第41話 情報交換
昼間の間、ケミンは殆ど書斎に籠っているのでリビングでは女性達の情報交換が、連日行われていた。
入口の扉は、ラヴォージェに守ってもらっている。ケミンに突然入られないようにする為だ。
ケミンが来たらノック3回の合図が来る事になってる。
「昨夜も準備文様が出来たのね。此で確信が持てたかしら?カトレアもミラもエナジーを流されてる時に身籠るって思ったのでしょ?」
キュリアが、二人に状況を尋ねる。
「私、本当に出来たと思った。あと最後まで意識をしっかり持っていないと途中でエナジー止まると思う」
「ミラも頑張った。頭が真っ白になっても意識をしっかりって思ったら子供出来るが来た。」
「つまり、意識がないと確信が来ても気付けないから自動的にエナジーが止まるのね。快感に流されないようにしないと準備文様迄たどり着けないのね」
「僕、毎回意識が飛んでるけど・・・大丈夫なのかな?」
「私もですの・・・」
ベルとクララが心配そうに呟く。
「ベルは仕方ないわよ。前世でも未経験だったんでしょ?あんな強いのが来たら我慢するの無理よ。其れにエナジーはちゃんと蓄積されてるから、今回だけしっかり意識を持ってくれれば、そう時間掛からずに確信が来ると思うわ。其れとね、私とベルの守護精霊は、この森の守護精霊じゃないのよ。ケミンにラヴォージェがいる様に私達の補助精霊に為るのよ。重要なのは、他の10人の嫁達が、全員準備文様が出来る事なの。だからもし出来なくても心配しなくていいわ」
「クララも同じよ、今まででエナジーはかなり蓄積されているはずだから今回だけ頑張って意識を保つことに集中したら良いのよ」
二人とも頷く
此処でメリトが手を挙げる。
「はいメリトさん」キュリアが指す。学校の様だ・・・
「今夜、お姉様に準備文様が出来たら私は飛ばしてください。準備文様が何方か一人に出来たら守護精霊は生まれますので、私は辞退します。そうしないとケミン様の負担が減らないので・・・」
「解ったわ、ヒュパさんに今晩頑張ってもらって準備文様出してもらいましょう。でももし出来なかったらメリトさんが明日頑張るのよ。其れと、お嫁になるのは辞退したら駄目よ。此れは確定事項だから」
「そ・それは・・・」
「あのね、エルフの人口を増やすのに普通に子供を作ることも重要なのよ。だから如何してもエルフは2人の嫁が必要なのよ」
「解りました・・・」
今度こそメリトは納得した様だ。
「次はその先ね、受精魔法の時、如何なったのか知らないと拙いわよね、ハニービー教えて頂戴」
「わたくしは、4度目の受精魔法の時に受胎確認が出来たのですわ。其れはもう、エナジーがいっきに放出されますから凄い事になりますわよ。前の3度の時との違いは、ケミン様から受精のイメージが、明確に来た事ですわ。それ以外は違いがないと思いますわ」
「ケミンから受精のイメージが来たの?自然と意識に浮かんだのじゃないのね?」
「イメージが来ましたわ。でもケミン様がイメージしてるとは限りませんわよ。受胎確認できた時になんでだろうって言ってましたから」
「そうなのね、ではヘディの時にケミンにイメージして貰って検証しましょうか、ヘディ御願いできる?」
「解ったキュリア様、ケミン様に頼んでみる」
その話をしているとノックが3回なった。
「ケミンが来たみたいね」
ヒュパさんと俺は、リビングに向かっている。用事を思い出したからだ。
リビングに着くとラヴォージェが扉の前に立っていた。
「何かあったの?みんな居る?」
「何もありません。皆さん揃っております。少々お待ちください」
扉が3回ノックされた。何だこれ?扉をラヴォージェが開けてくれて中に入った。
「おお、みんな揃ってるね、新しいお嫁さんの服も作らないとだよね?また街に行かないとだめだよね?」
「え?服を作るだけなら街に行かなくても大丈夫よ?ロザリンドさんに来てもらえば良いのよ」
「えー?そんな事できるの?」
「出来るわよ。前回は、ケミンが街で買い物したこと無いから一緒に行ったのよ。船も無かったでしょ?船は見て買う方が、気に入ったものが買えるもの。普通の買い物ならローレンス商会を呼べばいいのよ」
「どっかの貴族かよ・・・」
「私達はもう貴族扱いなの!てか、あんまり街に行くと混乱するから大変よ。私だって変装して行くんだから」
「マジか・・・芸能人みたい・・・キュリアは可愛いから変装するの大変だな、見破られないようにするんだろ?」
「可愛い・・・ポッ、有難うケミン大好きよ」
「愛してるよキュリア」
キュリアは真っ赤になって言った。他の嫁達からはジト目で見られた。
「兎に角、クララに頼んでロザリンドさんに来てもらうわよ、クララお願いね」
クララは直ぐに通信を始めた。
「それなら、ロザリンドさんが来たら教えてくれるかな?進捗とか聞いておきたいから」
「解ったわ、今日直ぐは来れないわよ?ケミンはこれから如何するの?」
「また書斎、夕食迄、小説読んでるよ」
「本当に小説を読むのが好きねぇ。まあいいわ行ってらっしゃい」
「じゃーまた、夕食の時に」
俺は、書斎に戻る。今度はメリトさんが付いて来ていた。
ケミンが出て行くとラヴォージェが扉を閉めた。
「さて続きを始めましょう。ラヴォージェまたお願いね」
ラヴォージェは頷くとまた外に出て扉の番に戻った。其れを見てキュリアはまた話し始めた。
「ヒュパさんは、今晩頑張ってもらうしかないわね。前も話したけれど、快感に流されないで意識を保つことに集中したら準備文様が出来るみたいなのよ。今までの蓄積も有るし今日出来るように頑張りましょう」
「はい、でもメリトの事を考えると私・・・」
クスクスとベルが笑う
「姉妹で考えることは一緒なんだね。メリトさんもヒュパさんに準備文様が出来たら自分は身を引くみたいなこと言ってたし」
「本当ね。姉妹そっくりなのよねぇ。ヒュパさん心配しなくてもメリトさんの結婚は、確定事項だから大丈夫よ。勿論、ヒュパさんの結婚も確定事項だからね、一人が守護精霊をもう一人が普通のエルフを産んでもらう事になるわ」
キュリアがヒュパさんに説明した。
ヒュパさんは涙を泛べながら頷く。
「妹は、本当にケミン様の事をお慕いしていて、妹に準備文様が出来た方が良いと思っていたのです。」
「此処にいるみんなが、ケミンの事を慕っているわ。ヒュパさんもね。みんな一緒よ」
夕食が終わり、風呂から出るとリビングに集まる。
今日は、ヒュパさんがメイド服ではなくエルフの衣装で待っていた。此の衣装も可愛いな、めったに見れないレア衣装である。
「それじゃー行ってくるね」
「皆様、頑張ってきます」
綺麗なお辞儀をしてヒュパさんが皆に向かって言った。皆一斉に頷いた。
メリトさんに案内されて、俺はヒュパさんの手を引き部屋に向かった。
部屋に入り、メリトさんが言う。
「お姉様頑張って下さい、ケミン様、宜しくお願いします」
ヒュパさんと俺はしっかり頷く。
メリトさんが退出するとヒュパさんが「宜しくお願いします」と言った。
直ぐに寝室に入り、ヒュパさんは下着姿になる。何時もの様にストンと衣装が落ちた。
衣装をたたむとそのまま仰向けになった。
俺はヒュパさんの横で正座をして両掌をお腹に当てる。そしてゆっくり少しづつエナジーを流し始める
(ううぅ、やっぱり凄い・・・意識に集中しないと・・・)
ヒュパさんは何度か呻いているが、気持ちいと言う事なので気にせずゆっくりエナジーを流す。
「頑張ってヒュパさん」
俺は声をかけると嬉しそうに見つめられた。
そして20分くらいたった頃、準備文様が出たのだった。
「おめでとうヒュパさん準備文様が出たよ」
「あああぁ、ケミンさまぁ・・・今日だけは一緒にお願いします」
そう言うとゆっくり目を瞑った。
俺は、着替えると一緒に寝たのだった。
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