第24話 女子会の二次会


「其れでラヴォージェ、何で俺の所に皆来るんだ?」

この森の住民は仕方ないとしても、キュリアやベルが来るのが解らない。




 「普通に考えてキュリア様もベル様もケミン様が好きだからでは?」

と言いながら今度は白いカーネーションを沢山咲かせた。


俺には花言葉なんてわからないんだけどな・・・


「そうは言ってもグーだっているじゃないか、一寸会っただけだけど、優しそうだし善人そうだしイケメンだったし、俺が起きる前より居たんだろ?普通はグーを選ぶと思うけどなぁ」


 「強いて上げるなら保有エナジー量の差でしょうか、グー様は、今までほぼ自然発生に任せてましたから、ケミン様ほどエナジーが有りません。守護精霊作りには、かなりのエナジーが必要ですから、グー様の現状のエナジー量では足りないと思います。」


「子供を作るのにエナジーが必要なの?」

 「ケミン様、其処からでしたか・・・キュリア様の情報になかったのですね」


「子供の作り方の情報なんて普通は無いだろ・・・女性から男性に教えるような事でもないだろ・・・」



 「そうですね。守護精霊は特殊な方法で、宿されます。母体のお腹に手を当てケミン様のエナジーを少しずつ流します。これを受胎準備できるまで繰り返します。受胎準備が出来ると母体のお腹に準備文様が浮かび上がります。この文様に受精魔法を掛けます。受精に成功すると青い文様が赤い文様に変わります。受精に失敗しても一度準備文様が出来たら何度でも繰り返せますが、最低でも一日置かないといけません。受胎に成功した場合、一年後に御子が生まれます。」


「成程、受胎確認まで出来るか・・・夜の営みが有るのかと思ってたよ・・・」


パッカーーンっとスリッパで叩かれた・・・キュリアよ何時戻ってきたんだ・・・


キュリアは真赤になっている。その後ろに、お嫁候補が揃っていた。みんなジト目でこっちを見ている。

 「バカケミン!何の話してるのよ!」


「いやいやいや!守護精霊の作り方だよ!知らなきゃ出来ないだろうが!」

 「そう言うのは誰も居ない処でして!」


「今まで誰も居なかっただろーーー」

そう言うとハニーがひょいと抱き上げてくれる。ぽよよんが気持ちいい。


俺の頭をなでながらハニーは言う。

 「ケミン様、わたくしは味方ですわ、お可哀そうに」


「「「「ハニー狡い!」」」」


えらいシンクロしてるな・・・

「それで皆如何したの?」俺は降ろしてもらいながら言った。


 「此れから女子会の二次会なのよ!ケミンはダメ!」

「そうですか。ゆっくり二次会してください。」


俺がそう言うと皆が林檎の家に入っていった。そこは俺の部屋なんだけどな・・・














「此処がケミンの部屋ね、何もないでしょ?」

キュリアが呆れたように言うと、ベルが答える。


「男性の部屋なんてこんな物じゃないのかな?」

「あら、この服なんですの?ベッドの上ですわ」


ハニーが珍しそうに服を取る。そして他の者に渡していく、皆手に取りながら不思議そうに見ていた。エルフメイド達は壁際で静かに見守っている。


「本当だ、ケミンが作ったのかしらジャージとパーカーね」

「何時もこれで寝ているのですの?」


クララが聞くとキュリアが答える

「多分、今朝作ったのよ。何時もは、今着てた白衣だから」


「あの服は白衣と言うのか、あれも珍しい服だな」

ヘディが不思議そうに言うとベルが答えた。


「ケミン君は、前の服が好きだよね。ジャージなんて懐かしいよね」

「前の服ってなんにゃ?」


ラーニャが聞く


「ああ、ケミンとベルと私は、ここに生まれる前の記憶も持っているのよ。その時着てた服をケミンが着ているのよ」


「凄いにゃ、大精霊様」


「そうでもないわよねぇベル?」


「確かに前の記憶を持ってても良いことはないね」


「服はクローゼットにしまってあげましょうか」

そう言ってキュリアは服をたたみクローゼットに入れておいた。

その後、皆で外に出てキッチンに向かう。


 「ケミン、服がベッドの上に出てたからクローゼットに入れておいたわ」

「有難うキュリア」




次に向かうのはキッチンで皆で入る。

見た事も無い調理器具を見て吃驚している地上組三人


「こことお風呂は、ケミンと私がラヴォージェに教えたのよ。」

「此れ如何に使うにゃ?」


「此れはオーブンレンジで、エナジーを流すと食材を調理してくれるのよ」

「此れはなんですの?」

クララが聞くと


「此れはIHクッキングヒーターこれもエナジーを流すと鍋とかフライパンを熱してくれるのよ」

「凄いな、夢の道具だ!」

ヘディが本当に驚いた様に言った。


「この世界の厨房の設備だって十分凄いわよ。魔法で火が付く竈にオーブンだって有るじゃない此れと一緒よ。私は使い慣れてるから此れを作って貰ったけど、この世界の設備でも十分だわ」


