概要
その戯作者、人を救わず。ただネタの代償に奪うだけ
表情から感情の一切が消え失せた売れない戯作者――佐倉(さくら)
雀の羽根のような色合いのフワフワの髪を持った少年――すずめ丸
そんな二人の長屋にやって来たのは、長雨が妹のせいかもしれないと、噂を聞きつけてやって来た男。
男が聞きつけた噂とは、戯作のネタを提供する代わりに怪異を治めてくれるというもの。
そんな話を信じたのかと呆れられつつも男は語る。泣き暮らす妹を救うため。
これは、病んだ心を取り除き、その原因となったものに対して復讐を果たし、《心喰い》の腹を満たし、戯作のネタ集めを同時に行う戯作者と《心喰い》の一石三鳥の物語。
雀の羽根のような色合いのフワフワの髪を持った少年――すずめ丸
そんな二人の長屋にやって来たのは、長雨が妹のせいかもしれないと、噂を聞きつけてやって来た男。
男が聞きつけた噂とは、戯作のネタを提供する代わりに怪異を治めてくれるというもの。
そんな話を信じたのかと呆れられつつも男は語る。泣き暮らす妹を救うため。
これは、病んだ心を取り除き、その原因となったものに対して復讐を果たし、《心喰い》の腹を満たし、戯作のネタ集めを同時に行う戯作者と《心喰い》の一石三鳥の物語。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!人の《心》は誰かを救い、時に誰かを壊す
《心》
其れは視ることも聴くことも触れることもできず、然れども、人を人たらしめるものである。《心》があるから人は誰かを愛し、細やかな幸福に喜び、楽しみを捜すことができる。だが《心》から産まれる感情は好ましいものばかりではない。怒り、悲しみ、怨み……強すぎる感情は時に人を惑わせ、人を壊す。
故に彼らがいる。
《心移し》
荒ぶる感情をしずめる、のではなく、心の一部を取り除き、再びに悲しみや怒りに苛まれることのないようにするという力である。
だが、わすれてはならない。時に不都合に想われる《悲しみ》も《怒り》も、人の心を動かすために無くてはならない心のかけらだということを。
それでも《心》さえなけれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!亡イ心ヲ埋メ合スヨウニ男ハ言葉ヲ綴リ続ケル。心無イ妖ニ寄リ添ワレ乍ラ。
人間が人間であると言えるために
《心》というものが必要なのだとして
喜怒哀楽に心を支配された人間は
果たして「人間らしい」というべきなのでしょうか。
美しくも面のように表情の無い戯作者・佐倉と
明朗快活で不思議な魅力のある少年・すずめ丸。
彼らの元にやってくるのは激情を持て余す相談者兼ネタ元たち。
彼らの紡ぐ物語を見守ってまいりますと
人間が人間でいられるのは《心》があるからかどうかはさておいて
隣にかけがえのない存在がいるからなのかなと
そんなことを考えさせられます。
悲しみ、怒り、罪悪感、
喪失感に、生や愛、金への渇望……
《心》に執着しすぎるあまりに
人が人ならざる者になりつつ…続きを読む