浮遊大陸バルバロッサの章
第50話 浮遊大陸っていうか、浮遊島のバルバロッサ空賊団出現です
「いろはさん、スキルヴィングよりも速い船が来ました。ここからはその船で進んでください」
ブロックを一気に8ライン消したことに沸く竜汽船スキルヴィングで、アルビダがいろはに告げてきた。
その言葉にいろはは困惑する。
「はれ? そんな話しあったっけ?」
「今回のテトリスへの参戦を渋っていた空賊団が急遽やってきたのです。
どんな思惑かはわかりませんが、それもいろはさんなら見抜けることでしょう」
アルビダのいろはへの評価はだいぶ高くなっているらしかった。回想という形であるが、過去を見通すいろはに対して一目置いているようだ。
しかし、その説明を聞いて、いろはは不安になる。参戦を渋っていたということはあまり協力的ではないということだろう。それに、態度を急に変えたというのも気になる。
「そんなに悪い人たちとは思えませんので、あまり心配することもないでしょう。
ただ、荒くれの空賊たちです。注意はしてください」
アルビダは近くで話を聞いていたメアリに向かい、目線を彼女に合わせながら話しかけた。
「メアリ、いろはを守ってくれな」
その言葉にメアリは頷く。
「でも、その船っていつ来るのかな?」
いろはが疑問を口に出すと、アルビダは頭上にある巨大な大地を指さした。
「あれです。浮遊大陸バルバロッサ。実際には島ですが」
竜汽船スキルヴィングはその島に向けて高度を上げているところだった。
やがて、その島にまで辿り着くと、その地面に着地した。
浮遊島は船と呼ぶにはあまりにも大きい。ちょっとした町のような場所もあり、農地もあれば、鉱山もあるようだった。島の後部と思しき場所には噴流を発生させる機関が取り付けられている。これを利用して高速での飛行を実現しているらしい。
いろはがアルビダとメアリに案内されて、島に降り立つと、数人の男たちが出迎えに現れる。
その中で、前に出てきた船長と思しき男は、まだ年若く、活力に満ちた瞳が印象的な青年だった。頭にはターバンが巻かれており、髪はニンジンのような赤毛で、くたびれたマントを羽織っている。
男たちは誰もが鍛え抜かれた屈強な肉体を持っていた。
「俺が浮遊大陸バルバロッサの船長、ハイレディンだ。あんたが女神いろはか。よろしく頼むぜ」
握手を求めてきたハイレディンに握手を返すと、いろはは疑問を口に出した。
「協力してくれるんだってね! ありがとう。
でも、ちょっときいていいかな? 何で急に手を貸してくれることにしたの?」
いろはの言葉を聞いた瞬間、ハイレディンの瞳にかっと怒りの色が宿った。そのことに自分で気づいてか、冗談めいた口調で微笑みながら答えた。
「あんたら、バスコと会ったんだろ? 俺たちは奴を追っていたんだ。
あの裏切り者は俺が殺す。そう決めてるんだ」
その目はまったく笑ってはいなかった。
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