第21話 森林会議と言う名の大変な出来事
四日前のオセロット達の到着を皮切りに日を追うごとに会議の参加者達が、迎賓館に続々と到着した。俺が一々対応するのも大変なので、ラヴォージェとエルフ達に任せている。
しかし、こんなにも住人達がいるとは思わなかった。オセロット、ウィローモスに人間は知っていたが、ドワーフ、コモドドラゴンの様な爬虫類人レプティリアンやハナカマキリ型の昆虫人インセクター、犬型獣人コボルドに普通の熊さんや虎さんまで来てた。普通の動物が会議に出て如何するんだろうか?第一に言葉が解るのか?疑問ばかりが浮かんでくるよな。
更には、飛空蜥蜴ワイバーンに乗って一人の女の子が、巨大な獅子に乗って長身イケメン男子が来た、こんな人達、何処に居たんだよ・・・
そんな忙しい日々が過ぎ、会議当日の朝がやってきた。今朝も苦しい・・・優しく抱かれたのは、四日前からの寝る時だけで、寝てしまうと窒息ブレストプレスだったのだ。根本的な原因を排除しないと駄目だな・・・
俺は考察する、キュリアは自分が顕現体になるのは嫌だと言った。最近は寝る時だけは力加減が調整されている。しかし、寝てしまうと窒息攻撃になる。
其れならば、俺が顕現体で寝たら良いのではないだろうか?試に窒息ブレストプレスを受けながら分身を収納し顕現体ゲンブツになってみる。
すると、圧迫されていた手がするりと抜けて自分を抱きしめていた。おおー!これからは此れで行こう!キュリアが寝たら顕現体に戻るっと!いい案が浮かんだので今日は、ペシッを止めておこう。
俺は起き上がると分身に戻し外に出た。
外に出ると何時もの様にラヴォージェとハニーが話し合っている。
其れとは別に小さな女の子とイケメンが踊り場の円卓についていた。
女の子は、真っ赤な髪をポニーテールに纏めてあり、コバルトブルーの瞳で整った顔立ち、身長は、俺より若干大きい。てかこんな子にまで負けるのか・・・ガクン
男性は、ダークブルーの髪色に若干垂れぎみの金色の瞳でおっとりとした印象である。
円卓には、ラヴォージェが出したのであろう紅茶と果物が出ている。
「おはようラヴォージェ、ハニー、此の方達は?」
「「おはよう御座います、ケミン様」」
「女性の方がアレクサンベール様です。男性の方が、グーテンベール様です。ケミン様と同じ大精霊様達です」
『そう言うこと、宜しくねケミン君、僕のことはベルって呼んでほしな』
ニッコリ微笑みながら女性から挨拶される。
「宜しくケミン、私はグーでいいよ、じゃんけんじゃあないからねぇ」
話し方もおっとりしてるな、これ突っ込んだ方がいいのか?
「二人共宜しく、てか何でうちの会議にきたの?」
『僕達は、会議にきた訳じゃないよ、君が起きたってラヴォージェさんが通信したのを聞いて会いに来たのさ。でも吃驚したなぁ君とキュリアさんが、こんな関係だったなんて・・・』
イタズラっぽく笑いながらベルが言った
「いやいやいや!全く関係ないから!」
「そう言われてもぉ、いつも一緒に寝てるってラヴォージェさんが言ってたよぉ?」
グーもからかう様に言ってきた。
「其れはキュリアが勝手に来るだけで・・・」
パッカーーンっとまたもや叩かれる、痛い、今日はペシッを控えたのに・・・
「キュリア痛いよ!」
「私が勝手に来るだけってなによ!貴方は私の旦那でしょー!」
キュリアはカンカンに怒ってる
「勝手に旦那にするなよ!結婚してないから!」
「『此れが毎日のお約束なんだ、アハハハハハ』」
ベルとグーに大笑いされた。
ハニーは俺をひょいと抱き上げると頭を優しく撫でる
「此処までが仕様ですわ!」
『ケミンはモテモテだね、キュリアさんが此処まで御執心だなんて、僕も興味が湧いたかも』
不吉が増えたー
『不吉はご挨拶だなぁ、興味が湧いただけなのに、まあ此からも宜しくね』
そう言って紅茶飲み干すと迎賓館に降りていった。
「迎賓館に行ったって事は、此処に残るのか・・・私は一度帰るよ、王国の侵略者が、平原に街を作ってね、面白そうだから今手伝ってるんだ」
グーは、パチンとウインクして楽しそうに言い獅子に乗って帰っていく。
「侵略じゃないーー!間借りしてるだけですーー!」
キュリアが言うと解っているとばかりに手を上げて去っていった。
広場では会議の準備が終わり、既に皆が揃い始めている。俺達四人が降りていくと拍手が沸き上がった。
俺は手をあげて制止させると言う
「皆さん、今日集まってくれて有難う、会議と言うよりは、俺の事を皆に知ってもらおうと思い集まってもらったんだ。俺を見たことのない種族長も居るので此から宜しくね、俺の事はケミンと呼ぶようにしてね」
そう言うと皆から忠誠を誓う言葉が溢れた。
其処まで固くなくていいのに・・・
「此から森の住人達の行動指針伝えるね。
一、皆仲良くする事・各々の族長は今日友好を深めてね。
一、欲張らない事・欲張ると喧嘩になったりするから程々をいつも心掛けてね
一、皆で助け合う事・何かあったら何時でも此処に来てね」
其処まで話すとまたもや拍手が鳴り響く
「各々の族長は今から友好を深めてね」
そう言うと皆で話し合いが始まる。
熊や虎は何をしているかと言うと俺のとなりで寛いでいた。まあそうだよね、多分俺にモフモフを提供する為に来たのだろう。
と言う事で俺は遠慮なく熊さんのお腹に顔を埋める
はぁぁぁ気持ちいいーー!すると虎さんも近づいて横になる、俺は撫で撫で攻撃で応戦する此方も気持ちいいー!
