第53話 魔王城の場所
依頼を達成したのでポチを連れてギルドに報告に行こうかな。
「ポチ、魔力が駄々洩れだ。少しは抑えてくれ。それじゃ魔物が逃げてしまって戦闘ができないだろ。」
『それはすまんかった。しかし、我には制御できんのだ。お前がやってくれ。』
「はぁ? どうやって?」
『テイムでも眷属化でもしたら良いではないか。我は拒否せんぞ。我は本能的に仲間がほしいのじゃ。群れておらん今までが不安定だったのじゃ。そして、静香よ。もっと撫でてよいのだぞ?』
テイムを唱えた。
拒否しあがった!
「おい! 拒否しただろ。嘘つきめ!」
『すまん。つい、拒否ってしまった。悪かった。』
腹が立ったので眷属化を唱えた。
あっさり許可した。
何だったんだ、全く。
『ティア、テイムと眷属化の違いを説明してくれ。』
『テイムは主人に従うだけです。眷属化は血を分けた兄弟のような繋がりとなります。眷属化の最大の特徴はステータスやスキルの共有化というものがあります。』
『そうじゃ、そのステータスの共有化で我の魔力をお前が管理すれば良いのじゃ。』
『俺とティアの会話にも入ってこれるのかよ。眷属化って怖いな。』
『ちなみに眷属化は死ぬまで解除不可能ですよ。』
次に眷属化を使うときは慎重にならねば。
そんな会話をしていたら辺りは真っ暗になってしまった。
危険なのでギルドには明日行くことにする。
転移で自宅へ戻ることにした。
『ここがおぬしの家か。なかなか立派な家ではないか。』
家に入ると当然のようにポチが揉みくちゃにされた。
本当は10mを超えるでっかい白狼なのだが。
『家の中も見せてもらったし、我は庭で寝かせてもらうぞ。小さくなるのも結構つかれるんだぞ。本来の大きさに戻って寝るとしよう。』
庭で巨大な白狼に戻り、当然ながらメイドさんたちは驚き腰が抜けた。
とにかくポチの魔力、攻撃力はすさまじかった。
もう魔王を倒せるんじゃ?と思うほどだ。
めんどくさいという理由から今まで戦闘を避け、威圧や結界などで敵を寄せ付けず、のんびり過ごしてきたそうだ。
さすがにそんな生活にも飽きて、俺に着いて行こうと思ったらしい。
長年、仲間が欲しい、群れたいという狼本来の本能も関係している。
次の日、ギルドへ報告に向かった。
「調査が完了したので報告に来ました。」
「では、ギルマスを呼んできますね。」
「おう、意外に早かったな。それで調査対象は見つかったのか?」
「はい、真っ白な毛に覆われた巨大な白狼でした。」
「え? よく生きて帰ってこれたな。討伐したのか? 逃げたのか?」
「いえ、仲間にしました。」
「はぁ? どういうことだ?」
「ですから、仲間にしました。そこの静香の腕の中で寝ているのが白狼のポチです。」
「はぁ? 子犬じゃねーか。そんなウソに騙されるわけないだろ。」
「いや、本当ですよ? じゃあ、訓練所に行きますか?」
「今、訓練所は空いてるか? そうか、空いているようだから行くか?」
訓練所に向かい、ポチに元の姿に戻ってもらった。
「はあああ? なんだこの巨大な狼は! しかも、やばい気配がビンビン伝わってくるぞ。魔王の側近かなにかか?」
「いや、神獣だそうですよ。それに俺と眷属契約を交わしているので人に危害を加えませんよ。安心してください。」
「それじゃ、テイムの証明アイテムが必要だな。本当にお前たちは規格外だな。毎回大量の素材と魔石を持ってくるし、魔族をバンバン倒してくるし、驚かされてばかりだ。」
今回の報酬とテイムの証をもらってギルドを後にした。
もちろん、使う予定の無い邪魔な素材や魔石はギルドに引き取ってもらった。
『お前たちは魔の森の左側エリアには行ったのか? 我が同胞が居るはずなのだが。奴も暇にしているだろうから魔王討伐に着き合わせれば良い。』
「そうなのか、じゃあ行ってみるか。ちなみにどんなやつなんだ?」
『所謂、ドラゴンだ。戦わないことを勧めるぞ。今のお前たちの戦力ではまず勝てないだろうな。』
ドラゴン! このファンタジーな世界にはきっといるだろうとは思っていたが、やはり居たんだな。
会いたい。そして、仲間にしたい!
「よし、今度は左側に行ってみよう。」
『そういえば、お前たちは魔の森の先に何があるのか知っているのか? おそらく、前回の勇者パーティしか到達しておらんはずだから知られてはいないのではないか? 魔の森の先には魔王が封印された魔王城がある。女神の力が落ちたり、魔王の力が増すと城から魔族が森へ降りてくるのだ。今の状態がそれじゃ。左右に我と奴がいるからこそ、上級魔族は魔王城に封印されているというわけだ。』
「なるほど、このまま真っすぐ進めば魔王城に辿り着くということか。って、ポチは俺と旅をしてもいいのか? 上級魔族が出てきちゃうんじゃないのか?」
『まあ、多少わな。倒してしまえば問題無い。女神の力も戻ってきているようだし、大丈夫だろう。それに奴には神より授かった結界がある。だから奴に会えば問題はない。』
「とにかく、会いに行けってことだな。」
ということで、次の目的地が決まった。
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