第51話 バカンスと釣り?

次の日の朝、ソワソワしながら俺はみんなを待っていた。




何時もの様に朝食が終わった後に出掛ける準備をして待っていたのだが、女性の支度は時間が掛かるのだ。


水着は必ず持ってくるようには伝えた。制服と武装も禁止した。だってそうしないとバカンスにならないからね。其の為に屋敷付きのメイドさんに一緒に来てもらう事にしている。




俺も一応泳ぐ準備はしてある。でも釣りで魚も釣ってみたかった。其の為に服や餌も買ったのだ。


今日は、Tシャツの上にパーカーを着てそして釣具店で買ったベストを着ている。釣り用に色々な道具を入れられるポケットが沢山付いている。そして緊急時には、救命胴衣にもなるらしい。




最初に来たのは、おチビ二人とヘディとカトレアだ。てか部屋に戻って直ぐ来ただろ!


子犬フリーゼと子猫ラーニャと大兎ヘディと大蜥蜴カトレア、全員普段着ビキニのままだったよ!


「全員ダメー!そのビキニいつも着てるじゃん!今日は特別だから新しい服を着てくるように!其々が、新しいワンピースとドレスを持ってるのだからきちんと着て見せて!」




この4人は何で何時もこうなんだろうか?女・性・っ・て・着・飾・る・者・だよねぇ?ヘディとカトレアは一応着るようにはなったけど・・・水着は服じゃないよね?俺の感覚おかしいかな?


俺がそんな事を思ってると「じょ「「女性は着飾る者・・・」」にゃ」などとブツブツ言いながら部屋に戻って行った。




次は、メイド姉妹である。今日は、制服禁止なのでメイド服ではなく新しく買ったワンピースだった。二人ともノースリーブのワンピースで胸元から腰まで縦に3対のフリルが付いているヒュパさんは薄いオレンジでメリトさんは薄い緑だ。二人ともふちの広い白い帽子をかぶってる。どこかの令嬢みたいだよ!




二人とも恥ずかしそうにしながらこっちを見ている。


清楚!綺麗だな!


「ヒュパさんメリトさん凄く良く似合ってるよ!綺麗だよ!」


 「「有難う御座います。ケミン様、でもちょっと恥ずかしいです」」


此れを見ると買ってあげて良かったと本当に思うよ!




次に来たのはキュリアとベルとミラだった。


キュリアはチャイナ服、ベルはセーラー服って・・・


 「ケミンこの服、気に入ってるでしょ?」


 「僕は普通にセーラー服が着たかったから・・・」


「まあいいけど・・・二人ともよく似合ってます」


ミラは可愛いドレス姿だ。今回の趣旨をちゃんと理解してくれてるよ。


 「ミラ似合ってる?」


ミラは、ぱふんと抱きつき上目使いで見てくる。


「うんうん、可愛いよ、とても似合ってるよ」




4人が戻ってきた。今度は、きちんとドレスを着てきた。


「皆似合ってるじゃないか!何時もそういうドレスとか着てくれたら良いのに」


 「この格好は恥ずかしい」


カトレア!裸の方が恥ずかしいと思ってくれ!


 「暑い」


あーヘディは毛皮着てるからか?無理なお願いしちゃったか?そこは失念してたな今度から無理言うのは止めるか・・・


「ヘディ無理言ってごめん、ヘディは脱いでいいよ」


 「大丈夫、ケミン様が買ってくれたから着る」


なんか気を使わせちゃったな・・・


 「こ・この方が良いですか?」


 「此れがいいにゃ?」


フリーゼとラーニャは、可愛いよ!てかミラと同じ衣装だな、おチビ三人は揃えてあつらえたのか。




最後は、クララだ。何とワンピースの水着で来た。


 「バカンスですから水着だと思いましたの。恥ずかしいですの」


「上に何か羽織ったらいいよ。水着も似合ってるよ」




ハニーとパフィオはラヴォージェと先に船に行ってる。あの二人は何時も綺麗なドレスを着てるから大丈夫だろう。




みんな揃ったので船に乗り込む。船はゆっくり出発しキュリア湖に入って行った


10分ほど航行すると湖畔のあの場所に付く。船を少し沖に停泊させるとデッキに椅子を並べたり準備した。


女性陣は思い思いの場所で寛いでいる。キュリアは久々に人魚の姿に成って泳いでいるし、クララとベルは仲良く話しながらデッキチェアーで休んでいる。ちびっこ三人は水着に着替えて湖畔で水遊びだ。カトレアとヘディは、組手をしている。何で組手なんだよ・・・


湖畔の円卓には、パフィオとハニーとエルフ姉妹が優雅にお茶していた。




メイドさん達は、湖畔で忙しそうに食事の準備をしていた。やっぱりバーベキューだよねぇ?




俺は食材確保のために釣りを始める。


「ラヴォージェ?どの餌が良いの?」


 「とりあえず、芋虫など使ってみては?餌は、針に付けるのですよ」


俺は針に餌を付けると投げ込んでみた。


出来るだけ糸をぴんと張り魚が釣れるのを待つが、全然釣れない・・・


何時の間にか餌が取られてるし・・・釣りって難しいねぇ・・・


なんか湖の魚に餌やりに来た気分だよ・・・ガクン




小魚を使ったりしてみたがヤッパリ釣れないよ・・・


次に疑似餌を使ってみることにした。こっちなら餌を取られる事は無い。キラキラした金属の疑似餌で何度か投げ込んでは巻き取りを繰り返す。駄目だ全然釣れない・・・




最後は大物用の魚型の疑似餌で投げ込んでみる。ここまで来たら1匹でも良いから釣りたい!


何度か投げ込み巻き取りを繰り返していると・・・




グンと竿がしなった! キターーーーーー!




すると糸がみるみるうちに引き出されていく。俺は船の上で踏ん張りながら巻き取りを繰り返す。


竿はしなりっ放しで堪えるのがやっとだ!耐えながらも巻き取り引き出されを繰り返す。


此れってかなりの大物だろ!


正に一進一退の攻防だ。




また糸が引き出される全然疲れる様子が無い魚だな・・・


俺は耐えながらまた少しずつでも巻き取り始める。遠くで魚が跳ねた!かなり大きい!針を外そうとしているのだろう。




「ラヴォージェ、今跳ねたよね!大きかったよね!」


 「ケミン様、頑張って下さい!ばらさない様に慎重に巻き取って下さい」


「うんうん頑張るよ!初めての魚が大物だよ!」


そんな話をしながら慎重に巻き取っていく。だんだん巻き取れる量が多くなってきた!




少しずつ近づいているはずだ。然し、また引き出されてる。まだ弱らないのかな!


何度も巻き取り魚影が近くなってきたぞ。やっぱり大きい魚だやった。




今度は、船の下に潜ろうとしてくる。それを耐えて巻き取るとだんだん姿が見えるようになってきた。




おおー?なんか嫌な予感がしてきた・・・見た事ある魚だよ・・・


魚の方も観念したように静かになって来たのでどんどん巻き取ると・・・




俺の疑似餌を持ったキュリアが現れたのだった。


 「ケミンに釣られちゃったわ!キュリアちゃんを釣った気分は如何かしら?この湖で最高の獲物なんだからね!」


「あーーーキュリアに遊ばれた・・・」


 「てかケミン、私達が泳いだりしてるんだから魚が寄り付くわけ無いじゃないの!」


「えーーー?そうなの?そういうもの?この辺に魚はいなかったのか?」


 「そんな事も知らないで釣ってたの?はぁ、やっぱりケミンに釣りは無理ね!私が釣れたのだから此れで良いでしょ。もう諦めなさい!」




魚が居なければ釣れる訳ないよねぇ・・・


キュリアは最初から釣れてるよ・・・もうすぐ結婚だもの・・・




まあ釣りは失敗に終わったが、みんなで楽しく過ごせたのは良かった。


湖の湖畔でバーベキューをしたり、ボートを出して湖を疾走したり昼寝もしたりした。


夕方に為って夕日を眺めながら帰ることにしたのだった。

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