第29話 魔法のお勉強
朝俺は目覚める、隣にベルが寝ていた。真赤な髪のストレートのロングヘアー、顔に数本の髪の毛が付いている。俺は、頬についた髪の毛を軽くのかすとコバルトブルーの瞳が開かれる。
「おはよう、ベル、よく眠れたかな?」
眠そうな眼をしたままベルは答える。
「おはようケミン君?・・・んん?えっ?」
ベルは、ガバッと起き上がった。何か取り乱してる感じがする。ベルは自分が下着姿なのが恥ずかしいのか、布団で体を隠しながら恥ずかしそうに言う。
「あの、僕・・・昨夜一緒に寝ちゃったのかな?何かその・・・端ない事してなかったかな?」
「疲れて動けないから寝るって言ってたの覚えてないの?端ない事はしてないよ?」
俺は訝しく思う。あの時はもう夢うつつだったのかな?普通に話してたと思ったけど・・・
(頭の中が真白になってて何も覚えてないなんて言えないよぉ)
「そうなんだ。ぼ・僕、着替えるから」
赤い顔で俯きながらベルが言った。
「あーごめん、俺はリビングで待ってるよ」
俺は寝室を出て行った、リビングで何時もの白衣に着替えるとソファーに座った。
暫くすると寝室からベルが出てきた、昨夜の服装のままで髪はまだストレートのままだ
「僕、一度部屋に戻るよ髪を直さないといけないし・・・」
「解ったよ、それじゃ朝食で会おうね」
ベルが部屋に戻って行って、暫くすると扉がノックされる。
「ケミン様、朝食準備が整いましたので、お迎えに参りました」
お!今日のお迎えはヒュパさんかな?最近は声で解るようになってきた。
「直ぐ出るよ」
一言いうと扉が開かれてヒュパさんが入ってきた。
「おはよう御座いますケミン様」
「おはようヒュパさん」
そう言うと扉を開けたままその場で待機している。俺が外に出ると扉が閉められて俺を案内する様に食堂に向かって歩いていく。スピードも俺の歩幅にちゃんと合わせてくれている。メイドさんスゲーーー!
「このくらいの事が出来なければ、ケミン様の専属メイドなどと言えません」
エルフメイドも俺の心が判るのか?
あれ?俺はなんで皆の思ってる事が判らないんだろう?
そんな事を考えながら歩いていると食堂に着く。
もう皆集まって席に着いている。ラヴォージェが椅子を引いてくれるので俺は其処に座る。俺が、席に着くと食事の準備がされる。食事が終わると皆でリビングに移動する。ソファーに座ると紅茶が出されて寛ぐ。これが朝の日常だ。
「ラヴォージェさん聞きたい事が有るんだけど・・・」
「何でしょうか?ケミン様」
「俺はなんで皆の思ってる事が判らないのかな?他の人は、俺の思ってる事を判るみたいなんだけど・・・」
((((((そんなこと絶対教えちゃ駄目)にゃ)なの)よ)だ)
「ケミン様・・・判らない方が、良いかと存じます。判らない事が有る。その方が人生の楽しみの一つになるでしょう」
「そんな物か?」
「そんな物で御座います」
(ケミンが単純でよかったわ、ラヴォージェ絶対教えちゃ駄目だからね)
「ケ・ケミン、今日は何するのかな?」
キュリアは何を焦ってるんだ?
「焦って無いわよ!何するのか聞いてるの!」
「書斎で魔法の勉強でもしようかなと思ってたんだけど・・・」
(ラヴォージェ、魔法の本の中に念話はあるの?もし有るなら消して!)
(念話は御座いません。)
「解ったわケミン、頑張ってらっしゃい」
急にニコニコしてキュリアは言ってきた。
「お・おう、行ってくるよ」
俺は自室に戻り書斎に入る。
色々な本があるな、基礎魔法?なんて本があるな、俺は中を確認する。
基礎魔法には、水風火土の四種類が存在する。と各々のイメージの仕方が載ってるな。それと威力と範囲はエナジーの使用量に比例するか。
試しに火の付け方を本の通りにイメージしてみる人差し指を立て指先に蝋燭の火がつくイメージと!
