第78話 どんな時だって道は残されているんだよ!
「なんとかなるよ!」
Lテトラミノが降ってくる。いろははこれに光明を見出した。
そして、4ブロック分の穴が開いたエリアが露出した。これにIテトラミノを嵌めれば、一気に状況が改善される。
いろははネクストを見る。あと4つのテトラミノを対処できれば、Iテトラミノが来る。ここが正念場だ。
「あんまり棒頼りになるのはよくないけど、今はしょうがないよね」
○○〇:わかってるじゃないか
◆◆◆:今は棒を待とう
それでも敵の攻撃は続いている。ブロックを消すためのブロックを待ちつつ、配置する間に灰色のブロックがせり上がってくる。それでも、バランスよくブロックを置き続け、Sテトラミノ、Jテトラミノを2回どうにか配置する。
そしてIテトラミノだ。さらなる敵の攻撃が入る前に来てくれた。いろははラコンコルドに指示を送り、隙間に嵌め込むことに成功する。これにより、敵の攻撃によって送り込まれていた灰色ブロックを相殺することができた。
「まずは一段落……」
□□□:やるね!
●●●:うまいうまい!
いろはは額から流れ出ていた汗をぬぐう。
そして、同時にラコンコルドの内部で歓声が上がる。飛空艇を落とそうと孤軍で暴れていたキビツヒコがついに船から落下したのだ。直接とどめを刺すことはできなかったものの、これでテトリスの戦局も一気に有利になる。
活気を取り戻したラコンコルドの力も借り、いろはは順調に灰色ブロックの上面に配置されていたテトラミノを消していき、灰色ブロックの隙間を露出させた。そして、ブロックの均衡を保たせつつ、Iテトラミノを待ち、一気に灰色ブロックを消す。
それと同時にいろはは自分の力がみなぎってくるのを感じた。
「これは、敵を倒した時の感覚! 私、強くなってる!」
◇◇◇:とどめを刺したな
■■■:これで有利になるぞ
ブロックの落ちるスピードは次第に速くなっている。だが、それ以上に自分の感覚が研ぎ澄まされていることを、いろはは感じていた。
灰色ブロックに重なるテトラミノを順調に消し続け、ついに最後に残された6段の灰色ブロックの隙間を露わにする。これをJテトラミノで1段消す。
その間に攻撃があり、差し引き1段が増える。しかし、そんなことは意にも介さず、Jテトラミノの残骸をLテトラミノで1段消し、さらに続いて現れたJテトラミノでもう一段消し、再び灰色ブロックの隙間を露わにさせる。ここでホールドしていたIテトラミノを解放だ。一気に4段の灰色ブロックを消滅させた。
「速い! 速い!」
しかし、この時に神経を研ぎ澄ませたいろはでもついていくのがやっとなほどに、ブロックのスピードは上がっていた。これにはラコンコルドの操舵手や砲撃手の力を持っても、間違いが起こりやすいということでもある。
それでも力を尽くして、どうにか落ちて来るブロックを消していく。ただ、僅かに残った2弾の灰色ブロックは手つかずのままだ。
「撃って! 撃って! 撃って!」
いろは砲撃手に何度も同じ指示を飛ばす。Tテトラミノは砲撃を受けて、ブロックの上に乗ったまま、何度も回転を続ける。
これは単なる時間稼ぎにほかならなかった。焦るいろはにはどこにブロックを配置するのが適切か判断できないでいたのだ。
ドーン
どこからか砲弾が撃ち込まれ、ラコンコルドが揺れる。そして、絶え間なく打ち続けていたTテトラミノの砲撃も止んだ。
Tテトラミノは直立し、ほかのブロックを邪魔するような形で止まってしまった。
「う、うそ! これじゃ、どうにもならないよ!」
○○〇:やっちゃった
◆◆◆:これは痛恨だ
□□□:いや、ラコンコルドの周囲もヤバいよ
ふと、周囲を見渡すと、ラコンコルドを十何隻もの艦隊が囲んでいた。いくつかの飛空艇にはキビツヒコが乗っており、金棒を構えたまま、ラコンコルドに乗り込む準備をしている。
絶体絶命。そう思われた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます