第28話 ダンジョン攻略 ①

朝飯を食べたあと、装備を整え王様、王妃様、クリスに旅に出る報告をする。


「これからダンジョンに向かいます。レベルを上げ強くなって戻ってきます。護衛に鈴音を置いていきますので面倒を見てあげてください。」


「無事に帰ってくるのじゃぞ。」


「旅のお話、楽しみに待ってます。」


「浮気は許しませんからね。」


「はい、では行ってきます。」


「そうじゃ、忘れておったわ。馬車を1台持っていくといい。ワシからのプレゼントじゃ。」


「ありがとうございます。では一台頂いていきますね。」


あまり派手ではなく、小さな馬車を選んだ。

大きさは空間拡張があるので関係ない。

車内はクリスの馬車と同じようにリビングにした。

もちろん、トイレ、シャワー、キッチン付きである。

馬車を引く馬には、魔物召喚を使いバトルホースを召喚した。

すぐにテイムし、念話を付与した。


「初めまして、俺は君の主となる真治だ。君は女の子だね。じゃあ、名前はリッカだ。よろしくね。」


リッカが光ってネームドモンスターに進化した。


「真治様、よろしくお願いします。」


「リッカにはこの馬車を引いてほしいんだ。軽量化して負担を少なくするからよろしくね。」


「かしこまりました。」


『リッカに道案内をよろしくね。雑魚モンスターが襲ってきたときはリッカに倒してもらうからリッカに教えてあげて。よろしくね、ティア。』


揺れないようにちょっと浮かせて。

これで良しと。


「出来上がったからみんな乗り込んで。出発するよ」


静香とメイ以外は驚くよね。

小さな馬車の中が広いリビングになっているんだから。

そのうち慣れるでしょう。

もうすでに走り出しているのだが誰も気づいていないようだ。

揺れないからね。

あ、まずいことに気が付いた。

無人で馬が引いている馬車って怪しいよね。

普通に暴走していると思われるよね。

慌ててリッカを止め、俺が御者の振りして手綱を握った。

門でダンジョンに行くことを報告し王都を出た。

あとはリッカとティアに任せて俺も車内に戻った。

移動の暇な時間は料理を作り溜めする時間だ。

まずは暇にしている少女たちにお菓子を作ってあげようかね。

最初にクッキーを作った。

紅茶とともに出してやると女子会が始まった。

恋愛話から身体の悩みまで俺が聞いてはいけないような話をしている。

聞いていないふりをしながらパンケーキを作った。

パンケーキの焼ける匂いで静香のテンションが上がった。

生クリームとフルーツを添えて出した。

一口食べた後は全員のテンションが上がったのは言うまでもない。

死ぬほどパンケーキを焼かされた。

そんなことをしている間にダンジョンの町が見えてきたらしい。

予定よりもかなり早く着いたようだ。

門の手前で馬車を収納にしまい、リッカにはルーム内の鈴音の部屋で待機してもらった。

徒歩で町に向かい、門をくぐった。

そのままギルドへ向かい、ダンジョンの情報を聞く。


「すいません。ダンジョンの情報を教えてほしいんですが。」


「はい、こちらのダンジョンが初めてですか? まずは登録いたしますのでギルドカードの提出をお願いします。ダンジョンは事故の多い場所でもあります。入る時と出るときには必ず一度ギルドに報告をお願いします。」


「了解です。これから入る予定ですので入場手続きもお願いします。」


「かしこまりました。こちらのダンジョンは中級ダンジョンです。Cランク以上が推奨です。ランクの低い方もいらっしゃいますので無理はしないようにお願いしますね。5階層以降はLv.30以上が推奨です。それまでは5階層まででレベ上げをお勧めします。6階層からは罠がございます。また、たまに宝箱が出現します。6階層からが本当の探索が始まると言われております。あと、そちらにある売店では5階層までの地図を販売しています。よろしければ購入されてはいかがでしょうか? 以上がお話できる情報になります。さらに詳しい情報は有料となります。」


「なるほど、ありがとうございました。それでは行ってきます。」


ダンジョンの入り口に向かうと門番が居た。


「ギルドで入場手続きをしたか?」


「はい、してきました。」


「じゃあ、登録されていると思うからギルドカードをこの水晶にかざしてくれ。」


水晶が青白く光り、入場が許可された。

出るときもこの水晶にカードをかざすことで登録が解除されるそうだ。

中に入るとホールになっていて、2つの魔法陣があった。

片方は帰りのゲートで、もう一方は攻略の済んだ階層まで転移するゲートになっている。

今の俺たちには使えないゲートである。

そのまま進み1階層の始まる扉を抜けた。


そこには水風船のようなスライムがフヨフヨ動いていた。

剣で突き刺すと弾け、小石のような魔石が残った。

このスライムの魔石は10個で1銅貨にしかならない。

スライムは無視して進む。

ゴブリンが現れた。

戦闘は新メンバーに任せた。

あ! 新メンバーに加護もらうの忘れてた。

するとすでに加護が与えられていた。

さすが叡智の女神だ、先読みしてくれてる。

ゴブリンを倒しながら最短ルートで2階層を目指す。

2階層への階段を降りると石碑があった。

石碑に触れると脳内にアナウンスが流れた。


『1階層制覇おめでとうございます。2階層の登録が完了しました。』


登録されたらしい。

おそらくこれで入り口の転移ゲートから2階層のこの石碑に転移することができるのだろう。

全員に石碑を触らせた。

石碑の隣の壁にルームを起動し、今日はここまでにして休むことにした。

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