すると虎さんから背中モミモミ攻撃を返された
おおー!肉球が柔らかいポミュポミュとこれも気持ちいいぞ
俺は熊さんを枕にして虎さんの肉球をモミモミプニュっとする。
会議中に何をやってるんだって突っ込みは聞こえなーい
そんな事をしている内に会議は滞りなく終了した。
しかし、此処からが大変だったのだ・・・
各々の族長が帰りの挨拶にきたのだ。
コモドドラゴンの爬虫類人は貢物として大量の牛肉を持ってきた、ハナカマキリの昆虫人はシルクの反物を持ってきた。蚕の養殖をしているらしい、蚕の蛹が好物で副産物でシルクが取れるらしいが・・・普通はシルクが主産物だよねぇ、ドワーフは、宝石類を沢山、北に鉱山を掘り住宅兼採掘場としているらしい、穴の中にずっと居たら見つからないよ。
犬型獣人コボルドは香辛料とコーヒー豆にカカオを持ってきた。南の端の方に住んでるのだそうだ・・・
そして人間がきた・・・
ナイスミドルのイケメン黒髪に鳶色の瞳の男性と黒髪ツインテールで同じ鳶色の瞳の少女と護衛が来る
「ケミン様、私は、南の街ジェンナーの市長をしております、アルフレート・ロワイエと申します。こちらは我が娘、クララウラ・ロワイエと申し精霊師をしております。そして此方をお納めください」
そう言いながら、多量の金貨が入った箱を持ってきた。
お金要らないんだけどな?などと思っているとクララウラ・ロワイエと名乗った女の子が言う。
『ケミン様、此れは税収ですの。ジェンナーは森の中に存在する街ですの。ですので、王家より街の税収の一部をケミン様に上納する様に申し付けられておりますの』
ん?此の子、俺の心が読めるのか?
『そうですの。ケミン様の御心を察するのが私の仕事ですの。人間は、精霊様の御心を知ることができませんの。王家と精霊師だけが御心を察する事が出来るのですの』
「ケミン様、我が娘をケミン様にお仕えさせて頂きたく、精霊師の真の仕事は、一生を大精霊様に仕える事に御座います。なにとぞケミン様のご加護をお願い致します」
『ああ、それで新しい精霊師が必要だったの・・・』
『なにとぞ、ケミン様のご加護をお願い致しますの』
顔を赤くして俯きながら言った。何この展開・・・
「ラヴォージェ如何言う事?」
「うーん、人と通信できる者も一人は必要かと・・・ここは仕方ありません加護を与えるのが宜しいと思います」
「だから加護ってなによ?」
「ケミン様の寵愛を与える事です。我慢してください!」
珍しく語尾が強かったな・・・また我慢かよ?
「加護を与えるのに我慢が必要なの?てか如何に与えたら良いのよ」
「この娘に手を翳すだけで大丈夫です。」
俺は、軽く手を翳すと自動的にエナジーが放出された。そして女の子が光りの玉の中に入った。
光が収束すると白銀ツインテールの髪型で鳶色の瞳の可愛い女の子がそこに居た、真っ白なドレスを着ている。おおー!っと周りからも声が上がった。
何これ?やばい展開じゃないか?
「ケミン様有難う御座います。クララしっかりケミン様にお仕えするんだよ」
『ケミン様、此れから宜しくお願い致します。』
父親と娘が抱き合い別れを惜しんでいた。なんか俺、悪者か・・・?
