第52話 奥様達の焦り会議
3月に入り、女性達は少し焦って来た。準備文様は出来たがその先が進まなかったからだ。
確定したのはハニーだけでもう半年以上経っている。さすがに何かおかしいと感じ始めていた。
そこでもう一度、正確な情報を共有するために奥様会議が開かれる事に為った。
かなり突っ込んだ話にする為にケミンはまた、完全シャットアウトされる。
ラヴォージェがリビングの扉の前に立つ。完全防備体制になった。
キュリアが、口火を切る
「如何してあれから誰も確定しないの?原因が解らないのだけど」
「確かに変だよねぇ、僕も何か足りない気がするんだよね」
奥歯に何か詰まったような顔をしながらベルが言った。
「足りないにゃ?」
ラーニャは、全く意味が解らないようで不思議そうに首を傾げている。
「解らない」
カトレアも不思議そうだ。
「ミラもまだ、でもケミン様は優しくしてくれるから♡」
キュリアが答える。
「それは皆に優しいでしょ?でもハニーは、確定してるのに他は誰も出来ないなんておかしいじゃない?」
「人数が多すぎる?」
ヘディが聞く
「其れも有るかもしれないですの。でも半年以上誰も出ない事が、人数のせいではないと思いますの」
クララもしっかり分析している。
「そうですね、確かに何かおかしいと思います。ピースが外れているような?何かが足りないから確定が出ないとしか思えません」
パフィオはクララの言葉に頷きながら言った。
フリーゼが恥ずかしそうに言う
「は・ハニー様と違う所が有る?」
「そうね、私達とハニーの違う所を考えた方が良いかもしれないわね。ねぇハニー私達と違う所って何?」
キュリアはハニーに尋ねる。
「わたくしは、女王蜂ですわ。皆さんと違う所と言えば、毎日卵を産んでいることくらいですわ。それにわたくし達はケミン様からお種を貰うたびにきちんと受精してましてよ」
ハニーは普通の事の様にしらっと爆弾発言を言う。
それを聞いて皆が驚いたように言った。
「「「「「「毎回受精してるのーーーー?」」」」」」
「ええ?卵の父親はケミン様ですわよ?受精してなかったら子供達が出来ないではないですか」
「だって、ケミンとしてないハニーだっているでしょ?」
キュリアがびっくりしたように言う。
「それは、時期が来ると牡蜂も生まれますから問題ないですわ。お種を頂けた女王蜂の子供達はケミン様が父親ですわ」
「それって結局何が違うの?」
ベルが聞いた
「ですからわたくし達は毎日排卵しているし、排卵する数もかなりありますわ。皆さんは月に1度だけでしょ?違いは其処だと思うのですけれど」
「排卵日が合ってないって事?でもそれしか考えられないわね」
キュリアが言った。
そこで、恥ずかしそうにメリトさんが手を挙げた。
「はい、メリトさん」
キュリアが指す。毎回このパターンだ。
「あの、私も先月から月の物が有りません。もしかしたら出来たかもしれません」
ここで2個目の爆弾発言が出た。
「其れ本当なの?昼の部は、人数が少ないからかしら?」
「いえ、みなさんが私に配慮して頂けたので、常に私の中にケミン様のお種が有りましたから出来たのだと思います。エルフは、出来難いですからまだ確定ではありませんが・・・」
「毎月来てたものが止まったんでしょ?其れなら大丈夫よ。でもよかったわ、おめでとうメリトさん」
キュリアが祝福をすると皆が一斉に拍手した。口々におめでとうと言葉を掛ける。
「メリトおめでとう。本当に良かったです」
ヒュパさんが涙を流しながら言った。自分の事のように喜んでいる。
「有難う、お姉様、次はお姉様の番です」
メリトさんは嬉しそうに姉に伝えた。
「それなら、メリトさんは確定するまで安静にしてて、万が一でも流れたら困るからね。ケミンの専属は安定するまで休んでちょうだい。エルフは最初が肝心なの体を大事にしてね」
キュリアが優しい言葉を掛けた。そして壁際に立っているメリトさんをソファーに座らせた。