「そう言われたら形が違うだけで同じものなのか?」

ヘディが首をかしげながら聞く


「そうそう、形が違うだけよ、次はお風呂よ皆で入りましょう」




「僕は一寸・・・」

ベルが恥ずかしそうに拒むとキュリアは言う


「何言ってるの、裸の付き合いよ、さあ行きましょう」

と言いながら、ベルの背中を押して進ませる。


皆がぞろぞろとお風呂の方に歩いて行く。脱衣所に到着するとキュリアはカーテンを開けた。その瞬間全員が言う。




「なんでお風呂にブランコなの?」

ツッコミ処は一緒だった様だ。


「良いのよ!開放感が有るんだから!さあ入るわよ!」

そう言うと、キュリアは忽ち岩風呂に水魔法を使ってお湯を張った。立ち昇る湯気が、気分を唆る。


「仕方ないか」ベルは諦めたように言い服を脱ぎ始めた。

他の女子達もそれぞれ籠に脱ぎ始めた。



「さあみんなで入るわよ、」

キュリアは独りで燥いでいる。


皆体を流すと思い思いの場所で、岩風呂に浸かっている。ヘディの毛並みは正に水草の様に揺蕩っている。隣に居るハニーは透き通るような白い肌で大きな胸と尾骶骨辺りから棘の様な物が出ている。


「ハニーは針が有るのか?攻撃できるのか?」

ヘディは、疑問に思って聞いた。


「わたくしの此の針は、攻撃できませんわ、此処は産卵器官ですのよ、子供達は此処から生まれますの、わたくしは今でも卵を産んでますのよ」


「ケミン様の御子を宿したらどうなるのだ?」

「ケミン様の御子を宿す時には、専用の器官が出来ますわ、其処は貴女方と一緒ですわ」


「成程なー、我々とは少し違うのだな」

ヘディは、妙に納得していた。



エルフメイド達は、交互に背中を流し合っていた、仲の良い姉妹である。

ラーニャはキュリアと一緒にブランコに乗っていた。

と言うか、ラーニャがキュリアに捕獲されたのだろう。 キュリアは立ち乗りで


「キュリア様、怖いにゃ」

「大丈夫よ。私に任せなさい」

変な連帯感が生まれそうだった。


キュリアがブランコを漕ぐと大きな胸も揺れる、ラーニャの胸も揺れている。

一人憂鬱なのはベルである。

(みんな胸が凄いな・・・僕、ケミン君に嫌われないかな?)


身長の一番小さなラーニャでさえ胸の大きさは、Dカップ以上ありそうで・・・

そこにクララが寄ってくる。


「ベル様、私居辛いですの。皆様、胸が大きくて気後れしますの」

よく見るとクララも余り大きくはないが、ベルよりはある。


「僕よりは有るから大丈夫だと思うよ」

ベルは俯いて言った。


「前にケミン様の声が聞こえた事が有りましたの、街を出る直前でしたの【俺は胸の大きさを気にしないのに】って、其の時は、誰が言ったのか判りませんでしたの。其の後ケミン様に会って御声を聞いた時に此の人だって思ったですの」


「有難う、クララ、君は僕の心の声が聞けるんだね」

「それが私の仕事ですの」

恥ずかしそうにクララが言った。


ひと騒ぎした後、皆でもう一度岩風呂に浸かる。八人のお嫁候補が並んで浸かっているのは、壮観である。

「このお風呂も今日で最後かな?」


キュリアがしみじみと言った。ハニーは、言う

「似たようなお風呂なら作れますわよ?さすがにブランコ付きませんけれども、うふふ」


「ブランコはネタで作って貰ったのよ。だから要らないわ」

「其れなら、此処を移設しましょうか?簡単出来ますわ」


「有難う、ハニー、此れでもケミンと一緒に入ったお風呂だから割と思い入れが有ったのよ」

ええええーーー!キュリア以外全員が、揃った。


「と言ってもケミンは、恥ずかしがって直ぐに出ちゃったけどね」

やっぱり!こちらも全員揃って言った。


「さあこれで御仕舞ね、みんな出ましょうか!」

みんな着替えて外に出る


湯上り美人達を見るケミン


「なんか、お風呂は大騒ぎだったね・・・」


 「ケミンの方は話が終わったの?」


「だいたい終わったよ、家を作る事になったらしいね。」


「そうね、此れからは、地上で暮らすのよ。」


 『では皆様方、一度迎賓館の方にお戻りください』


ラヴォージェに催促されて移動していった。



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