第18話 異次元収納を作ろう
次の日の朝
あれから俺は毎日抱き枕状態で目覚めている。キュリアのブレストプレスが、苦しいんだよね・・・
抱いている方は、気持ちよさそうにスヤスヤ寝てるが・・・
俺はやっぱりムカつくので額をペシッてして起きる。そして、静かに外に出た。
するとそこには、ハニー達がもう来ていた。
執事姿のラヴォージェと朝から話し合っている。
「おはよう、ラヴォージェ、ハニー」
「「おはよう御座います、ケミン様」」
俺は、ひょいとハニーに抱き上げられる。まあ、これは仕方のない事で体のサイズが違いすぎるのだ。
「ケミン様は、今日も可愛らしいですわ♡」
抱き上げられて美人の顔が近づく、本当に綺麗だよなぁ・・・ハニーはニッコリしている。
俺も三十八だから可愛いと言われるのは、一寸心外だけど小さいって言われるよりは良いか・・・
「ハニー、異次元の裂け目は見つかったかな?俺も昨日は、彼方此方探してみたけど見つからなかったよ」
「ちゃんと見つけてありますわ!と言うよりすぐ近くにありましたわ!」
「えーーー?何処にあったの?」
「わたくし達の街の近くに池が有りますわよね?そこの真上にありましたわ!」
「池の真上か・・・池の畔には行ったけど真上は気付かなかったな」
「ああ、ケミン様がいらしていたと子供達も話していましたわ、教えてさしあげようとしたらもう居なくなってたと」
「すれ違っちゃったのか・・・」
「でも、まだそこ有りますから此れから行って異次元収納を作ってきましょう。ラヴォージェ様ケミン様をお借りしますわ」
『気を付けて行ってらっしゃいませ』と言うと赤い花が咲いた。ガーベラに薔薇にアネモネと椿?色々咲いてるな・・・また花言葉か何かか?
俺は飛び立とうとするとハニーにガッチリ掴まれた。
「え?ハニー如何したの?」
「わたくしが、このまま連れて行って差し上げますわ!」
そう言うと俺を抱いたままふわりと飛び始める。
「抱っこしたままかい!一寸恥ずかしいのだけど・・・」
「ケミン様は正確な場所を知らないでしょう?」
「確かに知らないけど池の場所は知ってるよ?」
そんな話をしながら飛んで行く抱かれたままだけど・・・
池の真上に到着すると確かに空間が歪んでいるように見える場所が有った。
「此れが異次元の裂け目ですわ、これに手を翳して個人登録!!と魔法を掛ければ登録されますわよ」
「此れが異次元の裂け目か、遠くから見たんじゃ気付かないわけだ。空気が歪んでるように見えるだけだものなぁ」
「そうですわ、多分ケミン様も昨日探してる時にいくつか見逃してると思いますわよ」
「そうだろうね、もっとわかりやすい裂け目みたいのを想像してたからな、ここまで分かり難いとは思わなかったよ」
「では個人登録してみて下さいな」
よし!俺は両手を異次元の裂け目に翳すと個人登録!!と唱える
すると裂け目の歪んでいた部分が黄色く染まって円なった。これで俺の空間になったのだろう。
「次に、手を翳したまま収納口!!と唱えると出し入れ可能な異次元収納になりますわ」
俺は、言われた通り手を翳したまま収納口!!と唱えると黄色の円が軽く光り黄色い扉が付いた。
「おおーこれが収納なのか!面白いな!」
「ケミン様は黄色の扉なのですね、わたくしのは、赤い扉ですわ。収納!!」
ハニーが唱えるとすぐ横に本当に赤い扉が出てきた。
「収納!!で呼び出すのか、消すときは如何するの?」
「勿論、消去!!ですわよ。物を消すときや隠すときに使う魔法ですわ!」
「あーあ消去!!って消すとか隠すの魔法なのか収納に対する魔法じゃなくて一般魔法だったのね。其の事は、キュリアの情報には無かったな」
「キュリア様は、全部伝えていらっしゃらないのでは?」
「如何言うこと?」
「隠し事が有るのではと・・・ケミン様の知らない事が割と多いと思いますわよ?」
「意図して俺に教えてない事が有るってこと?ちょっとショックだな」
「そう言わないで下さいませ、わたくしもキュリア様の気持ち解りますわ。わたくしも女性ですもの、ですからもし知りたい事が有りましたらラヴォージェ様に聞く方が、正確に判ると思いますわよ」
「此れからはそうするよ」
「はい、では帰りましょうか」
「此の事を教えるために二人きりになったの?」
「それも有りますけれど、ケミン様と二人きりに成りたかったのです。ポッ」
傾国の美女が頬染めて恥ずかしそうにしてる姿を目の前で見るとちょっとヤバイな、虫なんだけどなぁ
「ケミン様、有難う御座います。でも、わたくし達は、もう虫ではありません事よ、元はインセクターでしたわ。けれども、ケミン様に進化させて頂いたおかげで今は人族になりますわ。」
「えーーー?そうだったのか、キュリアは虫だって言ってたのに」
「それも意図して言わなかったのでは?ライバルが増えるでしょから」
「ライバルって・・・」
「わたくし達もケミン様をお慕い申しておりますのよ、愛しておりますわ」
「こんなこと言うつもりでは無かったのですが・・・」
今度は真赤になって目を逸らしている、めっちゃ可愛い!惚れちゃいそう・・・
強制的に迫って来るキュリアよりは、よっぱど好感が持てる。綺麗で優しいは、無敵だよな。思わず頬を触ってみたくなるが、グッと堪えた。
中途半端な気持ちでいたら悪いからな・・・
(これで一歩リードできたかしら?今日はこの辺にしときましょうか)
「有難うハニー、でも、一寸考えさせてね、今すぐに答えられないかな・・・」
「宜しいですわ、ゆっくり考えて結論をお出し下さいな、わたくしは何時までも待っておりますわ」
「うん、分かったよ。ちゃんと考えるからね。そろそろ帰ろうか。」
「はい、戻りましょう」
そう言って俺達はラヴォージェの所に戻った。抱っこされながらだけどね・・・
『お帰りなさいませ、ケミン様、デートは如何でしたかな?』
「ケミン!デートだったの?!なんで言ってくれないのよ!それなら付いて行ったのに!」
いやいやいや!キュリアはまだ寝てたじゃん!しかもデートじゃないし・・・
「デートじゃないし、異次元収納を作ってきたんだよ」
告白もされちゃったけど・・・
「えーーー!!こ・告白・・・どういう事よハニービー!!もうケミンを返して!」
「いえいえ!キュリア様、わたくしの想いをお伝えしたまでですわ!」
二人で睨み合ってる・・・ そこー 喧嘩しないの!
俺ってこの世界に来てからモテ期到来なのか・・・生前は全くなかったのになぁ・・・
やっぱり身長が低いのはネックだったんだよな、一定のもの好きは居たみたいで彼女が全く出来なかった訳では無いけど結婚相手には恵まれなかったんだよね。
まあ、キュリアは、一定のもの好きの部類に入るだけどな・・・
しかしこの後、もっと大変な事になるとは、夢にも思っていないケミンだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます