第43話 新居建設
早速、庭の片隅に世界樹の種を埋めた。
生活魔法のウォーターで水をかけるとすぐ芽を出し、あっという間に3mほどの木に成長した。
おお、小型世界樹になった。
みるみるHP、MPが回復し、疲労も解消されていく。
すぐにルームを起動し、サリンを呼んだ。
「ええええ! 世界樹じゃないですか! なんでこんなところに生えているんですか! 小っちゃいけど、すごいエネルギーを感じますよ!」
「女神メリーナ様にもらったんだ。これで夢がかなったな。大切に守るんだぞ。」
「本当に使徒様だったのですね。」
ルームに戻り新居の話の続きをする。
「メリーナ様に会った。新たなスキルをもらったからみんなに付与するから集まってくれ。」
次々と手を握り、不老不死を付与した。
「これで寿命が永遠になるそうだよ。事故やケガでは死んじゃうから気を付けてね。あと、メリーナ様の祭壇を作ることにした。お供えをしてほしいそうだ。」
遅れてクリスが現れた。
クリスの手を握り不老不死を付与しようとしたが弾かれてしまった。
『ティア、どういうこと?』
『クリスさんはメンバーとして認識されていないようです。蒼の絆でもパーティメンバーでも無いですからね。ただ、今メリーナ様より追加したと連絡が入ったので今度は大丈夫だと思います。』
クリスを抱きしめ願うとちゃんと不老不死が付与された。
クリスだけを失うかと悲しくなって思わず抱きしめてしまった。
「あの、真治様? 急にどうされたのですか? 抱きしめて頂けるのは非常にうれしいのですが、急だとドキドキしてしまいますわ。」
「あ、ごめんな。今、クリスに不老不死っていうスキルを付与したんだ。一度弾かれたから不安になって抱きしめてしまった。」
「へ? 不老不死ですの?」
「寿命がなく、綺麗で若いまま、ずっとみんなで楽しく暮らせるってことだ。」
「それはありがとうございます。ずっとあなたのそばに居れるのですね。」
このままみんなで笑って過ごせるように祈る。
その前になんとしても魔王を討伐しなくては。
「話が反れたが、新居に他の要望はあるかい? そろそろ作り始めちゃうよ?」
「伯爵になったのですからパーティルームは必要になると思います。大ホールと小ホールの2つを作ってくださいまし。応接室も忘れずに。」
『ティア、追加設計よろしくね。』
『この程度でしたらすぐに終わりますよ。材料もそろってますし、いつでも建築可能ですよ。言い忘れていましたが、全魔力を放出します。一時的にルームは使えなくなりますのでお嬢様方に説明しておいてくださいね。世界樹があるのですぐにMPが回復するはずですよ。』
『はずということは確定ではないんだね。我が家のためだ。多少、行動不能になることは覚悟しよう。』
「みんな聞いてくれ、家を作るときに全魔力を使うので一時的にこの部屋が使えなくなる。それに俺は意識を失い行動不能になるから守ってくれよ?」
「では、明日作ってしまいましょう。急に家が建っていくので近隣住民が騒ぐでしょうから城の近衛部隊を派遣します。真治さんの護衛は蒼の絆のメンバーだけで十分でしょう。魔王以外は手を出せないでしょうし。」
ということで、明日決行されることになった。
あとで聞いたのだが、突然元大臣の家が消えて大騒ぎになっていたらしい。
次の日の朝、クリスがルームに来て近衛部隊の配置が完了したと報告があった。
ゆっくりしたいし、朝からやっちゃうかな。
『ティア、準備は良いかい?』
『いつでもOKですよ』
「みんな後は頼んだぞ。それじゃ、始めるね。」
「Housing!」
音もなく、家の土台から作られていき、どんどん家になっていった。
あっという間に3階建ての豪邸が出来上がり、隣に訓練所も完成した。
そして、俺は意識を失った。
目が覚めると、世界樹の木陰でクリスに膝枕をされていた。
「お目覚めですか? お家はちゃんと完成していますよ。」
「よかった。俺はどれぐらい意識を失っていたんだ?」
「1時間くらいですよ。世界樹のおかげで回復が早かったようです。」
みんなで完成した家の探索を行うことにした。
俺が目覚めるまで待ってくれていたそうだ。
玄関の扉を開けると玄関ホールになっていた。
天井に大きなシャンデリアがある。
正面には2階へ向かう大階段がある。
階段の脇を通りそのまま進むと大ホールのパーティ会場になっていた。
隣に小ホール、応接室が並んでいる。
玄関の右側にプライベートのリビング、ダイニング、キッチンがある。
左側には大浴場とトイレだ。
その奥に従業員用の宿舎が並んでいる。
従業員の部屋は6畳ほどの1ルームで10室並んでいる。
2階に上がると12畳ほどの客室が3つ、8畳ほどの客室が5つ、それと会議室がある。
大きな窓を開けると広いテラスになっていた。
テラスでちょっとしたパーティやバーベキューが出来そうだ。
そして角部屋はメリーナ様の祭壇がある部屋だ。
3階は個人の部屋だ。
中央の大きな部屋は俺の部屋だ。
何かあったら俺の部屋に集まることになると思うので大きめにした。
メンバーの個室は15部屋作り、まだ増えても大丈夫だ。
俺の隣の部屋はクリス用にし、メイドさんが隣の部屋で待機しすぐに対応できるような構造にした。
メイドさんを連れてくるだろうと予想した。
家具はルームで使用していたものと同レベルのものを設置した。
後程、トレントの家具に置き換える予定だ。
「やっぱりこの部屋数を管理するにはメイドさんが必要かな? ちなみにどこでメイドさんを雇えばいいんだ?」
「通常、他の貴族の家で働くメイドを引き抜くか、奴隷店で購入するかですね。しかし、現在はあの事件のおかげで急に職を失ったメイドが生活に困り奴隷落ちしていると聞きます。質の良いメイドを雇えるかもしれませんよ。あと、私の専属メイドを一人連れてくるのでメイド長をさせ教育すれば良いと思います。」
「なるほどね。じゃあ、ちょっと奴隷店を見てくるよ。」
メイと一緒に奴隷店を見に行くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます