第15話 王都へ向けて出発
恒例のギルマスのボヤキが始まった。
「お前たちは毎回どれだけ騒ぎを起こせば済むのだ。オークキングを討伐しただと? キングはAランク相当の魔物だぞ。先日Cに上げてやったばかりじゃないか。
もういい! お前らはBにランクアップだ。あと、お前たちに王女様から指名依頼が入っているぞ。王都までの護衛だ。キングが居たってことは相当の数のオークを狩ったんだろ? この町ではもう間に合ってるから王都で売ってくれ。じゃあな。」
受付のカレンさんにギルドカードを更新してもらった。
その際に討伐数を確認したようで顔色が悪くなっていた。
とりあえず、報酬の精算をしてもらう。
「まず、オーク集落の殲滅の報酬が10金貨、王女様の依頼のキングの睾〇が50金貨、キング討伐報酬が100金貨、クイーン討伐報酬が80金貨、ジェネラル討伐報酬が50金貨、ナイト、マジシャン、プリーストがそれぞれ5金貨×15頭、ハイオークが1金貨×50頭、オークは150頭×1銀貨で処理します。
合計、415金貨150銀貨となりました。」
先日まで金欠で悩んでいたのがウソのように大金持ちになってしまった。
あと、王女様の護衛かあ。
なんか面倒に巻き込まれそうだな。
そろそろ拠点を移すのもいいかもしれない。
王都も見てみたいしね。
ということで、王女の護衛依頼を受けることにした。
それに王都を拠点にすればダンジョンにも行きやすくなるそうだ。
『ティアはどう思う? 王都に拠点を移していいかな?』
『問題無いですよ。この町の周辺ではミノタウロス以上の魔物はなかなかいませんので。キングとの遭遇はラッキーでした。』
「王女様の護衛をしながら王都に行って、拠点を王都に移そうと思うんだがどうかな?」
「いいんじゃない? 王都は大きいらしいし、楽しそうだよ。」
「メイも王都に行ってみたいです!」
「じゃあ、決まりだね。王女様の依頼を受けに行こう。」
王女様は領主様の館に滞在しているそうだ。
「王女様、ただいま戻りました。ご依頼のものも手に入れてきました。あと、護衛の方も承ります。」
「ご無事でなによりです。え? キングですか! ありがとうございます。これで姉夫婦にも子供が授かるでしょう。護衛の方もよろしくお願いします。実は先日の盗賊に護衛の者がやられてしまい、生き残ったのは私と御者だけだったのです。キングを倒してしまう実力の真治様たちが護衛をしていただけると安心です。」
「それでいつ頃出発しますか?」
「真治様のご都合で結構です。私は明日でも問題ありません。」
「では、明日出発しましょう。」
「よろしくお願いします。私はもう一人御者を雇っておきます。」
ということで、明日から王都に向けて旅に出ることになった。
俺たちにはルームがあるので旅の準備は何もない。
だが、王女様に確実にバレるだろう。
かと言って、今更不自由な野営なんかしたくないしなあ。
『どうしようか、ティア。この際、王女も部屋に入れてしまおうか』
『口止めしておけばいいんじゃないですか? 中を見たらどれだけやばいか理解できると思いますし。』
『そうだね。御者はしゃべりそうだから却下だ。』
次の日の朝、領主様の館で王女様と合流した。
「おはようございます。王女様。」
「おはようございます。王女様は止めてくださいまし。クリスと呼んでください。」
「それではクリス様、よろしくお願いします。」
「様もいらないのですが。これから長い旅となります。だいたい馬車で2週間ほどはかかると思います。堅苦しいのは無しでお願いしますね。では、馬車にお乗りください。」
馬車の中は意外と広く、4人で乗っても余裕であった。
でも、この空間でおならなんかしたら大変なことになるだろう。
そして、この揺れがしんどい。
すでに気持ち悪くなってきた。
「早速で申し訳ありませんが、ちょっと休憩してもよろしいでしょうか?」
「おトイレですか? 御者に指示しますね。」
すぐに止まってくれたのでちょっと離れたところに行きリバースした。
戻ってからクリスにお願いしてみた。
「クリス様、ちょっと馬車を改造してもよろしいでしょうか?」
「え? 改造ですか? 良くなるのであれば構いませんが?」
「では、遠慮なく改造させていただきます。」
『ティア、手伝って。この馬車は無理だ。身体が持たない。
空間魔法で中を広げてリビングにしちゃうよ。トイレも付けてね。』
馬車に触れ、空間魔法を発動した。
馬車が輝き、御者とクリスが驚いていた。
「あら? 見た目は変わっていないようですね。」
「実は、ちょっとだけ馬車を浮かせてます。これで揺れることはないと思いますし、軽くなっているので馬への負担も減ってますよ。」
「クリス様、ちょっと内緒話を。『実は中を改造してしまいました。御者さんには内緒でお願いしますね。』 では、馬車に乗り込みましょう。」
クリス様が唖然としている。
さっきまでは座席しかなかったのに、今はリビングに変わっていたのだから。
ソファに腰掛け、メイに紅茶を入れてもらった。
静香ちゃんにはやりすぎじゃないの?と言われた。
小さなキッチンとトイレ、シャワー室も完備している。
そして揺れないのだ。すばらしい!
モニターで外の様子も見れるし、マイクで御者に指示もできる。
先日作ったショートケーキでティータイムだ。
ケーキのおいしさにクリス様がやっと戻ってきた。
「なんですか、このお部屋は! これのどこがちょっとの改造ですか! 面影すらないじゃないですか! って、このお菓子、すごくおいしいですね。」
「快適な旅ができるのですから良いじゃないですか?」
遠慮なく改造するって宣言しましたしね。
クリス様も含め他の3人が呆れ顔である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます