亡イ心ヲ埋メ合スヨウニ男ハ言葉ヲ綴リ続ケル。心無イ妖ニ寄リ添ワレ乍ラ。

人間が人間であると言えるために
《心》というものが必要なのだとして
喜怒哀楽に心を支配された人間は
果たして「人間らしい」というべきなのでしょうか。

美しくも面のように表情の無い戯作者・佐倉と
明朗快活で不思議な魅力のある少年・すずめ丸。
彼らの元にやってくるのは激情を持て余す相談者兼ネタ元たち。

彼らの紡ぐ物語を見守ってまいりますと
人間が人間でいられるのは《心》があるからかどうかはさておいて
隣にかけがえのない存在がいるからなのかなと
そんなことを考えさせられます。

悲しみ、怒り、罪悪感、
喪失感に、生や愛、金への渇望……

《心》に執着しすぎるあまりに
人が人ならざる者になりつつあるこんな時代だからこそ
多くの方にお読みいただきたい作品です。

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