第17話 森の動物達と遊ぼう
バケツリレー事件から一週間が過ぎた。
因みに一週間は八日で奇数月は三十八日で一月、偶数月は三十七日で一月だそうだ。八月のみ三十八日で一年三百一日になる。
あれから、ハニービーの女王蜂達は交代で数人来るようになった。多分キュリアへの牽制だろうな・・・
あの数千の蜂達、全部女王蜂だそうで、つまり働き蜂達はもっといるから数百万の人口って事になる。何でこうなったんだろう?傾国の美女が、数百万人・・・
でも、虫なんだよなぁ・・・美人だけど・・・
その美人さんは、ラヴォージェと何やら話をしている。
(ケミンは、ハニービー達を虫だと思ってるのね。本当は人族なんだけど・・・でも好都合ね。このままあの黒いカサカサ動く奴と一緒に思わせよう。)
「そうよねー。美人だけど虫よね。あのゴキと一緒なのよねー、キャー」
(私は言っただけで背筋が寒くなったわ・・・)
「いくら何でもゴキと一緒は可哀想だろ?せめて玉虫とかにしてやろうよ、美人なんだし」
「そ・そうよね。あの黒いのは、私も思い出したくないし・・・」
キュリアの顔は、完全に青ざめていた。
「そう言えば、うちのキッチンは大丈夫なの?彼奴等、一匹見つけたら三十匹は居ると思えってどこかで聞いた事あるぞ?」
俺は、態と聞いてみた。
「やめてよケミン!此処のキッチンは清潔よ!奴等の食べ物なんて一切置いて無いわよ。もう!変なこと言わないでよね!」
「冷蔵庫の裏とかに隠れてるって聞いたよ?」
「冷蔵庫は無いわよ、異次元収納が有るもの」
「聞きなれない言葉が出たな!異次元収納ってなんだよ!転送情報データに載ってたか?」
「ちゃんと送ってるわよー、作り方だって送ってるわよ。まあ、でも私が持ってるからケミンには必要ないかも・・・共用しちゃえば良いんだしね。ケミンの持物を私の収納に入れても良いわよ?」
「俺も欲しいんだけど・・・あー本当にデータに有った、ハハハ」
俺は苦笑いした。ちゃんと確認しないとダメだな・・・空きのある異次元を探して個人登録その後に入口を付けるか・・・
「空きのある異次元を探すって時間掛かりそうだな・・・」
「そうねぇ、其処が一番手間かもね、空きさえ見つかれば、入り口を付けるだけで済むけど・・・」
「私の異次元と共有する?」
なんかモジモジし出したぞ頬も薄っすら染まて来てるしチラチラ見てるしちょっと危険な兆候だな、一応聞いてみるか
「共有なんて出来るのか?」
「出来るけど・・・赤の他人じゃ駄目なのよ、ふ・夫婦とかじゃないと」
「やっぱりかーーー!しません!!」
やっぱりそう言うオチだったか・・・警戒してて良かったわ!
「なんでよーーーーもう!偶には誘導されてよー」
「一回でも誘導されたら駄目だろうが!そこまで馬鹿じゃないよ!」
其処にさっき迄ラヴォージェと話していたハニーが来て言った。
『あらあら、キュリア様はまた告白ですかぁ?素直にちゃんと伝えた方が良いのでは?それと、ケミン様、空きの異次元の裂け目なら私達で探しますわ!働き蜂達に頼めば、探してきますわよ』
「告白って・・・違うーーー!」
キュリアは何故か怒ってる?確かに誘導尋問だけどな!そんな物には引っ掛からんわ!
「探せるのか?俺も今日探しに行こうと思ってたのだけど」
『今日一日あれば、見つかると思いますわ』
(これで、ケミン様の心をゲットしますわ)
(キーーー!私は料理が有るもの!見てなさい!)
そんな二人の心の会話はケミンには聞こえない。
なんか・・・二人で火花が散ってるな・・・怖い・・・俺はたじろぎながら言う
「そ・それならお願いしようかな・・・俺も探しに行ってくるよ。キュリアは如何するの?」
「私は、夕食の準備するわ!今日も期待しててねケミン♡」
『わたくしは、捜索の手配に行ってきますわ、ごきげんよう』
そう言ってハニーは飛び立った。行動早いな・・・
「それじゃー行ってくるよ。ラボージェ、キュリア留守をよろしくね」
飛ぼうとしたらハニーが戻ってきた。
「あれ?もう戻ってきたの?」
『いえ、わたくしは別のハニーですわ。ケミン様、何なりとお申し付けくださいな。』
見た目が一緒だからわからないな・・・
「じゃーラヴォージェの手伝いをしてくれるかな?手が足りないって言ってたから」
『分かりましたわ。ケミン様、行ってらっしゃいませ』
今度こそ俺は飛び立った。
俺は、分身が出来て初めて森の中を探索している。やっと動物とも触れ合えるようになるなぁ、次元の裂け目を探すのと一緒に動物探しもしようかな。
俺は森の上空を軽快に飛んでいる。何か下の方で鳥たちがざわざわしてるな。
一寸見て見る事にしようか、俺はざわついて居る所にゆっくり近づくと騒ぎが大きくなった。「ヒーヨヒーヨ」「ピッピッピピピ、ヒーヨヒーヨ」彼方此方で鳴き声が大きくなる。
あーぁ俺が警戒されてたのか。子供達でも守ってるかな?ゆっくり木の枝に止まり腰を下ろす。
「俺はこの森だよ。鵯さん達、安心していいよ。襲いに来た訳じゃ無いから大丈夫だよ」
「「ケミカリーナ様?」」
鵯達の声が頭に響く、おおー鳥と話してる。今度は、パタパタと飛んで来て俺の肩や頭に止まって鳴いている。
「「鷹が来たのかと思ったの。ごめんなさい」」
掌を出すと上にちょこんと乗ってきた。俺は、指で頭を撫でてやる。
「ケミンと呼んでね。気にしなくていいよ警戒するに越したことはないからね、この辺に巣があるのかな?」
「ヒーヨヒーヨ」「「この木の上に巣が有ります。子供達も居るの」」
「一寸覗かせてもらえるかな?」
俺が立ち上がると一羽が巣に飛んで行く、俺はゆっくり巣に近付き覗き込むと三羽の子供達が、勢いよくピヨピヨ鳴いて口を開けている。親鳥は其々に餌を与えていた。
「「「もっとご飯ちょうだい」」」
「おおー食欲旺盛だな!可愛いな。元気に育ってね。」
俺は、ふと思って親鳥たちに聞いてみた。
「この辺で、異次元の裂け目は見た事ないかな?」
「「私たちの餌を取りに行く範囲では、見た事ありません」」
「そうか、教えてくれて有難う、異次元の裂け目を探してるからそろそろ行くね」
「「見つかると良いですねケミン様、頑張って」」
俺は名残惜しみながらゆっくりと飛び立つ、今度は森の中をゆっくり飛ぶ事にする。
次に出会ったのは、狼達である。狼達は俺を取り巻くように布陣している。
おおー臨戦態勢だな!勇ましい!
「俺はこの森だよケミンと呼んでね。何もしないから安心していいよ。」
「ガウガウガウ」一頭の狼が鳴くと、狼達は一斉に伏せの体制を取った。
「失礼致しましたケミン様、攻撃を受けるのかと思い警戒しました。」
群れのボスであろう狼が、言った。俺はボス狼に近付くとゆっくり頭を撫で喉元を掌でなでる。
「本当は襲う気満々だったろう。ハハハ」
「やはり気付かれてましたか・・・」
ボス狼は、コテンと横に倒れる、俺はお腹を撫でてあげると、ボス狼は、気持ちよさそうに目を細めた。他の狼達も俺に近付いてきて顔を擦り付けたり舐めたりしてきた。
あー毛皮が気持ちいい!モッフモフだよー!俺は狼団子の中で毛皮の肌ざりを堪能する、お腹に顔を埋めてゴシゴシすると本当に気持ちいいな!
一頻り堪能した後、ボス狼に聞く、「この辺で異次元の裂け目を見なかったかな?今探してる途中なんだけど」
「我々の縄張りの中には、異次元の裂け目は在りません。異次元の裂け目が有ると仲間が消えてしまうのです。だから裂け目のある所に縄張りを持たないのです。」
声に出しているのはガウガウだが、ちゃんと意味が解るんだな。
「ああー成程、異次元に吸い込まれるのか、それは危ないよね。教えてくれて有難う」
俺は立つとまた別の場所に向かった。
川の近くでは、獺や鼬に会った。俺は抱き上げてモフモフを堪能しながら裂け目の事を聞いたが、やはり見つからなかった。兎や狸にも聞いた。勿論モフモフを堪能しながらだか、それでも見つからない。
それではと思い南の方に向かい虎に突撃する事にした。虎を発見!モフモフに突撃!
「虎さん俺はケミンだよーこの森だよー」と言いながら抱き着く
「がおぉー」「ケミン様、吃驚しました」
いきなり顔を虎さんの毛皮に埋める。あーあ気持ちいいー!
もう毛皮を探してるのか異次元の裂け目を探してるの判らなくなってきたな・・・
何度も顔を埋めてはモフモフする。今が最高に幸せかも・・・
虎さんは、為すがままである。コロンっと横になり俺が飽きるまでじっとしていてくれた。俺はお腹を撫でながら聞いた。
「虎さん異次元の裂け目を探してるんだけど何処かで見なかったかな?」
「異次元の裂け目ですか、昔は有った筈ですが、最近は見ませんね。」
「昔は有ったの?」
「はい、一度見た事は有りますが、今その場所に行ってもありませんね」
成程、誰かに登録されて使われてるって事かな・・・
もう遅かったのかー残念!
「ケミン様、気を落とさずに新しく出来る事もありますよ頑張って探してください」
「おおー新しい情報だ有難う。虎さんは頼りになるな」
俺はお礼を言って移動始めるが、そろそろ夜の帳が降りて来てる。
もう家に帰るか・・・
大分遊んだなぁ・・・
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