指先にエナジーが溜まりポッと火が点いた。少しだけエナジーを増やすと灯火が大きくなってくる。エナジーを止めると消えた。
本当に基礎の基礎だなぁ。此のくらいは読まなくても出来るぞ。此の本はパスだなぁ。枯れ木も山の賑わいで置いてあるのかな。俺は本をもとの場所に戻す。
この前見た本にするか、確かこの辺に・・・
精霊魔法と召還魔法っと有ったぞ、えーと、精霊魔法とは、精霊に力を借りて行う魔法?
何だ此は?俺が精霊だよねぇ?
精霊は膨大なエナジーを持っておりそのエナジーを借りて魔法の威力を上げる?
精霊師又は精霊契約者が使う事が出来る。って人族用の本なのか?
「誰かいるかな?」
俺が声をかけるとヒュパさんが入ってきた。
「お呼びですか?ケミン様」
「ラヴォージェを呼んできて欲しいのだけど」
「畏まりました。少々お待ち下さいませ」
スッとヒュパさんは出ていく、暫くするとラヴォージェとヒュパさんがきた。
「ケミン様如何なさいましたか?」
「此処にある本て人族用の本なの?」
「本は全て人族用ですよ?人族が書いた物です」
「あー!そうなのか。ラヴォージェが作った本だと思ってたから俺用に新しく作ったのかと思ってたよ」
「作ったのは私ですが、此の国にある本を再現したのです」
「成程、其でね精霊との契約者が精霊魔法を使えるらしいけど契約出来る人間がいるの?」
「精霊師は生まれつき契約を持っております、また人間に召還された精霊は、契約を結ぶ事が出来ます」
「俺が召還される事は?」
「ケミン様を召還出来るほどのエナジーの持ち主など存在しませんが、クララウラ様は加護を受けておりますのでケミン様と直接繋がっております。ですから準精霊に為られております。名付けをおこなった三種族も間接的に繋がっております」
「加護って大丈夫だったの?準精霊とかは?」
「加護に関して問題ないでしょう。本人が望んでおりましたので、準精霊は1000年経つと肉体から精霊体が分離し精霊に顕現します、肉体はそのまま分身となります。さらに1000年経過すると守護精霊になる権利が発生します」
永遠の命って事か?
「永遠とは言えないですが、かなりの長寿命ですな。有り得ない事ですが、ケミン様と直接繋がってますのでケミン様が逝去するとクララウラ様も逝去致します」
「俺が逝去するって?」
「ケミカリーナ大森林が失くなった場合ですが・・・その時は此の星が失くなる時しか有りません」
「100億年単位の寿命って事か?この星と俺は一蓮托生なんだな、その先は如何なるの?」
「確かに。蓮の台の半座を分かつともいいます。その先ですか?確定未来ではありませんが・・・星として生まれるか・・・宇宙と一体となるか・・・何方にしても一度長命種になると簡単には短命種に戻りません。宇宙と一体になった場合、まさに永遠不滅の生命になりますな。」
「其れって神に成るって事か?」
「人族の言う神ではありませんな。人族の言う所の神は、キュリア様やケミン様ですから、宇宙と一体になるとは、自らが宇宙そのものであり体の全てになる、全ての星々を網羅する生命と言う事ですな。」
「壮大過ぎてよく判らないな。人族の神は、キュリアは解るけど俺も神なの?」
「ご自覚は無いでしょうけれども神と崇められてると思いますよ。何しろ女神キュリア様の旦那様になるのですから・・・」
「えーーー?付属で神扱い?其れは一寸・・・」
「いえいえ、抑々、キュリア様が神と崇められる以前から大精霊様達は、神と崇められておりました。王国が出来てキュリア様を女神としての信仰が、新しく起こっただけで御座います」
「新興宗教の神に追加されるって事かよ、此れは参ったなぁ・・・」
そんな話をしていると扉がノックされて声が掛かる。
「ケミン様、クララウラ様が御出でになりました。取り急ぎお伝えしたい事が、有るそうで御座います。如何いたしますか?」
メリトさんか?一緒に来てるのかな?
「入ってもらって良いですよ」
早急に伝えたい事てなんだ?そんな事を思っていると扉が開きクララさんが入ってくる。
クララさんは少し慌てている。
「ケミン様、ジェンナーの精霊師から通信がきましたの。王国が使者を此方に送るとの事ですの。到着の予定は、八日後の昼だそうですの」
「えええーーーー?何で王国から使者が来るのーーー?」
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