事故ですね。未練がないと言えば嘘になります。所謂社畜と呼ばれる人種で、数日の徹夜は当たり前、家に帰っても数時間寝て出社、上司には叩かれ部下には突かれの板挟みでしたが、なんとか研究も上手く行き、これから実機試験と言う時でした。完成した製品は、画期的なものになると・・・
まぁ 仕方ありません もう死んでしまったので 痛かった。
死んだはずなのですがなぜか意識があります。鬱蒼とした森の中木々の隙間から日の光が、僅かに差し込むだけで薄暗い森です。倒木には苔むしており、キノコやシダ類の下草が生え原生林の趣のある森。どこかに川でもあるのか、わずかに水の流れる音が聞こえる森。
意識はあるのですが、肉体がありません。
動けません!
なにこれ、どうなってるの?てか、ここ何処よ?俺って透明人間になった? ぐへへ あんな事やこんな事や・・・
でも動けないから!!透明でも動けないから!! 意味ないじゃん!!それとも森で地縛霊にでもなったのか?死んだの会社だし、なんで森なんだ?俺の名前が森中有だから?森繋がり?
ネタかよ!!
視界はあります。何故か森が見えるので。上を見ます。木漏れ日が見える。木が高い50mくらい? ちょうど屋上から落ちた高さ?そうしたら辻褄合うの?いやいやいや落ちたの木じゃないから!!屋上からだから!!ぐしゃっとつぶ・・・・
嫌な事を思い出しました。目を逸らします。
周りを見ます。
ぐるっと360度 グルーーーっと廻る廻るよ目が回る。速いよ!!速過ぎて見えないよ!!スピード調節しようよ!!そろーりと周りを見る、やはり森です。
おっ 動物いた! 見たことない奴だ!なにあれ?耳が長いからウサギ?尻尾も長いよネズミ?耳の付け根から前に向かって角生えてるし・・・色は緑で保護色?
毛並みは、柔らかそうなモフモフでサイズは大きい鹿くらいか?デカ!!
シダ類のような植物食べてるから草食動物なのか?
ウサギもどきもデカいけど植物もデカい黙々と食べてる。俺が見てるの気付かないのかな?
あっ 俺は、体無かったんだ。見えなきゃ気付かないよね。どうにも動けないなぁ
おっ ウサギもどきお腹いっぱいになったのかその場で寝た。そこで寝るんかい!!肉食獣に食われるだろ!!
そもそも肉食獣はいるのか?たぶんいると思うけど。俺は動けないし、動物もウサギもどきしか見てないし、探しにも行けないな。などと考えていたらウサギもどきが消えた。
えっ なんで?
居た。よく見たら岩になってた。苔むした岩。擬態かよ!!早く言えよ!!急に消えたと思ったからビビったわ。
しかし参ったなぁ
動けないんじゃどうにもならん。どうしょう?とりあえず寝る?
ウサギもどきも寝たし・・・俺って寝れるのかな?このまま意識を手放したら消えてなくなるとか?有りえるな。寝るのは我慢しよう。また死んだら嫌だし。
しかしする事無いな。動けないんだもの、ぐるっとすると目が回るし、ん?目が回るって事は、感覚機能は働いてるって事か?三半規管が有るのか?見えないだけで手足も有るのか?
やっぱり透明人間?
いやいや歩けないよ。生前の歩く感覚を思い出しても動かないから!なんでだろう?堂々巡りだよ。だんだん日も暮れてきたし、お腹もすいて・・・こないな。食事は不要なのか?
まぁ 目の前にあっても食べられないだろうけど。口も手もないし、本当に困ったな。やっぱり寝るか。 もう死んだんだし消えても良いや!これで俺の一生は終わりかなぁ 最後ちょっと変だったけど・・・では、永遠に寝ましょう。
おやすみなさい。
あれ、移動してる?エレベータに乗ってる?上に引っ張られてるのかな?それとも上昇気流に乗ったのか? おーーーー 森が小さくなってく。上空に上がったのか?動けたというより動かされたって感じだな。俺のいた森かなりデカいな大森林かな?さっき見た高い木が一本目立って立ってるな。
北西には山脈があるな、かなり高そうで頂上は万年雪かな?その南に湖があるな、これもデカいなぁ、村のようなものも見えるな。湖から森に向かって川が流れてその付け根のあたりか?人間も居るんだなぁ。
地理が解ったところでどうしようもないけど、このまま天に召されるパターンだな。南無・南無どうか成仏できますように・・・
っておい!!急停車するな!!かなり高いから落ちたら死ぬだろ!!
あっ もう死んでるか・・・
「貴方は死んでません。チュートリアルを始めます」
えっ 死んでないの?チュートリアルって?声しか聞こえないし。
「ここは、ハレダウィーン大陸の辺境、ケミカリーナ大森林と言います。それが貴方の名前です。」
「あなたかなり頑張ったわねぇ」
俺の名前?森の名前だろ?てか口調かわってるし、頑張ったって何が?何が?
「寝たらよかったのよ。そうしたら直ぐにチュートリアル始められたのに」
そんなの言ってくれなきゃわからないよ!!てか、誰?何処に居るの?
「私の名は、&$%’です。」
何?意味わからないです。
「あー 変換してませんでした。キュリアです。私は、隣にある湖ですよ。あなたと同じように姿は見えませんね。というより、本体が湖なんですよ。あなたも同じなの、本体がケミカリーナ大森林なんですよ。」
本体が湖?あの湖はキュリア湖って名前?
「正解です。パチパチパチ」
クイズかよ!!俺は、森中有なんだけど・・・
「あぁ 生前のお名前ですね? そっちは死んでますから今は、ケミカリーナですよ。」
やっぱり死んでるんかい!!確かにぐし・・・でもそれって転生したって事か?森に?有りえないだろ?生命が転生するかもしれない事は、知ってるけど森だよ?しかも一瞬で?
「貴方の感覚では一瞬だったかもしれませんが、この地域で目覚めるのが一番遅かったのは貴方ですよ?ケミカリーナ大森林が出来てからもう4000年ほどたってますし、周りの皆さんは、もうとっくに活動してますよ。アレクサンベール山脈さんも東のグーテンベール平原さんもね」
みんな意思が有るんかい!!
「そうですねぇ 地域そのものが一つの生命体と言ったらわかるかなぁ?地域に名前が付くと名前が意思を持つの方が良いかな?どちらにしても貴方は森に生まれ変わって700年寝てましたよ。まぁ微々たる時間ですが、私たちの感覚では、7日寝坊したア・ナ・タ♡って感じですね。 うふふ♡」
いきなり女性っぽいな!!
「失礼な! 私は女性です!!湖には、人魚の分身だって有るんですから!!ボン・ギュ・ボンなんですからーーー!!」
怒った・・・すみませんでした・・・分身?なにそれ?
「とりあえず、チュートリアルを始めましょう。」
ゲームか?RPG?VRMMO?
「一々突っ込まないで!!先に進めないでしょー!!」
また怒った・・・ 御免なさい。でも女性に突っ込むって・・・ ぐへへ
「エッチ!!セクハラ!!」
ごめんなさい。
「では、あなたはケミカリーナ大森林になったのは説明しましたね。」
「次に見えないと困るでしょうから姿の現し方です。顕現!!とイメージしてください。」
顕現っかイメージ・・・
ぽわんっと音が聞こえ薄く光る人型になる。生前の容姿か?小さいままやん・・・泣きたくなる・・・隣にも人型の光が現れた。すらりと長身の女性のシルエットが現れた。
あー確かに見た感じは女性っぽいけど・・・ボンギュボンじゃないよ?まな板だよ?
「きーーーっ まな板言うなーーー!!ちっさいくせにー蟻のくせにーー!!」
あっ やっぱりそう思うのか・・・小学校の頃によく言われた仇名さ。名前が有で訓読みだとありになるから。あの頃は辛かった・・・
「うぅ 悪かったわよ あなたが変なこと言うからつい・・・」
よし 水に流そう!!
