第84話 ハンターチーム登場です

「ん? あれはなんだ?」


 岩崎が見張り台に立ち、周囲を見渡していた時、違和感があった。空から何かが下りてきている。眺めていると、それはブロックのようであり、棒のような形状をしているように見えた。

 だが、その疑問も直後に鳴り響いた轟音により、それどころではなくなる。


 ダダダダダダダ


 それは銃声であった。

 見張り台のすぐ下で起きる。見張り台は五階建ての廃病院の屋上に建てられている。その真下ということは屋上で起きたということになる。


「て、敵か!」


 岩崎が慌てて様子を窺うと、ミンが機関銃を奇妙な生物にぶっ放しているところだった。

 その生物は肉がドロドロに溶けたような奇怪な姿をしており、円錐状、というよりも山のように盛ったような形状をしている。

 そして、機関銃で撃たれてもそのドロドロの身体に吸収されているようで、まるで効いていないかのように見える。


「岩崎、手伝ってくれ」


 鳴が焦った様子で叫ぶ。

 それを聞いて岩崎は見張り台から梯子を伝って降り、鳴の隣に並び、懐から拳銃を取り出した。


「俺は戦車乗りなんだがな。

 っていうか、機関銃すら効かないのに、拳銃が効くのか?」


 ダンッダンッ


 岩崎の放った銃弾が怪物に命中するが、やはりドロドロの肉体に吸収される。


「姉御はどうしたんだ? まさか、食われたのか?」


 屋上には鳴のほかに、もうひとり姉御と呼ばれる仲間がいたはずだった。しかし、その姿は見当たらない。岩崎は最悪の事態を想定しつつ、鳴に尋ねた。


「姉御はあれだ」


 できるだけ考えないようにしていた事実が突きつけられる。


「開いちまったっていうのか……」


 岩崎は諦めきったようにため息をついた。だが、当面の問題は仲間の安否などではなく、自身の生存だ。

 姉御だったはずの怪物は徐々に岩崎と鳴に近寄ってくる。

 そして、怪物はその頂点にある口のような部位から何かを吐き出してきた。その唾液のような物質が岩崎の肩に当たり、岩崎の服を溶かし、皮膚を爛れさせる。


「や、やばい!」


 このタイミングで岩崎の弾丸が尽きていた。このまま、この場にいても、近寄られ、酸性の唾液を浴びせられるだけだ。

 弾切れになっているのは鳴も同じようだった。ふたりは示し合わせると、一斉に建物の下層へ進む階段へと駆けだした。


 だが、予想以上に怪物のスピードが速い。階段を降り、廊下を走っていても、まだ怪物がウニョウニョとした動きで付いてきていた。

 そろそろ全速力も厳しい、そう思ったタイミングで何者かが現れた。

 その男は怪物に背後から近づくと、怪物を羽交い絞めにし、ブリッジをする勢いで怪物を地面に叩きつけた。ジャーマンスープレックスだ。


「と、徳さん!!」


 岩崎と鳴の声が唱和する。

 現れたのは、筋骨隆々の肉体を露わにした元レスラーであり、彼らハンターチームのリーダーである徳さんであった。彼は、武器に頼らず、己の屈強な肉体を用いた技で開きし者に立ち向かうのである。



 ○○〇:あれ? 回想入った?

 ◆◆◆:ブロック落ちてきてるから同時進行か?

 □□□:つか女神像どうなったのよ? あれ、いろはでしょ

 ●●●:あの怪物は開きし者か? 元は人間ってこと?

 ◇◇◇:怪物と肉体言語で戦うやつなんなの

 ■■■:こんろは!


「はい、こんろは。

 急に別視点になっちゃったね。私はいつ出てくるのかなぁ。


 開きし者って元は人間なのかな? どういうことなんだろ? それって、つまりホラー路線ってこと? うへぇー。

 ハンターチーム?ってのがなんなのか、まだわからないけど、徳さんは頼りになりそうだね!」

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