「さてと、続きにしましょう。という事は、排卵日に集中しないと難しいって事なのよね?みんなは自分の排卵日を把握してるの?今日あたりが排卵日の人はいる?」
キュリアが言った。明るい家族計画の話だ・・・
手を挙げたのは、パフィオだった。
「私は今日排卵予定です。ですが、順番は五日後ですから・・・」
「ああ、やっぱりそう言う事だったのね。あの受精魔法って強制排卵するものだと私は思ってたのよ。でも排卵は自然で、エナジーで大量に守護精霊の種を送る事だったんだわ」
キュリアが納得したように言った。
「でもそれだとかなり大変な事に為るねぇ、毎日排卵してるハニーでさえ4回掛かってるって事でしょ?僕達ならいつになるの?」
ベルが、此れはお手上げだねって言うように両手を挙げながら言った。
「其処は今日確かめればいいじゃない!明日の排卵予定は誰なの?」
「私ですの。でも一昨日終わってますの」
クララが恥ずかしそうに言った。
「て言う事は、もう全面的に入れ替えを行わないといけないんじゃないの?排卵日に合わせないと確率が上がらないなら仕方ないわよ」
キュリアが提案した。
「それならば、僕とキュリアは昼の部に回ればいいんじゃないかな?僕達は守護精霊じゃないだろ?直ぐに出来なくても気にならないし、優先順位を考えたら他のお嫁さん達の方が、高いよ?夜に受精魔法を掛けるのだから確率の高い方を他の人に譲るべきだよ」
ベルは紅茶を飲みながら言った。
キュリアはニヤニヤしながら言う。
「そうねぇー、ベル?昼の部だと回数が増えるわよ?しかも其れしか出来ないし?ベルもケミンと沢山したかったの?」
キュリアの問いにベルは盛大に紅茶を噴出した。キュリアはそれをまともに受けたのだった。此れは自業自得だ。
「そ・そんなつもりじゃモゴモゴ・・・」
ベルは真赤な林檎の様になって否定しているが、最後まで言葉が続かなかった。
「なんてことするのよもう!冗談に決まってるじゃない・・・」
ハンカチで顔を拭きながらキュリアは言った。
「でもその提案は良いわね。確かに優先は守護精霊だからみんなの排卵に合わせて夜の部を組み替えて私達は昼の部に行くわ。今日は、パフィオに行ってもらうわ」
皆打開したいので素直にキュリアの提案を受け入れた。
そして夜の部は排卵日の順番になり空きの日に昼の部の排卵日に当たったら夜も受精魔法を使う事に為った。また逆に昼の部の空きの日はその日の夜の部の人が務める事に為った。
そしてその日の夜、お風呂から出ると皆リビングに集まっていた。
何故か今日は、ラーニャのはずなのにパフィオに体を洗ってもらったのだが・・・
「ケミン聞いて、メリトさんが妊娠したらしいのよ。お祝いしてやって!」
キュリアが嬉しそうに言った。
「おめでとう、メリトさんやっと出来たね俺も嬉しいよ」
そうだよねぇ、もう何ヶ月も頑張ってるのに何の音沙汰も無かったからな・・・
此れでやっと昼の部が終わると思ってたら、人数が増えてたよ・・・ガクン
キュリアとベルとハニーが昼の部になり
夜の部も順番に変更があった。
何か有ったのか?ラヴォージェに聞いても返事は無かった。
「ケミン様、お願いします」
とパフィオから言われたら断れないだろ?抑々俺には拒否権ないし・・・
俺はパフィオに抱かれながら自室に戻る。
寝室に入ると俺を降ろしてくれた。
そうして1回戦が始まる。パフィオやヘディやハニーの様な大きな種族に俺の息子が通用するとのかと思うが、まあ何とか為っているのだろうと思う事にする・・・
その後は、何時もの様に清浄を掛け受精魔法に入る。
自分のエナジーを満タンにすると仰向けに為っているパフィオに受精魔法を掛ける。
真赤で光輝くエナジーの塊をパフィオに向けて打ち込むと久しぶりに赤い確定文様になった。
「パフィオ、確定に為ったよおめでとう」
俺がそう言うと嬉しそうにしながらもパフィオは脱力し眠ってしまったのだった。
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