第31話 船を作ろう


次の日からは、また平穏な日々に戻った。夜は忙しかったが・・・


因みに、準備文様が、浮かび上がったハニーは、2度の受精魔法でも受精確認は出来なかった。


受精魔法と言っても自分の持ってるエナジを一気に流し込む魔法で最低1日空けるのは、エナジーが無くなり、俺のエナジーが回復するのに一晩掛かるからだったよ。


どんだけエナジー使うんだよって感じだけど、ラヴォージェによると此れが普通だそうで1回で受精確認の赤い文様になったら奇跡らしい。


5回くらいは、普通らしく酷い時には20回くらい掛るらしい。今の現状考えたら最悪20週掛るって事だよな5カ月弱だよ!


此れって本当にエナジーの節約に為ってるのかな?そう思って聞いてみたら、クララに加護を与えた時に使ったエナジー量は森の総エナジー量の20%だったらしく、俺の身体に有るエナジーは、森の総エナジー量の0.1%しかない。


例え20回掛かったとしても2%しか使わないとの事だった。そう聞かされると節約にはなってるよな。


他の女性陣達は、三巡目に入っているが、未だに準備文様は出ていない。あまりに時間が掛かりそうなので一人ずつ準備文様が出るまで 毎日、エナジーを流そうかと提案してみたが・・・


 「あんなの毎日されたら(気持ち良すぎて)体がもたない!」

と全員に言われて却下されてしまった。そんなに辛かったのかな?兎に角、俺の夜の仕事はまだまだ続くらしい・・・ガクン





そんな日々を過ごしながら、さらに一週間が過ぎた。

俺は朝の寛ぎタイムにラヴォージェに質問した。


「ラヴォージェさん、今まで忘れてたけど・・・飛べない人達嫁たちの移動手段がないんだけど・・・」


 「はい、確かに失念しておりました。皆様飛べる方が多いので・・・、此処からジェンナー迄の通路を設置しましょうか?」


「ラヴォージェさんジェンナーからの連絡通路が欲しかったらもうとっくに作ってるよ、作りたくないから聞いてるんだよ?」


ジェンナー迄の街道を作る事はもう考えた。しかし距離も有るし、木も伐採しなければならない、これ以上は、開発したくない。


其れに街道が出来れば人が来るようになる。其れは避けたかったのだ。


船着き場を作っておいて今更だけど、支流のサイン川を使うのは殆んどが商人なので、此処に立ち寄る意味が無いのだ。取引の有る商人もいないしね。




「そうで御座いましたか。では、皆が乗れる船を仮に作っておきましょうか。」

「船なんて作れるの?」


「一応作れるのですが、耐久力が有りません。確実な交通手段にするならジェンナーで買った方が早いでしょう。又は資材を使って新しく作るのが宜しいかと。」


「成程、金貨も使わないといけないし船を発注しようかな?ジェンナーの街に皆で行こうか。皆の里帰りも出来るしね!」


そろそろホームシックに掛かるころじゃないかな?

「ホームシックなんて掛かりませんの」

「全然にゃ!」


「ケミン様の傍で守る」

あらら、全く大丈夫みたいでした。


「今日、用事がなければ皆で行きたいのだけど、都合の悪い人はいる?」

皆フルフルと首を横に振った。大丈夫そうだな!


「それじゃ行こうか」


「準備が有るから待ってて!」

そうか、女性の御出掛けには準備が必要だよねぇ・・・


「ラヴォージェ先に船着き場に行って船をお願い」

「畏まりました」


ラヴォージェが、出ていくと女性陣も自室に戻った。

俺はする事無いぞ・・・と思ったらヒュパさんが紅茶を淹れてくれた。


「二人も一緒に行くんだよ?着替えなくても良いの?」


「「私達は、此のままです」」

な・成程・・・私服も可愛いのに・・・


「「今は仕事中ですから」」

そう言われてしまうとなにも言えない・・・


「そうだ、シルクの反物も持っていこう!服を仕立ててもらわないとね!」

俺は倉庫に仕舞ってあったシルクの反物を異次元収納に納め、リビングに戻った。




そこにラーニャとヘディが戻ってきたが・・・

何で武装してるの?それが二人の御出掛けスタイルなのか?