「ケミン様、娘をよろしくお願い致します。それでは失礼します」
そう言って市長は去っていった。
次に来たのは、ウィローモスの集団だ・・・嫌な予感がするなぁ・・・
「言っとくけど加護は無しね・・・」
「ケミン様、族長のウィズドと申します。この娘は、警護隊副隊長のヘディと申します。我々に御加護は要りませんよ、もう御名前を頂いておりますゆえ」
「そうか良かった、また光ったら如何しようかと思ったよ。それにしてもいつ見ても綺麗な毛並みだね。ちょっと触って良いかな?」
『どうぞお触り下さい。』
と言ってヘディが前に出る・・・え?
「何でヘディさんが?族長で良いのだけど・・・」
「ヘディの毛並みが、我が種族の中で最も美しいのです。どうぞご堪能下さい」
そう言われると、確かに一番輝いて見える。恐る恐る近づいて触ってみるフワフワだー!
俺は、ヘディに抱き上げられる。おおー!かなり気持ちいいな!毛皮に包まれてるみたいだよ・・・てか生毛皮か?肌触りが最高だな。
「ヘディ有難う、もう降ろして」
このままだと一生抱かれていたくなりそうだな・・・
『うふふ、ケミン様を一生御守りします』
「ケミン様、我が種族は、ケミン様の盾となるために生まれた種族で御座います。このヘディは、護衛としても優秀ですので、ケミン様に仕えさせたいと思っております。どうぞお傍において頂きたく」
「ラヴォージェ?此れも解らないんだけど・・・」
「ケミン様、護衛は必要でしょう、それに手も足りませんし・・・」
「解ったよ、ヘディ宜しく頼むね」
『私の命に代えましても御守り申し上げます』
「ヘディよ、宜しく頼むぞ、そして、あわよくば嫁・・・ゲフンゲフン、それでは失礼いたします」
今何か不穏な事を言ったよな・・・
次はトテトテとリーゼ達が来た。ケミン様ーと言いながら抱き着くパターンは変わらないな
「本当にリーゼは甘えん坊だな」
妹みたいに可愛いと思う。俺の実の妹は、ここまで甘えなかったけどな、兄貴ウザいとか言われてたし
「甘えられるのも今日が最後ですにゃ、抱っこして欲しいにゃ」
俺は、お姫様抱っこしてやると顔をスリスリとしてきた。
「ケミン様!ラーニャをケミン様を守る爪として置いていくにゃん!ラーニャは私の次くらいに強いにゃん!絶対役に立つにゃん!」
「そしてお嫁に・・・・・!」『リーゼ様!其れは言ってはいけません!』
待女が何か叫んでる。被せられてよく聞こえなかった。
「ケミン様、ラーニャですにゃん!ケミン様をお守りしますにゃん!」
俺はもう諦めの見地に到達してきた。
「じゃー宜しく頼むよ・・・」
「はいにゃ」
ラーニャは、恥ずかしそうにもじもじしながらも答えた。
最後に来たのはエルフ達だ。
ハイエルフの夫婦が言う、シンクロ率100%で・・・
「「ケミン様お疲れ様でした」」
そして二人のエルフのメイドが付いてきた。
二人とも檸檬色の髪の毛で一人はショートヘアーもう一人はロングの髪型で菫色の瞳をしている。勿論、ゴシック調のメイド服を着ている、この二人は、他のエルフと違いちゃんと胸が有る、かなりのボリュームで。皆スレンダーじゃ無かったのね。
「「此の娘達は、メリトとヒュパと言います。ケミン様の専属メイドとして仕えさせてください」」
「ラヴォージェ・・・?」
「仕方ないですな、メイドは欲しかったので宜しいでしょう」
『『ご主人様、何なりとお申し付けくださいませ』』
こっちもシンクロしてるのかよ・・・・
挨拶がやっと終わったので俺は林檎の家に戻ると踊り場の円卓でキュリアとベルが紅茶を飲みながら待っていた。円卓の上には果物を散りばめたビスケットが出ている。俺は一個口に入れる。美味しい!
「それでケミン何人残ったのよ・・・」
「五人かな、精霊師って言う名の通信使と盾と爪とメイドが二人だよ」
『ふふふふ、だいぶライバルが増えたみたいだねキュリア』
早速メイドが俺に紅茶を入れてくれた。おおー!仕事が早いな!
ベルは面白そうにキュリアに言っている。
「だいぶどころじゃ無いわよ!加護迄与えてるんだから・・・あの娘なんてもう準精霊じゃない」
「えーーー?ラヴォージェはそんなこと言って無かったよ?」
「それはケミンが聞かないからよ!」
『それにハニービーも居るんでしょ?ケミン君お嫁さんが一杯だねぇ』
『僕も立候補しようかな・・・』
「いやいやいや!嫁じゃ無いから通信使と盾と爪とメイドだよ」
「『そういう名前の嫁候補なんだって!』」
ここもシンクロしてる・・・
『これからは誰が正室になるかだな、僕も頑張ろうかなぁ?うふふ』
「ベル止めてよ!遊びで揶揄わないで!」
「ラヴォージェーーーー!如何なってるんだよーーー!」
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