「なんか上から目線よねぇ・・・では、移動方法説明します。あなたは森ですから基本的には移動できません。しかし、森の上空から見える範囲及び森の中で有れば移動可能です。」
うぇ?移動できなかったよ?
「グルグル廻っていたでしょ?あれも移動の一種ですよ。生前の肉体感覚では移動できませんが、カメラのZOOMINとZOOMOUTで移動可能です。」
あっ 廻ってたな時代じゃないけど・・・歌いたくなるな・・・てか違うから、カメラ視点?ZOOMINとZOOMOUTって視点の拡大と縮小?
「そうですよ、下を見てください。湖と森の境界があるでしょ?そこに視点を固定してZOOMINをイメージしてください。」
言われた通りイメージしてみると一瞬で移動した。
おおー こんな簡単に移動できたのか・・・歩くのかと思ってたから全然気づかなかった。めっちゃ速かったけど瞬間移動なのかな?でも風景も高速で移動してたから単にスピードが速いだけか。
あれ?キュリアがいない。元いた上空を見ても星が見えるだけで居なかった。
「少しそこで待ってて、今から分身で行くわ!」
あぁ 分身があるって言ってたね。確か人魚だとか?ボンギュッボンを強調してたな。
俺の顕現した姿が、生前のシルエットだとしたら彼女も・・・うんうん触れないでおこう。
ぼーっと考えながら待っていると湖の方から何かが泳いできているのが解る。シルエットは、確かに人魚だ。湖の畔に焦点を合わせ移動すると人魚も近づいてきた。
腰まである長い髪に軽くウエーブ掛かった金髪で赤い瞳の整った顔立ち、あまりに美人でドキリとしたよ。言ってた通りのグラマーでGカップはありそうな胸に貝殻ブラではなく、ピンクのビキニで胸のライン沿いに白いフリルのあしらった可愛い系、キュッと引き締まった腰に足は鱗と鰭で出来ている。
キュリアなのか?
「そうそう、これが私の分身よ!かわいいでしょ?」
そんなことを言いながら陸に上がって来よとする。おいおい!無理するなよ足無いだろ!!
しかし、陸に上がって鰭で直立すると鱗が落ちて足になった・・・
ヤバイ!デルタ地帯が・・・はいてた!上と同じピンクでパラオが付いている。
まあやっぱり水着だよね。てか水陸両用ってすげえな。
「うん!凄いでしょう、両用じゃないと困るのよ。私は湖だから泳げないとだし、近くの村に行くには、歩けないとだしね。」
確かに村はあったな。あそこに行けるのか。水着で?
「まさか、着衣!!」
おおー村娘の姿になった。オランダ風かな?それにしても胸は目立つなぁ。こいつ態と小さめの服着てるんじゃないか?
これもイメージで脱着可能なのか?。
「態とじゃありません!きちんと体に合わせて服を作ってますよ!変なこと言わないで!」
「もう素直に聞いてよ。 えへん。えーと、ほとんどイメージで何でもできるわ。分身の作り方もそうよ。こういうふうになりたいってイメージして分身!!でも、あなたはまだ作れないわ。森のエナジーが足りないのよ。」
そう言いながら、キュリアは、椅子と卓を作って見せた。座って話そうって事だろう。
エナジー?魔力か?魔法が有るのか?この世界
「魔力とは違うわ。生命活動が放出するエナジーを森が溜め込んでいるのよ。森を細胞だとすると動物や植物はミトコンドリアでエナジーを作ってくれてるのよ。」
「もちろん魔法も存在するわよ。でもいわゆる魔力ではなくてエナジーを使うのよ。」
ああなるほど、その感覚は、生前と一緒なのか。動物や植物はパラサイトしてるって事なのか。その代わりにエナジーを出すと。
「だいぶ理解してきたわね。エナジーの放出は、人族系が一番多いわよ。魔法を使うから、使われた魔法は、自然放出されるエナジーの何倍にもなるのよ。うまく取り入れたらエナジーの溜まるスピードが、格段に上がるわよ。森に住みやすい人族系は、昆虫人・獣人・エルフ・ドワーフかしら人間も少し開けた所を作れば、住み着くかもね。その辺は自分でいろいろ考えてみてね。」
うわ、インセクターまでいるのか。分身が作れるまでエナジーが溜まるのに何年掛かるの?森を発展させればいいのか?
