第67話 ブルーマリンまでの護衛依頼
「リサさん、もう一か所案内してもらってもいいですか?」
「はい、どちらでしょうか?」
「奴隷商に案内してください。米作りの専門家の農婦を雇いたいのです。我が家で米を作ってもらえないかと。」
「了解しました。ちょっと裏通りになりますので着いてきてください。」
この街の奴隷商も綺麗な建物であった。
「これはリサ様、本日はどのようなものをお探しでしょうか?」
店に入ると身なりの綺麗なご老人が声をかけてきた。
「今回は私ではございません。こちらの真治様が米作りのできる農民をお探しです。見繕ってくださいな。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
農業経験者を数名連れてきてくれた。
すべてローマン出身の農民だったもの達だ。
米作りの経験もある。
ゴンゾウ 45歳 農夫
サスケ 30歳 農夫
サツキ 30歳 農婦
サナエ 28歳 農婦
アキナ 25歳 農婦
クルミ 23歳 農婦
チエミ 22歳 農婦
「農婦の5名を雇うので精算をよろしく。」
あまりにも即決だったため、店員もリサさんも唖然としている。
ティアに身元調査を行ってもらっているので問題無いのだ。
「それでは1人当たり10金貨でよろしいですか?」
「問題ない。それで頼む。」
「リサさんはシャーロットを連れて先に城に帰ってください。私は5人を我が家に送り届けますので。」
「了解しました。転移魔法が使えるのですね。ではお先に失礼します。」
新メンバーの5名を連れて我が家に転移する。
「君たち5名にはとりあえず、そろそろ収穫を迎える畑の手伝いをしてほしい。行く行くは米作りを行う予定だ。後のことはシーナさんに任せますのでよろしくお願いします。」
明日は朝市を見に行く予定だったが、また転移で訪れれば良いだろう。
明日は朝から護衛だ。
俺一人でフルタイムで3日はきつい。
蒼の絆のメンバーを連れてこようと思う。
「静香、メイ、アカネ、シルク、マリン、カレン、ミレーユの初代メンバーには護衛の依頼に着いてきてほしいのだが良いか?」
「「「はい」」」
「明日の朝、迎えに来るから準備しておいてくれ。期間は3日間の予定だ。」
転移でローマン城に戻った。
「リサさん、ただいま戻りました。」
「お帰りなさい。晩御飯の準備が出来ておりますのでお部屋に案内いたします。」
部屋にはシャーロットが待っていた。
「おかえりなさい、真治様。お食事にいたしましょう。」
今日も魚がメインの食事が並んでいた。
ずっと肉ばかりの生活だったのでありがたい。
次の日の朝、蒼の絆メンバーを連れ東門でアレクの到着を待った。
しばらくすると以前会ったときの馬車が現れた。
「おはようございます、真治様。護衛よろしくお願いします。」
「おはようございます。こちらにいるのが選りすぐったうちのパーティメンバーです。全員Sランクの冒険者ですのでご安心ください。」
「え? 一体報酬はおいくら払えばよろしいのでしょうか?」
「まあ、冒険者ランクは気にしないでください。通常料金で問題無いですよ。私たちもブルーマリンに買い出しに行く予定でしたのでついでですから。」
「ありがとうございます。では、参りましょう。」
アレクの背後に隠れながら娘のソフィアが会釈をした。
馬車を囲む感じの隊列を組んだ。
こちらは徒歩なのでかなりゆっくり馬車が進んでいた。
「御者さん、もっとスピード上げても大丈夫ですよ。私たちは体力が化け物並みですので。」
俺は先頭を走り、探索しながら前方に障害となる魔物が居れば魔法を飛ばした。
全く問題なく1日が過ぎた。
予定よりも早く進んでいるため、ほぼ半分まで来てしまった。
宿泊先に予定していた村も飛ばしてしまったので、今日は野営をすることになった。
晩御飯は干し肉などの携帯食になりそうだったので俺が振る舞うことにした。
お昼も干し肉だったのでもううんざりだった。
野営と言ったらBBQだよね。
ってことで御者も誘ってBBQをした。
お腹がいっぱいになったので寝床の準備をすることにした。
御者さん用の小さなテントとメンバー+アレク親子用の大きなテントを建てた。
テントのそばに馬車を止めてもらい、馬の世話は御者さんにお願いした。
2つのテントと馬車を含めたエリアに結界を張った。
アレク親子をテントに誘った。
「アレクさん、これから見たことは他言無用でお願いしますね。」
「え? もちろんです。命の恩人である真治様の秘密は絶対に守ります。」
ルームを起動し、2人を招いた。
もちろん、アレク親子用の客間も追加してある。
「え? 転移魔法でどこかの家に移動したのですか?」
「いえ、これは異空間魔法の部屋です。第2の我が家のようなものなので寛いでください。お風呂もございますのでどうぞ。」
「旅の途中とは思えませんね。今後も旅のご同行をお願いしたいくらいです。」
「暇な時でしたら構いませんよ。それに私の行ったことのある場所でしたら転移で移動できますよ。」
「それは有難い。それに今回は一度も魔物に襲われていないのですよ。幸運なのですかね。」
「ああ、それでしたら近づく前に魔法で倒していましたので進行の妨げにはなりませんでした。」
「さすがSランク冒険者ということですかね。このペースですと明日中に町に着きそうですね。」
昨夜立ててしまったフラグを回収することになってしまった。
また盗賊が待ち伏せしているようだ。
アレクさんは誰かに狙われているのではないだろうか?
