第45話 ヨットの改造 前編

8月中はジェンナーの街に滞在しているが、まあ俺のする事って無いんだよね・・・


昼の部だってそんなに時間掛からないし、1日おきに休みは有るから基本暇人なんだよなぁ。


街中をうろうろすると人だかりが出来るし・・・


まあ、危害を加える訳では無くて、俺と話したいとか触りたいとかの欲求がちょっと強く出てるだけなので安全なんだけどねぇ


他にする事と言えば、偶にヨットに行ってデッキにチェアーを出し昼寝するとか、釣りするとか・・・


釣れないんだけどねぇ・・・抑々やった事ないし・・・


「ラヴォージェさん、如何して魚が釣れないんだ?」


 「ケミン様、其れは魚釣りの心算だったのですか・・・」


「うん、竿だって有るし、糸だって付いてるし針も錘もウキも付いてるじゃん!」


因みに釣り道具一式は、船の付属品に有った。


「リールとか言うのに糸が巻かれてて竿に付けてガイドとか言う?輪に通す。それに錘と針と浮きを付けるとか、説明書に書いてあった通りにしてるよ。」


 「なるほどぉ・・・然し其れは、大事な物が抜けてますな」


「大事な物って何よ」


 「針に餌が付いてませんな。餌がないと魚は食べませんよ」


「餌が必要だったのか・・・説明書に書いてないよ!」


 「その説明書は竿のセットの仕方を書いたものですから、釣り方の説明書ではありません」


呆れ顔でラヴォージェに言われた。・・・めっちゃ馬鹿にされたよ・・・ガクン


 「まあまあ、気を落とさずに。少しクルージングでもしてきましょうか」


俺は釣竿を片付けるとラヴォージェがマストにセイルを張りクルーザーヨットを出航させた。


この船もラヴォージェが作ったクルーザーヨットと同じスループタイプで大小2枚のセイルが付いてる。


ラヴォージェは上手く風魔法を操作しスピードを上げていった。


俺は、ラヴォージェのいる運転席に行き一緒に風を感じてみる。


ラヴォージェはセイルに風を送っているが、進行方向からの風が清々しい。セイルを見ると不自然に進行方向に膨らんでいる。まあ風魔法で送ってるのだから当たり前なんだけど・・・


しかし考えてみると進行方向から風が来ると言う事は、それに対抗する為にさらに強い風魔法を送る事に為るのではないか?


その分エナジーの消費量は増大するよな・・・


進行方向からの風の抵抗を受けずに速度を上げる方法が有れば、スピードも航続距離もかなり伸びるのでは無いだろうか?


「ラヴォージェ戻ろう」


 「解りました」


船着き場に戻り屋敷の書斎にラヴォージェと入る。


「ラヴォージェ大体解ってるとは思うけど、セイルに風を送るのでは、出るスピードに限界があるよね?」


 「そうですね。進行方向からの風が増しますのでそれに対抗するのに限界がありますから。」


「どのくらいの抵抗が有るの?其れに使うエナジー量はどのくらい増えるかわかる?」


 「うーん、正確かどうかは解りませんが、スピードが1上がるごとに抵抗は2上がりそれに使うエナジー量は、4になる感じでしょうか?」


「2次関数か?y=x^2か、成程、スピードが3倍になるとエナジー使用量は9倍になるのか。」


「これがもし、スピードが3倍になってもエナジ-の使用量が3倍だったらもっとスピードが上がって移動距離も増えるよね?」


 「確かに3倍移動できるようになりますが、そんな事できるのですか?」


「此れからデータ送るから作れるか考えてくれるかな?」


そう言ってモーターボートの船外機の知っている限りのデータを送る。中型クルーザー用だから100馬力クラスサイズの構造と設置方法や操作方法等である。


 「先ず、エンジンが作れませんな燃料となるガソリンとは?」


「エンジンとガソリンは、魔法に置き換えようよ。例えば、エンジンで回転させる代わりに風魔法でドライブシャフトを回転させられればいいだろ?ガソリンはこの世界に無いからエナジーで代用だよ燃料タンクにエナジーをため込んで少しずつエナジーを流しながら風魔法が自動で発生する魔道具とか」


「風魔法で6000rpmの回転数が出せたら今送ったデータのエンジン部分が出来るよ」


 「ドライブシャフトを回す構造なら何でもいいと言う事ですな?」


「そうそう、ドライブシャフトからギアを使ってスクリューシャフトに伝達し水中にあるプロペラを回す。これが基本構造だから此れさえ出来ればいいんだよ。風魔法を使ったら風を逃がさなくちゃいけないだろ?其の為にスクリューの中央から逃がせるようにすると良いと思うけど」


 「其れは、エンジンの冷却装置がそのまま使えますな、其れとベアリングですか?」


「ベアリングも有るのかデータ送るよ」


ベアリングの基本データを送る


 「あーあ、此れは良いですな。何処にでも使えそうですな。」


「回転の抵抗を抑えて効率を上げるものだからね。回る物だったらどこでも使えるよ」


 「此れならば、エンジン部分に魔法石を使えばエナジーを充填するだけで風魔法が使えますな、作れるかもしれませんな」


「回転数は大丈夫なの?最大6000rpmだけど・・・」


 「試作してみない事には何とも、風魔法で回転させるなど考えたことも無いですからな。どのくらいのスピードの風で何回転回るのかが全く分かりませんから・・・」


「風をそのまま出すのじゃ無くて渦巻の様にしたら渦巻の回転数がそのままの回転数に成るだろ?」


 「おお!其れもそうですな、最大6000rpmの渦巻きにどのくらいのエナジーが使われるか分かれば魔法石のサイズも決まりますな」


ラヴォージェと色々話し合いこの後の話を詰めていく、そしてほぼ、設計終わった。


「其れでラヴォージェ、此れ誰に作って貰うの?」


 「ミラ様で宜しいのでは?でもさすがにサイズが大きいですから金属工房も頼みましょうか」


「解った、ミラを呼んでくれるかな」


そう言うとヒュパさんが出ていきミラを呼んできた。


 「ケミン様、ミラ来たよ。何か用事?」


「此れをミラと金属工房の人達に作って貰おうと思ってね」


そう言うとラヴォージェと作った設計図を見せた。


ミラは目をぱちくりさせて、設計図を見ながら言った。


 「おーぅ!凄い大きいねぇでも作れなくは無さそうだね。これ何に使うの?」


「クルーザーヨットの船外機だよ。船の後ろに取り付けてセイル以外の方法で航行できるようにするものだよ」


 「ほうほう、セイルなしで船が航行できるなんて本当?」


「此れが2台あれば、航行できるはずなんだよ。だから試作して欲しんだよ」


 「2台作ればいいのね?何処の工房で作るの?」


「其れはミラとラヴォージェに任せるから出来るだけ早く作って欲しいな」


 「ケミン様に初めて頼まれたね。ミラ嬉しいよ!頑張って作るから待っててね!」


「宜しく頼むよミラ。」


そうして少しミラと談笑してミラは出ていく。


その後はつつがなく時間が過ぎ夕食になった。












夕食が終わり風呂に入っていると、キュリアが恥ずかしそうにしながら入って来た。


今日はキュリアの番だったか。


全員の準備文様が出来てから何故か風呂にその日の順番の人が一緒に入るようになったのだ。


あんなに一緒に風呂にはいろうって言ってたのになんで恥ずかしがってるのか・・・


 「バカ!恥ずかしいに決まってるでしょ。この後一緒にするんだもの・・・」


「今からその事考えてたの?もしかしてもう・・・」


俺はチョンチョンとキュリアの胸に触ってみる。こうすると柔らかいのが本当に判る。プニュプニュと指がめり込む様になる。


 「あぁん、バカ!まだ早い!」


キュリアは、気持ちよさそうな顔をしながらもペシッと俺の頭を叩いた・・・痛いよ!


お互いに体を洗いゆっくり疲れをいやし、風呂から出ると着替えさせられてリビングに向かった。


少々皆と歓談して、キュリアと寝室に入り、夜の部に突入したのだった・・・


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