「現状のままなら2000年くらいかかると思うわ。まだまだ生物も少ないようだしね。森を発展というより、豊かにする方が、結局は早くエナジーが溜まると思うわよ。」
2000年かよ長いねぇ。豊かにするって?
「食物連鎖を考えるって事よ。あまり教えちゃうと自分で考える楽しみが無くなっちゃうわよ?」
それもそうか。ありがとうな。
「うん!後は時間の概念を教えておくわ。私達には2つの時間があるのよ。先ずは、この世界の時間経過、そして生前の時間経過ね。さっき話したでしょ?700年が7日だって。この世界の700年は、生前の時間では7日って事なのよ。つまり貴方は、お亡くなりになられてから7日目に目覚めたって事ね。」
ああ!いきなり女性らしくなったときね!
なんか機械的に話してると思ったらいきなりだからな、焦ったわ。
「失礼ね!最初から女性の声だったでしょ?ただあの時は、ゲームのNPCがチュートリアル風に話すの真似したか・・・ょ」
彼女は何故か俯きもじもじしだしてうっすら頬も赤くなっている。
言葉の最後の方は聞こえなかった。
恥ずかしがるなら遣らなきゃ良いのに。
「うるさいわね!とにかく時間が二種類存在するのは解った?」
うーん100年1日ってのは計算しやすいから良いけど、もうこの世界に居るのだから生前の時間は関係ないんじゃないか?
「チッチッチッ それが関係あるのよ。解除!!」
彼女は、人差し指を顔の前に立て左右に振りながら言った。
彼女が言った途端、目の前が激しく点滅し始め、何かが、凄いスピードで動き回っている。
俺の身体の中をすり抜けていくものまである。
目の前にはキュリアが、微笑んでこっちを見ている。
なにこれどうなってるんだ?
「今の私たちは、生前の時間の中に居るのよ。監視!!」
光った時に止まった。朝になっているようだ。湖の湖面がキラキラ輝き朝日が昇ってきている。変わらずキュリアはこちらを向いて微笑んでいるが。
「今はこの世界の時間の中に居るのよ。時間の切り替えが可能なのよ。今のでこの世界は18日ほど進んだわ。今は、教えるために二人の時間をリンクさせてるけど基本はそれぞれ別だからね。それにこの世界には、1日はあるけど、カレンダーはないのよ。」
え?1日100年って?いったよね?
「そう、この世界には始まりが何年何月って決まってないのよ。100年ってのは私たち生前の感覚1年365日で計算して100年って事だからこの世界にはまだ年号もカレンダーもないのよ。もっと発展して国が出来たら変わると思うけどね。」
ああなるほど、人はいるけどまだ国になるほど発展してない世界なのか。
「そういう事、最後は言葉ね。この世界の言葉と文字をリンクして飛ばすわっ。送信!!、これで言葉も文字も解るはずよ。動物とも話してね。」
おおっ一気に情報が流れて来た。動物とも話せるのかよ。あれ?最初から情報送信してくれたら直ぐに終わったんじゃないの??
「えーっ! そんな事したら話しできないじゃない!!話し相手欲しかったんだもの・・・」
何となくしょんぼりした顔をしている
ああそう言う事か、寂しかったのね。
「寂しくなんかないもん!!暇だっただけだもん!!」
はいはい。でも有難う本当に助かったよ。
「では改めて、ハレダーウィン大陸へようこそ、大森林ライフをお楽しみください。」
ゲームかよ!!
「うふふ、何かわからない事が有ったら呼んでね。またねー。」
そう言って湖の中に入って行った。いつのまにか人魚の姿に戻り、キラキラ光る水面の中に
俺は、さて何しよう?
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