第48話 商人との取引

商人と繋がりを作るために商人ギルドにやってきた。

それは米を仕入れてもらうためだ。

自分で行くのも良いのだが手に入るのであれば商人にお願いしても良いかなと。


「ハワード王都商人ギルドへようこそ。本日はどのような御用件でしょうか?」


「東の国にも強いコネがある商人を紹介してほしいんだ。仕入れてほしいものがあってね。俺はSランク冒険者の真治だ。」


「真治様はあの真治様でしょうか?」


「あのってどの? 多分、その真治だと思うよ? クリスと婚約した真治だよ?」


「やはりそうですか。かしこまりました、少々お待ちください。当ギルドお勧めの商人をご紹介いたします。」


俺も有名になったものだな。

しばらくするとギルド前に立派な馬車が停まり、身なりの良い老人と青年と秘書のような女性が降りてきた。

そのままギルドの応接室に案内された。


「初めまして、ジョージ・サクセスと申します。こっちは息子のジョン・サクセスです。それと秘書のカミールです。よろしくお願いします。」


「私は真治です。こちらこそ、よろしくお願いします。」


「それで私どもに取り寄せてほしいものがあるとお伺いいたしましたが、どのようなものでしょうか?」


「東の国にあるという米を入手していただきたい。種類があるのであれば全てお願いできるだろうか?」


「はい、可能です。確か倉庫に多少残っていると思いますのでお届いたしましょうか?」


「それは有難い。お礼と言ってはなんだが何かほしい素材等があったら相談にのりますよ。例えばオークキングの睾〇とかね。」


「え!? お持ちなのですか! もしや、肉もございますか?」


「もちろんあるぞ? ほしいのかい?」


「100金貨で睾〇と肉をお願いできますでしょうか!」


「問題ないぞ。じゃあ、これでいいかな?」


秘書はマジックバックから100金貨を取り出し、キングの睾〇と肉を収納した。


「これからも良い取引をお願いします。それでは明日、米をご自宅にお持ちいたしますので。」


「よろしく頼む。」


良い商人を紹介してもらえた。

ジョージとジョンが現れたときにすぐにティアに素性を調べてもらい信用できる商人であることは確認済みだった。

良い関係が長く続けられることを願う。


翌日、昨日の3人が自宅に訪れた。


「噂では聞いておりましたが、ある日突然豪邸が出現したというのは本当だったのですね。驚きましたぞ。」


「まだ家を建てただけで庭の手入れがまだなのですよ。時間ができたらやろうと思っているのですがね。まあ、とりあえず中へどうぞ。」


応接室に通し、シーナさんにお茶の用意をお願いした。


「これはもしやトレントで作ったテーブルですか?!」


「さすがですね。その通りです。昨日私が作ったのですけどね。」


「え? 真治様はこのようなこともできるのですか?」


シーナさんがコーヒーを持ってきてくれた。

一緒に俺が作ったクッキーやケーキも振る舞った。


「この飲み物は何ですか? すばらしい香りと程よい苦みと甘味。初めて口にしました。」


「これはコーヒーという飲み物です。よろしければお菓子もどうぞ。」


「うまい! こちらも初めてのお味です。今日は驚かされてばかりだ。」


すぐにどこで入手したのか、いくらするんだと聞きたいだろうに流石に一流の商人だ。


「それでは、こちらが昨日お話したサンプルです。3種類ございましたので全てお持ちしました。」


1つはハルカに聞いていたタイ米っぽい細長い米だった。

残りは日本米に近い形をしている。


「おいくらかな?」


「こちらはあくまでもサンプルですのでサービスとさせてください。」


「ありがとう。ではシーナさん、これをミートさんに渡して炊いてもらってください。」


「あの、炊くとはなんでしょうか?」


「調理法ですね。米を少ない水で煮る感じですかね。ちなみに普通はどのように調理するのですか?」


「煮たり、煎ったりという感じですね。私はあまり食べたことがございません。」


「そうですか。でしたら一度炊いた米を食べてみてください。今、準備してもらっているので。」


「シーナさん、カレーを準備するように伝えてください。」


「かしこまりました、旦那様。皆さま、食事の準備ができるまで少々お待ちください。」


「食事まで頂けるとはありがとうございます。ところで真治様のお召し物は変わった素材を使っているようですね。」


「そうですね。おそらくこの国では入手できないと思います。そういえば、フォレストウルフが大量にあるのですが買い取ります?」


「え? フォレストウルフの毛皮は高級品ですよ? 魔の森辺りにしか生息していないし入手が大変なのですよ。大量とはどれぐらいお持ちなのですか?」


「先日トレントを入手しに魔の森に行ったのですが、フォレストウルフが大量に寄ってきましてね、狩りました。200くらいはいると思いますよ。」


「えええ!! ぜひ売ってください! ですが、本日はあまり大きくないマジックバックしかございませんので後日ということでよろしいでしょうか?」


「そのマジックバックの容量を増やしますか? ちょっと見せてもらえます?」


「え? はい、どうぞ」


確かにこれじゃ、10頭ぐらいしか入らないな。

とりあえず、馬車5台分ぐらいに増やしてやるか。

それにサービスだ、時間停止も付けてやろう。


「はい、どうぞ。ちなみに鑑定スキルはお持ちですか? 鑑定してみてください。」


「はい。持っております。って、ええ!! 100倍くらいの容量になっているではないですか! しかも、時間停止と出ているのですが本当でしょうか?」


「その通りだと思いますよ。改造しましたので」


「本当に驚かされてばかりです。どれほどお支払いしたら良いのかわかりません。」


秘書が震えている。

驚かせてしまってごめんなさい。

ケーキでも食べて落ち着いてくださいね。


「かまいませんよ。サービスです。これから長いお付き合いをお願いします。では、フォレストウルフは1頭金貨1枚でどうですかね。」


「それは相場より安すぎますよ。」


「私も持っていても仕方ないので処分できて有難いくらいです。」


フォレストウルフを全て移し替えた。


「入手してほしい素材がありましたら依頼してください。ギルド経由でも個人的にでも結構ですので。」


そうこうしているうちにカレーライスが出来上がった。

流石ミートさんだ。

米の食べ比べができるようにしてくれた。

まず、細長い米を食べてみるとやはりパサパサしたタイ米のようだった。

カレーがとても合う。

もう1つは日本米に近い仕上がりだったが忘れていた!

精米されていない玄米だった。

残念だが固い皮があり触感が悪い。

しかし、甘味があり、精米すれば確実にうまくなるだろう。

残りのもう1つはもち米だった。


「3種類とも定期的に入手していただきたい。特に2つ目は精米すれば求めていた米になりそうだ。」


「精米が良くわかりませんがかしこまりました。それにしてもこのちょっと辛い茶色のタレは非常にいい香りと食が進む味ですね。」


「これは俺の故郷の食べ物でカレーっていう名前なんだ。」


その後、世間話をし取引が終了した。

他国へ商売に行くときは護衛を依頼したいとお願いされた。

ついでに余った家具も買い取ってくれた。

良い関係を築けそうだ。


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