第25話 運命の出会い! なのかな?

「買うって……、何を?」


「もう、わかっているでしょ」


 少女は色っぽい仕草をしながら、スミトモにしだれかかってくる。それをスミトモは慌てて引き離した。

 彼女の意図はわかったが、華奢きゃしゃな少女を情欲の対象にすることはできなかった。


「金ならやるさ。ただ、何もするな」


 スミトモは懐から銀貨を取り出し、少女に握らせた。

 少女は少し寂しそうな、不満そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。


「ただお金だけもらうわけにはいかないのよ。うーん、そうねぇ」


 少女は少し思案したのち、履いていた草鞋を脱いで、スミトモに手渡した。

 そして、次の瞬間、裸足のままで駆けだしていってしまう。

 残されたスミトモは呆然とその後ろ姿を眺めているしかなかった。



 都に辿り着いたスミトモはキビツヒコにあいさつに向かった。御所に赴き、いくつかの警備陣を通って、キビツヒコの面会室を訪ねる。

 キビツヒコはスミトモを一瞥し、二、三の言葉をかけたのち、場所を変えた。

 庭に出て、スミトモに打ち込んでくるように指示する。力を試そうとしているようだった。


 スミトモは刀を抜いた。キビツヒコも抜く。

 スミトモは正眼に構える。そして、刀を振り上げると、気合とともに渾身の一撃を放つが、キビツヒコは刀で柔らかく受け、軽々と受け流す。その後、幾度となく刀を振るうが、キビツヒコは僅かな動きでそれをかわし、そのどれもが空を切る。

 しばしの打ち合いの末、キビツヒコは刀を片手下段に下げる。もはや回避に刀など必要としない。スミトモの一撃を見極めると、白刃を片手で掴んだ。


「いい太刀筋と膂力りょりょくじゃ。麿まろの軍に入り、力を磨くといい」


 キビツヒコのあまりの強さに、スミトモは舌を巻く。空賊退治で名を馳せ、少しは自信を持っていたが、それがすべて打ち砕かれた思いだった。

 しかし、どうにか認められることができたらしい。安堵の気持ちもあった。

 同時に、迷い込んだ貧民街の様子が脳裏に浮かぶ。あんな状況を御所の人々は知っているのだろうか。


「先日、橋の下やわらの家に住むボロボロな服を着る民草を見ました。

 きょうはあの状況をご存じなのでしょうか? 早急にどうにかすべきものと思います」


 スミトモの言葉に、キビツヒコは冷ややかな視線を送る。


軍人いくさびと政治まつりごとに口を出すものではない」


 その言葉には有無を言わさぬ威圧感があった。

 スミトモはそれ以上は言えなかった。



 キビツヒコの傘下に入り、訓練が始まった。キビツヒコの率いる軍団はその配備された方角に従って呼称される十二の部隊に分かれている。その中でもとりわけ強力だと言われているのが、さるきじいぬの方角に配置された三部隊である。

 スミトモは申の部隊に組み込まれ、部下を付けられた。部下たちの鍛錬と自分自身の修練とを同時にこなしていく。

 また、キビツヒコから直々に指導を受けることもあり、スミトモの実力は瞬く間に上昇していった。


 そんな日々の中、ふと貧民街に足が向かった。

 あの時の少女がいないか探してみるが、見つかるはずもない。


 しばし呆然としながら街の様子を眺める。

 都の近くで暮らしながらも、彼らがここまで貧しい理由は何だろうか。

 仕事がないのか、土地がないのか、能力がないのか。


 ふと、ひとりの青年と目が合った。

 ほかの人々と同じようにみすぼらしいボロをまとっているが、肌や髪のツヤが明らかに輝いて見える。貧民街の人々どころか、御所にいる貴人たちと比べても、最上の位のものに近いのではないかと感じた。

 その青年はスミトモの近くまでやって来る。

 やはり貧民街の人々とは一線を画する。中性的で透き通るような美貌を持ち、瞳は爛々と輝いている。


「君はスミトモだね。御所でよく見かけるよ」


 その声もまたはっきりと通る美声であった。

 しかし、スミトモを知っているという。スミトモは驚きのあまり絶句していた。


「僕の名はマサカド。キビツヒコとは従兄に当たる。

 君も気づき始めたようだが、都は腐っている。

 誰かが変革をもたらさなければ、このままでは崩壊も近いだろう」



○○〇:なんか、キャラ増えたな

◆◆◆:回想なのに人増えすぎじゃね

□□□:知っている奴が全然いない

●●●:キビツヒコは強キャラみたいだな

◇◇◇:マサカドいいね、美形キャラだ

■■■:いつホールドできるんだ?


「キャラ増えてきたけど、どうなるんだろうねー。

 スミトモさんは誰とエンディングを迎えるのかな?

 って、そんな話じゃないか」

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