第58話 地球の作物を植えてみました
ふと、地球の作物ってこっちじゃ作れないのだろうかと思った。
思ったらやってみるのが一番だ。
ショップを使って種を購入する。
とりあえず、大根、人参、キャベツ、ネギ、玉ねぎから試してみることにした。
庭に出ると農場担当の長女ティアがいた。
「ティア、この種を蒔いてくれないか。もしかするとダメかもしれないが、実験なので芽が出なくてもがっかりしなくてもいいぞ。」
「わかりました、旦那様。お母さんに渡して蒔いてもらいますね。」
そのまま裏庭に回り、今度はテレサに会い苗木を渡した。
こちらはリンゴ、モモ、柿、梨、葡萄で試す。
これが成功したら、種と苗木を大量に入手しようと考えている。
こっちの野菜や果物は品種改良などほぼ考えていないだろうと思われほど原種に近い。
だから味も今一つなのだ。
それから婚約者3人やミルクとイチャイチャしながらのんびりしていると1週間が過ぎた。
「旦那様! 大変です。先日の種から芽が出てきました。お母さんの話では全部の種から芽が出始めたので行けそうだと言ってました。」
「おお、それは良かった。じゃあ、追加の種を渡すぞ。キュウリ、ナス、カボチャ、レタス、ホウレンソウ、トウモロコシ、白菜、ピーマン、トマト、大豆、小豆、小麦、大麦、メロンにスイカだ。あと、ジャガイモとサツマイモの種イモも渡しておくぞ。イチゴの苗も植えておいてもらおうかな。ニンニク、ショウガもいいね。」
「いっぱいありますね。持ちきれないのですよ。」
「そうだ、農業チームにもマジックバックを渡しておこう。ちょっと待ってな。」
創造で巾着袋を作った。
小学生のときに上靴を入れていた巾着袋のような感じだ。
それに時空間魔法を付与し、収納無制限で時間停止付きのマジックバックになった。
巾着に種と苗を入れてティナに渡した。
「マジックバックの管理はハンナに任せるんだぞ。無くすなよ。」
ティナがハンナの元に走っていった。
野菜がいけたなら果樹もいけそうだな。
良し、ミカン、クリ、ビワ、キウイ、サクランボ、ブルーベリーを植えてみよう。
裏庭に回るとドライアドのサリナが居たので新しい苗木を渡した。
早速植えてくれて成長促進のスキルを発動してくれたようだ。
みるみる葉が生い茂り、立派な樹木になった。
「サリナ、どれくらいで実がなりそうだ?」
「たぶん、来年には実が成るよ。あまり成長を早め過ぎちゃうと幹が割れて枯れちゃうんだ。」
通常、3~5年はかかるだろうからものすごく加速しているのは確かだな。
来年が楽しみだ。
表の庭の農場も裏庭の果樹園もほぼ地球から仕入れた地球の作物になってしまった。
屋敷内から出さなければいいよね。
メリーナ様が干渉してこないということは問題ないのだろうと判断することにした。
ティアは呆れていたが。
あとで花壇の花々も地球産に変えようと企んでいる。
うちの敷地は世界樹の結界で許可したもの以外立ち入ることができないので外に漏れることはないだろうと思っている。
それからちょっと気になっていたことがあったので世界樹の化身であるメルモに会いに来た。
「メルモさん、ちょっといいですか?」
「メルモじゃ! 呼び捨てにしろと言ったではないか。」
「すいません。では、メルモ。俺は地球のうちの庭に生えた世界樹に触ったら、こっちに転移しちゃったんだ。もしかして、君に触れたら地球に戻れたりしない?」
「半分正解で、半分不正解だ。可能、不可能かで言ったら可能だ。しかし、今は無理だ。魔王を討伐し、メリーナ様の魔力がMAX状態になった時のみ転移が可能になる。だから、まずは魔王を討伐しないとダメだな。」
「なるほど、向こうからまた戻ってくることはできるのかな?」
「正直難しいと思う。もしお前たちを送り返したらメリーナ様の力はかなり消耗してしまう。回復するまで相当な時間が必要だろう。」
「もしかして、俺が異世界転移のスキルを覚えればいいんじゃない? メルモに世界樹間をつないでもらったらいけんじゃね?」
「それはお前の魔力がメリーナ様以上になるってことが前提だ。」
「なるほどね。まあ、帰れる可能性があるってことがわかっただけで良かったよ。今は帰りたいという感情が無くなりかけているんだけどね。」
「ちなみにわらわと向こうの世界樹をつなげて周囲を覗くこともできるのだが。興味はあるか?」
「え? ちょっと待った! 静香を呼んでくるから待って!」
「静香、メルモが向こうの世界を覗けるそうなんだ。だからお前の母さんを見てもらおうと思ってな。」
「え? 本当ですか!? ママは元気にしてますか?」
「ちょっと待て、2人ともわらわの手を握れ。」
しばらくすると脳裏に懐かしい風景が見えてきた。
うちの庭だな。
あ! 母さんだ。
洗濯を干している母さんが見えた。
元気そうで良かった。
視界が変わり、隣の家が見えてきた。
あ、春菜だ。
春菜も元気そうで良かった。
目をあけると静香が涙を流していた。
「一応、言っておくが。お前たちがこちらに来た時に記憶の操作が行われているはずだ。お前たちは存在しなかったことになっていると思う。詳しくはメリーナ様に聞いてくれ。」
「ありがとう。本当にありがとう。懐かしい家族が見れて良かったよ。俺はこっちで幸せになる決心が出来たよ。」
「私もこっちで真治さんと幸せになるわ。戻ったら真治さんが近所のおじさんになっちゃうしね。あはは。」
酷いこというな。事実だから否定できないが。
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