第109話 ライダーチーム参戦します!
カワサキに向かうライダーチームの三人は巨大なブロックが落下する奇妙な風景に圧倒されていた。
だが、何かを思い出したかのように、
「なんか、あの場所に向かわなきゃいけない、そんな気がする」
その言葉に
彼らはブロックの落ちる場所に向かって、バイクを走らせていく。
そんな時、彼らの頭上近くを巨大なものが通り過ぎていった。
見上げると、まるでドラゴンのような、巨大な飛行する生物である。そのあまりに雄大な姿に圧倒され、次いで少し冷静になると恐怖に身を震わせる。
「あれは、まさか
その言葉を口に出したのは誰だったのだろうか。
三人は不吉な予感が言葉にされたことで、その恐ろしさを実感する。噂だと思っていた人類に破滅を呼ぶ存在が実在したというのか。
だが、それ以上の恐怖を榊が感じたのは少したってからだった。
特異点の向かう先に空中に浮かぶテトラミノがあったのだ。
「あの場所が狙われては敗北する!」
なぜか、自分でも意味のわからないことを口走っていた。しかし、その恐怖感は特異点に感じたものよりもずっと強い。
三人はバイクを急がせ、さらに先を急ぐ。しかし、次第に道は険しくなり、榊の乗るモトクロスバイクでも走行は困難になり、ましてや春日のスクーターではとても先へは進めない。
そうしている間にも特異点は浮遊するブロックと、それを保持する飛行する男を攻撃しているようだった。
「ダメ、間に合わない!」
榊は絶望に顔を青くして思わず呟いた。
「綾瀬、君だけでも先に行けないか?」
突如、春日が口を開いた。
綾瀬は恐れていたことを口に出されたかのように、ビクッとした反応をし、顔を引きつかせる。だが、春日の真剣な様子に根負けしたように項垂れると、榊のモトクロスバイクから降りた。
「変身……」
ぼそっと呟くように喉が震えた。そして、次第に綾瀬の身体が変わっていく。
全身が黒いような、茶色いような蟲を思わせる色に変色し、その目は巨大な複眼に、顎は鋏のような突き出るような形状に変化していった。そして、両手、両足は節くれだった強固なものとなり、背中がパックリと開くと巨大な羽が姿を現した。
「なっ」
榊はその変化に思わず息を呑む。しかし、驚きは少なかった。
綾瀬に秘密があることはわかっていたからだ。それに、妹が開きし者になった時から感覚がマヒしていたのかもしれない。目の前の人間が開きし者に変化しても恐怖感はなかった。
「綾瀬、がんばって! 私たちもすぐ行くから、それまであの怪物をどうにか足止めしてよ」
榊が感じていたのは、自らを犠牲にして飛び立とうとする綾瀬の勇気だ。激励の言葉が自然に湧き、口から溢れていた。
表情はわからないが、綾瀬は意外そうな反応をする。そして、肢を折り曲げて全身を下ろし、バネのように一気に跳躍する。その勢いのまま、羽を広げ、特異点に向けて飛び立っていった。
○○〇:なんだかよくわからないけど、通じ合ってるね
◆◆◆:この三人も旅の間に仲良くなってたんだ
□□□:綾瀬が飛び立って特異点落とすんだな
●●●:間に合ってくれてよかったね
◇◇◇:何気に春日の判断がよかったな
「うん、そうだね! 綾瀬さんが来てくれてよかった!
春日さんの判断のお陰でもあるし、変身した後の榊さんの言葉も良かった! 綾瀬さんもあの言葉に励まされたみたいだね。
でも、こっちのピンチはそれだけじゃ終わらないのよ! ああー、どうしよー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます