第38話 奥様会議

嫁達が揃った次の日に奥様達の話し合いが、開かれた。初めて同席を許されたケミンは、静かに聞いている。


司会はいつもキュリアのようだ。


「先ず、新入りのお嫁さん達に自己紹介してもらいましょうか?」

「ハナカマキリ種のパフィオペディラムです。パフィオと呼んでください。得意技は、擬態です」


そう言うと蘭の花になった。正に名前のままパフィオペディラムの花で、もう擬態ではなくて変身のように見える。

擬態を解くとニッコリ笑っていた。


「わ・私は、コボルドのフリーゼと申します。宜しくお願いしましゅ・・・」

言い終わると同時に顔を真っ赤にした。そして、かなりおどおどしながら話している。噛んでるところもあった。そこまで緊張しなくても・・・


「私はコモドドラゴンのカトレア、私はケミン様の鞭」

そう言うとしっぽを横凪ぎに払った。太いしっぽが、ビュッと唸りを上げて振られていた。過剰防衛が増えた。


「ミラは、ドワーフのミラだよ。ケミン様に色々作ってあげる為に来たの。ミラはなんでも作るよ」

先ず最初に作るのは、守護精霊になるのだが・・・


今度は、先輩お嫁達が、いつもの自己紹介をおこなった。

そして、奥様会議が、始まる。キュリアが、最初の議題を言う。


「ケミンがいる間に結婚式の日取りを決めちゃいましょうか」

皆が一斉に頷く。


「今から1年以降だと皆、子持ちになっちゃいそうだよね、さすがに恥ずかしいと思うのだけど・・・」

ベルから現実的な話が出た。


確かにハニーは、もう受精確定してるし、ヘディもラーニャも準備文様が出ているので遠からず、受精確認出来るだろう。他の女子達が準備文様が出るのも時間の問題だしねぇ。


「できちゃった婚?って事になるですの?」

クララが、首を傾げながら聞く。


正式に結婚式は挙げてないからできちゃった婚なのだろうか?でも守護精霊を作るのは最優先事項だし・・・

ハニーが、言う。


「わたくしは、どの女王が、式に出ても感覚と意識を共有化出来ますの。ですから妊娠中の女王は出ませんわよ」

なにー?感覚と意識の共有化だって・・・


だから他のハニーが、来ても違和感がなかったのか。


「結婚は最初から決まってたの。だから、できちゃった婚にはならないわよ。でもお腹の大きな花嫁は確かに恥ずかしいわよね・・・」

顔を真っ赤にしたキュリアが言った。


自分の妊婦ウエディングドレス姿でも想像したのだろうか・・・

パッカー―ンっとまたもや何処から出したか判らないスリッパで叩かれる・・・痛いよ!


「バカケミン!なんてこと言うのよ!」

何も言って無いじゃん!静かに聞いてるのに・・・


「貴方の声はまる聞こえなのよ!妊婦ウェディングドレス姿なんて変な事言わないでよ!」


「それなら、国王には1年先って言ったけど、別に短く為っても大丈夫でない?さすがに明日とかは不味いと思うけど・・・」

俺は短くする提案をしてみた。


「「私達も早く結婚式したいです」」


俯きながらエルフ姉妹が、言った。相変わらずシンクロ姉妹だな。

普段、専属メイドに徹しているヒュパさんとメリトさんが、自己主張するのは珍しい!


「ケミン様が、起きた日がいいにゃ」

ラーニャが、提案する。


俺が起きた日って言うと4月19日か?確かキュリアがそんな事を言ってた気がするけど・・・

「成程、ケミンが起きてから丁度1年ね!良いじゃない?」


皆一様に頷いて言う


「「「「「異議なし」」」」」


「これで決まりね!式の日取りは619年4月19日で決定します!」

皆で拍手した。全員本当に嬉しそうだった。


「クララ、日取りが決まったと王国に連絡してね」

「はいですの。今日必ず連絡しますの!」




「ケミンは此処迄!女子の大事な話が有るからラヴォージェと一緒に書斎でも行ってて!」

両手を腰に当ててキュリアは言った。なんか偉そうだな・・・


 「はいはい、ラヴォージェ行こうか・・・」

キュリアのスリッパが来そうだったので慌ててラヴォージェと出て行く。


俺は、書斎に籠りまた小説を読み始める。今日は、童話の様で迷子になった蜜蜂が、お母さんを探しながら旅をするお話だ・・・どっかで見た事あるような・・・










ケミンが出て行ったのを確認するとキュリアが、言う

「それでは、続きを始めましょうか・・・」


「準備文様が出来た時ってどんな感覚だったの?ハニーには、受胎確認したときも聞きたいわ」

「「「「「ええーー?そっちの話しー?」」」」」


全員呆気に取られて言った。

「やっとお嫁が全員揃ったのだもの、きちんと情報を共有しておかないとみんな大変よ?毎回凄いでしょ?」


皆恥ずかしそうにしながらも頷く

新入りのお嫁達は、ごくりと喉を鳴らし皆顔を見合わせた。


「そんなに凄いのですか?」


「凄いのよ、行為自体は、お腹に手を当ててエナジーを流されるだけなんだけどね、エナジーが子宮に流れた時の快感が・・・」


「わたくしが、準備文様が出来た時も凄かったですわ。何度も昇り詰めて・・・頭が真っ白になってもまだ続いていて、わたくし、この人の子供を本当に欲しいと思いましたわ」


「私もそうだったな、3度目で準備文様が出来たが、快感を通り越して頭が真っ白になってもまだ続いていて、このまま身籠ると思った」


「ん、わたしもにゃ、木天蓼マタタビを10本貰ったくらい気持ち良くなって、ごろにゃーして分からなくなってもまだ続いててケミン様の御子が出来ると思ったにゃ」


「僕は、もう5回受けてるけど毎回、頭が真っ白になって朝まで記憶が無いよ」


「私もですの、必死に手で口ををさえて声を出さないようにするのが大変ですの。ショーツも大変な事になるですの」


「「私達もです。ケミン様はお優しく、言い表せない快感が何度も・・・ でもケミン様は全く感じていなくてお可哀そうです」」


「そう言えば、僕の時もケミン君は、此れは義務だっって・・・全く感じてないならそう思っても仕方ないよね」


「ケミン様は、夜のお仕事と言ってますの、ちょっと寂しいですの・・・」


「それならば、エッチの方も解禁にする?全員揃ってるし頃合いだと思うのだけど・・・」


「え?僕は、キュリアは、毎回してるのかと思ってた・・・」


「してないわよ!てか!してくれないのよ!ケミンなりに皆に気を使ってるのよ・・・私だけ特別扱いはしないわ」

少し寂しそうにキュリアは言った。


「でもそうなると本当の御子か、エナジーの守護精霊か分からなく為らないか?」

ヘディ―は疑問を口にする。


「ラヴォージェに聞いてみるわ」

(ラヴォージェ聞こえる?守護精霊を作ってる時にエッチしたらどっちの子供が出来るの?)


 (キュリア様ですか、準備文様が出来る前で通常の行為を行って受精したら普通にハイエルフの子になります。此れは種族で違いますね。母親遺伝です。準備文様が出来ている場合のみ何方どちらでも守護精霊が生まれます。然し、受精魔法の方が確率が断然高いです。)


(解ったわ、有難う)


「準備文様が出来ていれば、何方で受精しても守護精霊が出来るそうよ。でも受精魔法の方が確率は高いのですって」

「わたくしはもう受胎確認できていますわ、夜の順番から外れてるしケミン様をお慰め出来ませんわ」


「そこは、昼の時間帯が有るじゃない?ケミンも小説を読んでるだけですものハニーが相手してあげたら喜ぶんじゃないの?でも毎日とかはダメよ夜だって有るんだから・・・」


「解りましたわ、それで手を打ちますわ」

「それじゃー全員が準備文様が揃ったらエッチ解禁で良いわね?」


全員が頷いた。


次に、正妻の話になった。


「正妻は如何するの?」

「正妻は、キュリアで大丈夫だよ?星天空の婚姻の儀までしてるし」


ベルが揶揄うようにニヤニヤしながら言った。

「やめてよ恥ずかしい・・・あんな事になるとは思わなかったの!」


本当に恥ずかしそうで揶揄いすぎたとベルは思った。

「ごめん、でも本当にキュリアが正妻でいいよね、みんな?」


皆全員頷く。


「有難う、しっかりケミンを支える正妻になるわ」


ここでまた皆から拍手が沸いた。


最後に夜の順番の話になったが新入りのお嫁を今日から入れる事になった。


パフィオ、フリーゼ、カトレア、ミラの順で続いて、エルフ姉妹、クララ、ヘディ、ラーニャ、キュリア、ベルの順に決まった。


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