第47話 ジェンナーでの出来事と税収
ジェンナーの屋敷でやった事は、船の改造だけでは無かったよ。ある程度説明したら優秀な職人達は、直ぐに作れるしミラは居るしね。ここには本が無いから暇を持て余すんだよね。
だから、屋敷の庭の造園の様子を見たり、アパートの建築の様子を見たり、街中を見たり・・・
見たりばっかりだって?俺が手を出したら邪魔になるだけだし・・・
街中で買い物なんてしようものならお金は要らない攻撃が凄くて買えないのよ。だから見るだけにして居るのだ。
こんな事なら自宅から本を持ってくれば良かったよ。まだ読めてない本は沢山有るし、すっかり忘れていたが召喚魔法もまだ調べてなかったよ。
俺が読んだ召喚は、精霊召喚と呼ばれる召喚方法らしく、野獣召喚も有るとの事でそれを使ってベルは、あのワイバーンを召喚したらしい。
そう言えば、ワイバーンちゃんは如何してるんだろうか?
エルフのメイド達がいるから餌は貰えてると思うのだけど淋しがってるのかなぁ?
ベルに聞いたら屡々しばしば自宅に帰ってるらしい!そしてワイバーンと遊んでるって!
なんだと!俺も帰りたい!と言ったら俺は帰っちゃダメなんだそうだ・・・ガクン
そんなこんなで今日は、暇を持て余してるよ。俺は、メイド姉妹に聞く
「ヒュパさんメリトさん、何か面白いことないかな?」
「「今日の昼の部は、終わったのですからケミン様もゆっくりお休みください」」
「昼間から寝れないよ・・・」
「「それでは私達が、お慰み致しましょうか?」」
メイド姉妹とムフフな事は嬉しいけど・・・さすがに今日は、もう勘弁だな・・・
「そう言うのは今日は良いから!」
「「そうですか?残念です」」
残念なのかよ・・・
因みに今日の昼の部は、ハニーだったよ。ハニーは日替わりで別の個体が来るようになってお種を授けるのだけど、俺のお種だと子供達の寿命が延びるらしいことを聞いた。
名付けした時に寿命が延びたらしいのだけど、さらに長生きするようになったそうで人口が少しずつ増えてるらしい。
食料の方は大丈夫か聞いたら、全く問題無いそうで、定期的にラヴォージェの木が花の種を常に蒔いているので蜂蜜には事欠かないと、最近は、蜂蜜酒も作り始めたそうで商人と取引しているらしい。
色々やってるのだなぁ・・・
俺はすることが無いので自室を出てリビングに向かう。勿論、メイド姉妹も一緒だ。
リビングに入るとクララが近づいて来た。
「ケミン様、今、お伺いしようと思っていた処ですの。先ほど通信が来まして国王様が此方に来たいと連絡が有りましたの。」
「えー?何しに来るの?」
「詳しくは言って無かったのですの。でもたぶん婚姻の儀の話ではないかと思いますの」
「あー成程、あと半年だものね。でも国王様が自ら来なくても宰相のマイケル・ドルトンさんでいいんじゃないの?」
「国王様もケミン様とお会いしたのではないかと思いますの。もうジェンナーにお越しに為られているそうですの」
「マジかー・・・いつ来るって言ってた?」
「何時でも来れるとの事ですの。ケミン様の都合に合わせると言ってましたの」
「そうか・・・明日は工房に行く日だから明後日の午後なら大丈夫かな?そう伝えてくれる?」
「解りましたの」
そうクララは言うと直ぐに通信を始めた。精霊師って便利だなぁ・・・
そして当日が来た。
午前の内にメリトさんとの昼の部を終えて、お風呂に入り体を清めてから応接の間で国王様を待つ。
国王様が応接の間に入るといきなり跪いて言った。
「ケミカリーナ様、奥方様方、お初にお目に掛かります。国王のヨハンソン・キュリア・ケプラー十三世で御座います。ケミカリーナ様にはご機嫌麗しく恐悦至極に御座います」
「ちょ!国王様!立って下さい!畏まるのは此方の方ですから!其れにケミンで良いです!」
俺は慌てて近寄り国王様を立たせて言った。
「何を仰いますか、我々にとってケミン様やキュリア様は、神で御座いますゆえ」
「「神は止めて下さい!」」
俺とキュリアは同時に言った。神は勘弁して欲しいわ!