「「私達が、ケミン様を守る」にゃ」

街に行くんだよ!戦闘じゃないから!皆に怖がられるだろ!


犯罪も無いような街に行くのに過剰武装だろ!此の森の中にだってその武装で戦う相手なんて居ないよ!

突っ込み処が満載だが・・・如何してもこれで行くと、言う事を聞かなかった。


次はクララが戻ってきた。


白のドレスで白銀のツインテール、チャーミングな鳶色の大きな瞳、うん可愛い!


「ケミン様、船なら父上に言えば用意してくれますの」

「いやいや!税収を還元しないとお金が回らないだろ?貰った分は使わないと経済が成り立たなくなるから良いのだよ」


「それと、今日此からジェンナー行くので騒ぎに為らないように連絡してくれるかな?昼過ぎには到着するって」


「解りましたの」

クララはそう言うと手を胸元で組ませて俯き何か呟いていた。


「返信が来ました。御待ちしていますとのことですの」

「有難うクララ」

いきなり行って騒ぎになると困るからね。




「さあ行きましょうか」

キュリアとベルが戻ってきた。


お揃いの水色のワンピース?にゆるふわ編み込みポニーテールもお揃い?姉妹かよ!


「良いのよ!」

ベルは恥ずかしそうにしてるけどな!


「ハニーは如何したの?」

 「ハニーはそのままラヴォージェと一緒に船着き場に行ってるわ。元々通い妻ですもの出掛ける準備は、してるわよ」


あー成程、言われてみれば・・・

俺達は家を出て船付き場に向かった。




船着き場に着くともうラヴォージェが、船を作ってくれていた。


中型のクルーザータイプのヨットでマストは1本セイルは大小2枚だな、スループタイプとか言うセイルの配置だな、キャビンもあり、俺達用にシートも完備されてるし、テーブルも有る。小さなキッチン迄備えてある。どこぞの富豪の遊行船だよ!しかもこんなの操船出来ないし!


 「操船はお任せください」

ラヴォージェ頼もしいな!出来ない事は無いのかよ!


 「泥船に乗ったつもりで安心してください!」

「泥船だったら沈んじゃうだろ!そこは大船だよ!」

一応突っ込んでおく・・・定番ネタをぶっこんできたなぁ・・・


 「ハハハハハ、やはりケミン様はノリが良いですな」

ラヴォージェは笑ってるけど・・・突っ込む方の気にもなってくれよ・・・




船が動き出すとヒュパさんとメリトさんが、お茶を持ってきた。仕事が早い!


下流に向かって下っているのと、ラヴォージェの風魔法で比較的早く進んでいく。船の揺れはほとんどないな。皆で優雅にお茶を楽しみながらジェンナーに着いた。


船酔いはしなかったのかって?水上交通が発達してる国だから誰も船酔いなんてしませんよ?


本流マリ川の川幅は広い、渡し船が必要なほどである。支流のサイン川には、跳ね橋が掛かっている。通常は跳ね上っており、人が通る時に渡される仕様である。


橋を渡る人より船が通る方が断然多いからである。支流から本流に入り市庁舎の近くの船着き場に停泊させる。他の停泊中の船を見ると、やはり貨物船が多いな。


荷物の積み下ろしをしている。水上バスも有るようだな。大型の水上バスは、王都に行くのだろうか?少し離れた船着き場には、小型の渡し船がいくつも並んでいた。


向こう岸に渡るためだろうな。


俺達が船を降りると市長のアルフレートさんが迎えに来ていた。クララの父親である。市長自らお出迎えとは・・・先が思いやられるな・・・


 「ケミン様、ようこそ御出で下さいました。街を挙げて歓迎いたします。」

「いやいや、ちょっと買い物に来ただけだから・・・普通にしてて欲しいんだけど」


 「お父様、ケミン様が困っていらっしゃいますの。」

クララが間髪を入れずに俺をフォローしてくれる。良い娘だよなぁ。


 「此れは失礼いたしました、街の案内は娘に任せますので、用事が終わりましたら一度庁舎の方にお越し頂けると有難く存じます」


「解りました。終わったら向かいます。」

 「では宜しくお願い致します。」


そう言って市長は庁舎の方に歩いて行った。








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