第122話 特異点の逆襲です!

 榊の決死の行動により、ハンターチームの進軍は格段に楽になった。

 すでに戦車二両、補給と移動を兼ねたジープ二両、ハンター数人と戦力を少なくなっていたが、それでも危なげなく進軍できるほどにまでなっている。

 ツルギたちと別れたトレーラーの場所まで間近になっていた。


 その勢いにテトリスでも乗りたい。

 いろはは灰色ブロックの隙間に乗ったブロックにだけはテトラミノを乗せないように、気を遣いつつ、均等にブロックを積み上げていた。しかし、彼女が思っている以上に状況は複雑でどう消していいかもわからない。


「もういいや!」


 いろはは降ってきたIテトラミノを避けていた隙間の上に乗せる。2列が消えた。

 さらに、Lテトラミノを左端に配置して、1列を消す。TテトラミノはTスピンの要領で変な隙間が空いていた箇所に嵌め込み、Sテトラミノは右端に配置し、また1列が消えた。

 これによって変な場所に空いていた隙間が露わになる。


「よしよし、やっぱ地道に消していかなきゃだね」


○○〇:これはよさそう

◆◆◆:いけそうだね


 引き続き丁寧にブロックを消していき、ついに灰色ブロックを塞ぐテトラミノを排除した。

 ここで敵の攻撃が入り2列分の灰色ブロックがせり上がるが、幸運にもその隙間は今までのものと同じ場所に現れる。

 いろはは焦りの気持ちを抑え、降ってきたJテトラミノを隙間に配置、2列分を消すことができたものの、その分の盛り上がりができてしまった。


「この痛みは必要なもの。丁寧にやれば突破できるはず」


 しかし、無情にも敵の攻撃がさらに入り、ブロックは限界近くまで追いつめられる。

 心臓がドクバクと鳴るが、何が落ちて来るかはわかっている。Sテトラミノで1列分消し、Lテトラミノでもう1列。隙間を埋めるものがなくなったところで、Iテトラミノをホールドから開放し、一気に4列が消える。

 次に落ちてきたのはZテトラミノだが、これも灰色ブロックを消すのに使用し、1列を削除。降ってきたのOテトラミノだが、ホールドしたTテトラミノを開放し、Zテトラミノが埋めた部分を消し去った。


「行ける!」


 Jテトラミノは無難な位置に落とし、次に来るのはIテトラミノだ。これで4列を消す。

 これで全体の積みは半分ほどまでに挽回した。


□□□:上手く凌いだ

●●●:ダメかと思った

◇◇◇:上手いぞ!

■■■:やるなー


「でも、この後がつらいよ。全然いいテトラミノが来ないし!

 それにこれ、スピード上がってない!?」


○○〇:落ち着いていけば大丈夫

◆◆◆:ろはちゃんならできる!


 この時、いろはの嘆きに呼応したのか、轟音のような咆哮が響いた。そして、巨大なものが空に浮かび上がってきた。特異点アンタッチャブルであった。

 特異点は羽ばたきながらもいろはを見つけると、彼女目掛けて滑空を始める。


「あぁぁーっ、もうピンチが続くよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る