「相変わらずですなぁ。昔と少しも変わっておらんのですなぁ・・・」
懐かしそうに目を細めて好々爺の国王は言った。
人間そうそう簡単に変われるもんじゃないよね?精霊だけど・・・
「其れで国王様、今日はどのようなご用件でいらしたのですか?」
「勿論婚姻の儀の件で御座います」
「国王様、普通にお話しください!敬われても困りますから!」
「解りました。ケミン様、婚姻の儀を4月19日になさるという事ですな。いろいろ準備も有るので2月から王国の方に滞在して欲しいのですじゃ」
「滞在と言っても住む場所が・・・」
「其れは大丈夫ですじゃ、婚姻の祝儀として王都に屋敷を準備して有りますのじゃ」
あーこれ最初から決められてたやつだな!
「ケミン様は、聡いですな。ふぉふぉふぉ、本当は王宮に住んで欲しいのですが、ケミン様は嫌がるでしょから準備したのですじゃ」
「確かに王宮は勘弁して欲しいです!仕方ないから頂きます」
「ケミン様は正直ですなぁ、ふぉふぉふぉ」
楽しそうに国王様は笑っていた。
「其れと晴れ着の準備も此方で致しますので1月に一度王都の方に採寸に来て欲しいのですじゃ」
「解りました。新年の催しが終わった頃に伺います。1月7日くらいには着くと思います」
王都では3日間新年のお祝いが開催されている。その頃に行ったら大騒ぎになりそうだからねぇ・・・7日くらいならもう落ち付いていると思うし。
「そうでなぁ、7日ならもう落ち付いているでしょう。王都にあるローレンス商会の本店に来てもらえれば採寸しますのじゃ」
やっぱりローレンスさんの所なんだね
「そうですな、王宮の取引は、彼が取り仕切ってますのじゃ。色々来られてもこっちが困りますからの、ふぉふぉふぉ」
「あれ?王様も俺の気持ちが解るの?」
「王族は皆、精霊様の気持ちが解りますのじゃ」
はぁ、判らないのは俺だけかよ・・・
「ふぉふぉふぉ、判らない事が有る方が人生楽しめますのじゃ」
それ、ラヴォージェにも言われたし・・・
その後、しばし歓談して国王様は、屋敷を後にした。
年の瀬も押し迫った35日市長から税収の集計が出来たとの連絡が有った。
俺とラヴォージェは、庁舎に行き、市長と面談する事になった。俺が市長室に入ると直ぐに市長は立ってソファーを勧めてくれた。
「市長、集計お疲れ様でした。硬い挨拶は抜きにしましょう。其れで如何なりましたか?」
「今年のケミン様の収入分は、133,569金貨で御座います。もう組合の方に入金して有りますのでご確認頂ければと思います」
「もう入金して有るのか・・・かなり多くない?」
「ケミン様がいらっしゃる様になったので、人口も増えて税収も増えました。また経済もかなり活性化しましたのでその影響かと思います」
「経済が活性化するのは街にとっては良い事だけど、俺は微妙だよ・・・例えば10万金貨で固定とかできないかな?残った分は街の財政に回して公共事業とか出来ないかな?」
「気持ちは解りますが、ジェンナーの街はもうこれ以上開発は出来ませんので、修繕関係くらいしかありません。その予算は、もう準備して有りますし・・・」
「そうかぁ・・・確かに森の中だものなぁ・・・これ以上広げられても困るし・・・」
「ですので、別の方法を考えて頂ければ・・・」
「解ったよ。有難う。では、支払も有るから此れで失礼するね。」
俺は市長室を後にするとローレンス商会に向かう。船の展示場に着くとローレンスさんが待っていた。
「ローレンスさんこんにちは、支払に来たよ。55000金貨と管理費だよ」
「ケミン様いらっしゃいませ。管理費の件ですが、まだアパートが建ってませんので殆ど掛っていません。1万金貨も頂けないのですが・・・」
「契約だし良いよ!てか貰ってよ!家にいるメイドさんや執事さんの給料も有るんでしょ?」
「はい、確かにそうですが・・・判りました。予備費として受け取っておきます」
「うんうん、宜しく。」
俺はカードをローレンスさんに渡すと事務所に入り支払処理を行って戻ってきた。
「65000金貨確かに頂戴しました。此れが領収書で御座います」
俺は受け取ると言う。
「ローレンスさん、何か面白い企画無いかな?俺がお金出すから考えてよ」
「企画ですか?お祭りとかの?」
「そうそう!みんなで楽しめるような。毎年実行できたら尚良い!」
「直ぐには思いつきませんね、しかし考えておきます」
「うん宜しくお願いしまーす」
この御願いが、とんでもない事に為るとは、全く考えていないケミンだった。
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