第6話 最初の依頼 ①

歩き疲れていたのでドキドキして寝れないなんてことは無かった。

即熟睡だった。

イビキがうるさかったと怒られたくらいだ。

今の所持金ではすぐに破産してしまう。

今日は依頼を受け、所持金を増やすことにした。

朝飯を食い、ギルドへ向かった。

今のFランクでは一つ上のEランクの依頼までしか受けられない。

Eランクのオーク討伐を受けることにした。

受付に持っていくとゴブリンとオークの討伐は常時ある依頼で態々受付で申し込む必要はないそうだ。

討伐証明のゴブリンなら左耳、オークは下あごの牙を持って帰ってくればいいそうだ。

それにオークは肉がうまいので、肉を高く買い取ってもらえるらしい。


「狩りに行く前に武器屋と防具屋に寄ってもいいかな?」


「買うんですか? 別に構いませんよ。」


「いや、買わないよ。お金無いしね。この世界の武器や防具がどんなものなのか見たくてね。俺は創造で作れちゃうからさ、参考にしようと思って。」


「なるほど。良い武器作ってくださいね。期待してますよ。」


まずは武器屋から見ることにした。

ギルドのすぐ前にあったので迷うことも無かった。

短剣、片手剣を最初に確認する。

今の俺の武器は鉄の剣だ。

もう刃がボロボロになってきている。

バーゲン品用の樽の中に無造作に剣が数本入っていた。

中に入っていたのは鉄の剣と鋼の剣だけだった。

それでも1本5銀貨はする。買えません。

次に棚に並べてある通常品を見てまわった。

ミスリルの剣が欲しくなった。


『ティア、解析頼む。これ作りたいんだ。』


『了解です、マスター』


その後、オリハルコンやアダマンタイトなどファンタジーな鉱物で作られた剣も解析してもらった。

次は杖かな。

やっぱりミスリルの杖はいいね。

静香ちゃんにはこれを作ってあげよう。解析よろしく。

双剣も一通り解析した。

今後、仲間になるかもしれない人のためにも盾、槍、斧、ロット、弓、両手剣など一通りの武器を解析した。

次は防具屋に向かった。

ローブや革の鎧など軽装備をまず見てまわった。

今のパーティメンバーは基本的に軽装になると思う。

一応、フルプレートメイルも試着させてもらったが重くて動けなかった。

しかも、シャカシャカ金属の擦れる音がうるさい。

防具屋を出ると隣が服屋だった。

そういや、転移時に着てたジャージしか着替えを持ってなかった。

俺はクリーンの魔法できれいになってたから気にしてなかったが静香ちゃんは女の子だし、そうはいかないよね。

洋服も作ってあげなくては。


「静香ちゃん、洋服も見ておこう。こちらのファッションも気になるでしょ?」


「ありがとうございます。」


静香ちゃんはメイちゃんと楽しそうに洋服を見てまわっていた。

女の子を仲間に加えて良かったと思う。

俺も自分の服を見てまわった。

30分くらいすると2人が戻ってきた。


「あの、言いづらいのですが、こちらの世界の下着が変なんです。替えの下着だけは買いたいと思っていたのですがあれは無理です。下着を作ってもらえませんか?」


「もちろん構わないよ。洋服も気に入った感じのあったかい? アレンジもできると思うから見せて。」


2人でいろいろと洋服を持ってきたがイメージが湧かないので試着してもらった。


「オッケー。解析完了したから狩りから帰ったら作るね。」


『マスター、あの、もう作りましたが? というか、複製というスキルを獲得したので解析しながら同じものを作ってました。武器も防具もすでに収納に入ってますよ。申し訳ないですが、魔力をほぼ使ってしまったので今日の狩りは魔法は無理です。』


『仕事早いな。了解した。なんかお店の人に悪い気がするね。アレンジも可能だよね? サイズ調整とかデザイン調整とか、スキル付与とかしたいんだ。』


『もちろん大丈夫ですよ。魔力が回復してからですね。あと、静香ちゃんの下着はマスターの変な知識ではまずいものしかできないので後程ということで。』


『ちょっ! そこは覗かないでくれ。』


店を出て狩りに向かうことにした。

門から出て森の方へ進んで行った。

新調した武器を収納から取り出し、それぞれに渡した。

全員ミスリル製の武器になった。

途中、ゴブリンが出てきたので試し斬りしてみたが切れ味が断然良くなっていた。

どんどん森を進むとゴブリン以外の気配も感じてきた。

だんだんレベルがあがって気配探知の精度も上がり、何の気配なのかも識別できるようになってきた。

ゴブリンであれば攻撃を受けることはないが、未知の魔物との戦闘にはリスクがある。

防具も新調したものに替えることにした。

俺とメイちゃんはミスリルの胸当てと革のフル装備を、静香ちゃんにはさらに魔力が上がるローブを着させた。

新たな気配はウルフだった。

ウルフは群れで行動するため厄介な魔物である。

しかし、レベルが上がっている俺たちの敵ではない。

メイちゃんは多少噛まれていたが、すぐに静香ちゃんが回復したために問題なかった。

俺は、すれ違いざまに首を切り捨て次々に倒していった。

ウルフの討伐証明部位がわからないのでそのまま収納した。

ウルフやゴブリンを狩りながら目的のオーク生息領域を目指した。

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