第77話 加速するブロックと追撃するキビツヒコたち

「こんなの、どうすればいいの?」


○○〇:まだ加速し始めたばかりだから

◆◆◆:落ち着いていけ

□□□:そこまで速くなってないだろ


「そ、そっか。でも、これから速くなっていくってことだよね」


 速くなったといっても、まだ最初の加速だ。だから、やることは変わらない。

 なるべく平坦にブロックを積み重ねていく。敵の攻撃も来るが、まだまだ連続してくることがなかった。落ち着いて対処すれば、どうとでもできる。

 いろはは落ちてきたOテトラミノをしっかり嵌め込んで、ブロック2列を一気に消す。剥き出しになった3段の灰色ブロックにはIテトラミノをホールドから解放して差し込む。

 みるみるうちにブロックは消えていった。


●●●:上手いじゃん

◇◇◇:いけるいける


 しかし、ここで敵の攻撃が連続して入ってきた。

 テトラミノを積み上げるごとに、灰色ブロックが徐々に這い上がってくる。


「順調順調、ここに来てコツ掴んできちゃったんじゃないの」


■■■:油断するな

○○〇:いや、実際に上手くなってる


 いろはは調子に乗ったような言葉を口に出すが、実際に快調だった。

 灰色ブロックの穴を避けつつも、ブロックをバランスよく配置していく。そして、ネクストもしっかり把握していた。Iテトラミノが来るタイミングを見逃さず、きっちり灰色ブロックを削っていく。

 3回にも渡って受けた8段分の攻撃も、あっという間になくしてしまった。


◆◆◆:おお!

□□□:ほんと上達してる

●●●:すごっ


 ギャラリーも沸くほどだ。


 だが、この時、空から降ってくるものがあった。キビツヒコだった。

 そのキビツヒコがどうやってきたのかはわからない。付近に飛空艇と思われるものはなかった。

 小さな浮島を八艘飛びのように乗り越えて、ラコンコルドに接近したのだろうか? それは驚異的な身体能力と胆力、そして空間把握能力がなくしてはできないことだ。いや、どれほどの能力を持っていたとして、人間業でそんなことができるとは、にわかには信じがたい。


「ええっ!?」


 いろはが驚いて声を上げるが、キビツヒコに気づいたのはいろはだけではない。ラコンコルド中が騒然となった。

 アンの空賊団の力自慢の男たちが集まり、乱闘が始まる。そこには歴戦の強者たちが集まっていたが、瞬く間にキビツヒコに殺され、弾き飛ばされ、その姿を減らしていった。だが、そうはいっても精鋭揃いのアンの空賊団である。中には食らいつく者もおり、いい勝負をするものも現れ始める。


「ここはあいつらに任せて、いろははテトラミノを!」


 アンの言葉に従い、いろははテトラミノを落とす指示を始める。だが、当然のことながらなかなか集中できず、乱戦の中では砲撃手の手元も狂う。

 先ほどまでの快進撃が嘘のように、テトラミノの配置は悪くなり、瞬く間に3分の2ほどがブロックで埋め尽くされてしまった。さらに敵の攻撃も迫ってきている。


◇◇◇:これはまずいぞ

■■■:ピンチだな

○○〇:これは乗り越えられるのか


「は、早く! 早くブロックを減らさなきゃ!!」

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