様ァねぇ人こそもののあはれなれ。

こちらをご覧の賢明な皆様は、そんなことはないと存じますが、ちょっと「苛ち」な皆様におかれましては、新しい家電製品を購入した際など、ついつい、使用説明書を読まずに使っちゃって取り返しのつかない失敗などやらかしてしまうことって、あるのかなあと思うんです。
で、壊しちゃったりなんかして「ああ、我ながらざまあねえな」と。

「希少種屋」という損料屋さんでお買い物されるときには、皆様、特に気を付けておかねばなりません。

今回は、視力を失った「木島雨験」という町の警護を預かる「戍狩」職の方がこの「希少種屋」を訪れます。
町の治安のため日々ご尽力されている雨験さんも誠実で仲間に慕われる徳のある方、この方の奥様もとても気立ての良い方です。

視力を失う前と後。護りたいものが、なぜ変わりましょう。
視力を失う前と後。恐るべきものが、なぜ変わりましょう。

便利さが飽和状態である昨今、私達はまだ、楽に無駄なく生きたい。
お金が沸くなら働きたくもない。
ひらめいた小話で銭をせしめたい。
そんな人を集めるだけ集めて商売したい。
読む人に感動を。子供たちに夢と希望をなんて頭に乗っけて——いやいや、何の話か。

主人公は「様ァねぇな」と嗤います。

作者の圧巻の筆で描かれた、あまりに無様であまりに愛しい人の心の機微に、「苛ち」な方もそうでない方も、一度触れてみませんか。