「アレクさん、前方に盗賊の集団が待ち構えているのでこの川の畔で休憩していてください。静香、メイは俺と盗賊を壊滅してくるぞ。残りはアレクさんの警護に当たってくれ。」
静香とメイの手を握り目視できる距離を転移で進む。
アレクさんが狙われているかもしれないので、なるべく生け捕りにするかな。
ざっと50人ほど潜んでいるようだ。
「静香、殺さない程度で拘束してくれ。」
「ブリザード!」
地面と足を氷着かせ動けなくした。
「メイ、親分と数名を残して殺してしまって良いぞ。」
メイが高速で移動し姿が消え、次々と首を落としていった。
周囲の手下どもの首が落ちていくのを見て、親分らしき大男が震え出した。
俺は親分の前に転移し話しかけた。
「盗賊のみなさん、こんにちわ。あなたがボスで間違いないか? 聞きたいのだが誰かを目的にここで待ち伏せをしていたのか? それとも偶然か? 誰でも良かったのか? 10秒以内に答えてくれ。」
「誰でも良かったんだ。誰の依頼も受けていない。」
俺の嘘感知が反応した。
隣の手下の首を切り落とした。
「俺にはスキルがあってな。嘘が分かるんだよ。次はあんたの首が無くなるかもな。」
「ひいいっ。すまん、嘘をついた。隣の領主に依頼されたんだ。ブルーマリンの領主を殺せって。」
「そうか。じゃあ、王城で証言してくれるか? だったら殺さずに置くが。」
「わかった。わかったから、殺さないでくれ。」
盗賊の親分を拘束し、他の手下は切り殺した。
「アレクさん、やはり狙われていたようですよ。犯人は隣の領主です。町を吸収しようとしていたのですかね。とにかく、この親分を王城に突き出してその領主の処分をお願いしてきます。静香、このままアレクさんを送り届けてくれ。俺は一旦城に戻る。」
みんなと分かれ、俺は王城に親分を連れていった。
俺の監視下で白状させ、隣の領主は捕らえられ領地は没収されるそうだ。
俺は盗賊を壊滅させた戦場に戻り、盗賊の首を回収した。
そこからダッシュで馬車を追いかけた。
全速力のダッシュのおかげで数時間で追いつくことができた。
そのままアレクの家に向かった。
夕方、ブルーマリンのアレクの家に到着した。
予定より1日早く到着した。
「ありがとうございました。また命を救われました。なんとお礼を申したら良いのか。」
「犯人も捕まることになったのでもう安心でしょう。報酬は明日で結構ですので今日は我が家でゆっくりしてください。」
「ありがとうございます。それでは報酬の準備をしておきますので明日いらしてください。」
俺はギルドに盗賊の首を渡し報酬をもらった。
親分の分の報酬は王から貰っていた。
その後、メンバーと一緒に市場を巡り、新鮮な海産物を買いあさった。
静香は大きなカニや伊勢エビのような大きなエビが好みらしい。
メイは猫獣人だからか魚に目がないようだ。
アサリやハマグリのような貝類も豊富だ。
とにかく目に着いたものを買いあさった。
今晩の我が家の晩飯は海鮮尽くしになりそうだ。
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