第68話 ミルクが拗ねてます

ローマンに来てから3件もトラブルに遭遇している。

味方に犠牲者が出なかったことが救いだ。

ブルーマリンでの買い物に満足したのでみんなで家に帰ることにした。

早速仕入れた海産物を料理人たちに渡した。

自室に戻ると不機嫌な専属メイドが立っていた。


「お帰りなさいませ、ご主人様。旅は楽しかったのでしょうね。」


すごく言葉にトゲがある。


「あの、ミルクさん? 怒ってます?」


「怒ってなどいませんよ。ただ、専属メイドが置いていかれて、ほったらかしにされている間って何をしたら良いのでしょうかね?」


「お掃除とかかな?」


数秒の沈黙だったが、数十分ほどに感じた。


「えっと、ミルクさんにお土産があるのだが?」


ちょっと反応した。

買っておいてよかった。

収納から買っておいた星の砂とサンゴのアクセサリーを取り出した。

見る見る笑顔になった。もう一押しだあな。


「あと、ミルクに似合うと思って作った服があるんだが着てみてもらえるかな?」


俺が作ったのはセーラー服だ。

しかし、静香に見られたら確実に変態扱いされると思うので俺の部屋限定とした。

早速着替えたミルクはすごくかわいかった。

とりあえず、ミルクの機嫌が直って良かった。


晩飯は海鮮尽くしとなった。

貝の味噌汁がうまい。身体に染みていく。

そして、カニにみんな夢中になり、いつもより静かな食卓となった。

食事に満足し、風呂で身体をミルクに洗ってもらいゆっくり寝た。


「おはようございます。真治様、本日のご予定は?」


「おはよう、ミルク。今日は護衛依頼の報酬をもらいにブルーマリンに行く予定だ。ミルクも一緒にいくか?」


「ご一緒してもよろしいのですか?」


「もちろんだ。ミルクにも綺麗な海を見せてあげたいしね。」


「ありがとうございます。早速準備いたします。」


「その前に朝ご飯をお願いね。」


朝ご飯を食べた後、ミルクを連れてブルーマリンに転移した。


「これが潮の香というものですね。真っ青な海がキラキラして綺麗ですね。」


「それじゃ、領主様の屋敷に向かうぞ。」


領主アレクサンダーの屋敷に向かった。

門番に用件を話し、リビングに通された。


「昨日までの護衛、ありがとうございました。真治様には2度も命を救われました。本当にありがとうございました。」


娘のソフィアとともにお礼を言われた。


「いえ、私は依頼を全うしただけですので。本当に犠牲が出なくてよかったです。」


「それでは私のできる精一杯のお礼をしたいと思います。まず、王都からここまでの護衛依頼の報酬は通常料金とのことでしたが倍の20金貨とさせてください。そして、2度の盗賊からの護衛の方は2聖金貨とさせていただきます。いかがでしょうか?」


1聖金貨=1000金貨となっている。

一生遊んで暮らせるのでは?という金額だ。

さすがに貰いすぎだろうと思ったが、娘の命を救ってもらったお礼だと言われると断りづらい。

不満なら娘を嫁にという話も出てきてしまったのでお金を受け取ることにした。


「今回捕らえられた隣の領主ですが、処刑されることになったそうです。それで、隣の領地も私が仕切ることになりました。税金が厳しく住民は困っていたようですね。それに隣の領地は農作業が盛んです。真治様は米を探しているとお聞きしましたので力になれるかもしれません。」


「それは有難い。それでは取引をしている商人のジョージさんを紹介しますのでよろしくお願いします。それに彼の搬送量は桁違いなので他の地域からの仕入れもお願いすると良いかもしれないですよ。」


「優秀な商人をご紹介いただけそうですね。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。」


「はい、こちらこそ。ソフィアちゃんも元気でね。」


ソフィアの頭を撫で、アレクの家を後にした。


「んじゃ、ミルク、買い物して帰ろうか。」


露店で売ってる網焼きなどを買い食いし、新鮮な魚介類を昨日以上に買い漁った。


家に戻り、先日入ったばかりの農婦たちの様子を見に行った。


「うちでの生活はどうかな? 何か要望があったら言ってくれ。あと言い忘れていたが、月給1金貨を渡すので好きに使って良いからね。」


「え? 私たちは奴隷ですが給金をいただけるのですか?」


「あれ? 俺は君たちを雇うって言わなかったっけ? ごめん、言うの忘れていたかもしれん。俺は奴隷扱いするつもりはないぞ。従業員として扱うからそのつもりでいてくれ。あと、奴隷から解放するのも忘れてたな。申し訳ない。」


奴隷から解放した。

5人の農婦は予想外のことだったらしく固まっていた。


「ハンナを農婦のまとめ役とするから、あとのことは頼んだぞ。」


「了解しました、ご主人様。来週には収穫できると思いますので楽しみにしていてください。」


「メルモ、いつもありがとう。」


遠くで微笑んでいるメルモにお礼を言った。

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幼馴染の娘と世界樹の導きで異世界転移? 俺が勇者ですか? 魔王討伐なんて無理です! 蒼い空 @sky_blue

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