第20話 王様とお食事会

「でも、俺は魔王討伐に向かいます。命を落とす可能性もあります。それに討伐後、元の世界に戻されるかもしれません。それでもクリスを嫁に貰っても良いのでしょうか?」


「元の世界に帰るときは一緒に連れていってやってくれ。」


「考えておきますが、今の俺は16歳ですが向こうでは38歳ですよ? クリスはそれでもいいの? 静香の母と俺は幼馴染で同い年ですからね。」


「こちらの世界では普通ですよ。おじいさんのところに嫁に行く人もいますし、それに一夫多妻制ですしね。私は気にしませんよ。」


全部カミングアウトしてすっきりした。

それでもクリスは嫁に来るのか。

元の世界じゃ未婚だし、まあいいか。


「あ! 忘れてました。クリスも忘れてるよね。キングの睾〇はどうすればいいんだい?」


「そうでした。そのために私は旅に出たんでした。お父様、真治様はオークキングを倒されたのです。精力剤の素材を姉さま夫婦にお渡ししようと思います。」


「ちょっと待て。今、オークキングを倒したと言ったか? もしや、肉もあったりするのか?」


「もちろんありますよ。あと、クイーンやジェネラルもいますが?」


「売ってくれ! 一度は食べてみたかったのじゃ。」


「構いませんが。今夜はうちの方で食事にご招待いたしますので、一緒に食べ比べをしましょう。」


『ティア、リビングとダイニングと風呂を拡張しておいてくれ。クリスの両親2人を招待するだけだから程々でいいぞ。あと肉の下処理と肉に合うレシピの入手もお願ね。』


「それでは私は準備がございますので失礼いたします。また先ほどの客間をお借りしますね。」


客間に行き、ルームを起動した。

うーん。程々にって言ったのにティアさんやりすぎですよ。

リビングが10倍ぐらいになってるし、広すぎて落ち着かんわ!


そのころ、クリスの両親は


「ちゃんと話すの忘れておったわ。王位継承権1位になるって伝えた方が良いだろうな。」


爆弾発言をしていた。

部屋に帰った俺は早速準備に取り掛かる。

出来たものはすぐに収納へ。

時間停止機能付きなので温かいままで保管できる。

まずは通常オークで肉野菜炒めと豚汁を作った。

ハイオークは酢豚、肉団子、角煮に。

ジェネラルは、とんかつとカツ煮、生姜焼きに。

そして、キングとクイーンはシンプルにソテーにしてみた。

豚しゃぶと焼肉で食べ比べって感じにしよう。

あとは白ご飯があればいいよね。


先に3人娘が入浴したあと、冷たいジュースを飲みながらちょっと寛いでもらった。

汗だくで料理をした俺が風呂に浸かってすっきりする。

準備ができたので王様と王妃様を迎えに行った。

まずは夫婦水入らずでお風呂に入ってもらった。

風呂に入っている間に料理を並べ最後の準備をする。

並べてみたら、あれ?作りすぎたかも?

風呂から上がった王様はご満悦な表情だった。

城にも温泉が欲しいというがお断りした。

向こうの文明は仲間内だけでしか使わないと決めている。

外に出してしまえば管理できなくなるから。

王様、王妃様は目の前の料理に目を奪われていた。

見たこともない料理に興味深々だ。

白飯を全員に配り終わったところで食事をスタートした。

キングはA5ランクの牛肉とブランド豚の良いとこ取りをした感じだった。

久々のとんかつもサイコー!

カツカレーが食いたくなってきた。

今度はカレーに挑戦しよう。

王様は無言で黙々と食い、たまにニヤッと笑う。

気持ち悪いです。

でも気に入ってもらえたみたいだ。

王妃様はもっと食べたいのにお腹がいっぱいで食べられないと嘆いていた。


「真治殿はクリスの婿殿だというのに、料理人として雇いたくなってしまう。それぐらいうまかった。」


「それはありがとうございます。またお誘いしますね。」


それで食事会はお開きとなった。

個人的には焼肉が一番うまかった。

明日はギルドに行こうと思っている。



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