概要
不遇な生活から抜け出せたのは、菓子屋 千寿堂の主、伊織(いおり)に見初められたから。
だけど。
結納金は、五十鈴屋にふんだくられ、意地悪な腹違いの妹は、家を出てもいじめにやって来る。
祝言を挙げたくても、なかなかお金は貯まらない。
もふもふあやかしのカワウソと子狸に助けられ、伊織に支えられながら、一生懸命、千寿堂で働く小夏のなのだが。
ある日、五十鈴屋の主人、重太郎がやって来て、「育ててもらった恩を返せ」と、さらなる金を要求。
このままじゃ、いつまでたっても、伊織との祝言があげられない!?
がんばれ、小夏。金を稼げ!
がまんだ、伊織! まだ、小夏に手を出すんじゃない!
祝言を挙げる、その日まで!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼女は愛されて強くなる
作者様の作品を続けて二作拝読しましたが、この方は『閉じた世界』の描写とキャラクターの演出がとても巧みだなと感じます。
作品の年代はおそらくは文明開化以降の時代と思われますが、日本での女の価値や生き方がまだ『閉じている』時代。
この物語は西洋と東洋の文化や価値観が入り交じり移り変わる激動の時代に生きる主人公、小夏ちゃんの和菓子屋さんへの嫁入りを通した彼女の成長の軌跡となっています。
……と、真面目な語りはこの辺りにして。
十代後半の健全な青年がですよ?
祝言を挙げるまでは大好きな奥さんに手を出さないなんてそんな嘘みたいな話が……あるんですよ、ここに。
理性がちゃんと仕事してたね、伊織!(た…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誠実な人間こそが幸せを掴む、和菓子屋華燭物語
引き取られた五十鈴屋で下働きをする小夏。
千寿堂の伊織の元へ嫁ぐことになったが、結納金は八重に使われてしまい……。
丁寧に練り上げられた和菓子のようなこの物語。
もったいなくて一気読みできず、毎日1話ずつ大事に拝読いたしました。
主人公・小夏の処遇や八重や家族からの嫌がらせにムカッとくるのですが、五十鈴屋の姐さんたちの温かさ、ときどき現れるあやかしのカワウソと仔狸が可愛くて……。
小夏が苦労しつつもきっと幸せを掴み取ることができると信じられるので、ハラハラする部分もあるのですが、安心して読み進められました。
そして!
相手役の伊織さん。もうこの人ほど素敵で理想的な男性はいないでしょう。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!頑張り屋さんのふたりが営む和菓子屋さん、今日も素敵なお客が訪れる……!
不遇な生い立ちに、恐れ怯えて生きてきたヒロイン、小夏の元に、縁談が届く。見染めたのは和菓子屋を営む若き主人、伊織。礼儀正しく、沈着冷製、そして優しい。
小夏を庇う時はその背に庇い、護る時は必ずその手で護る。その行いが、いつも優しく暖かい。
そんなふたりが営む和菓子屋さんだからこそ、優しい人たちが、そしてあやかしたちが集ってくるのだ。
そして、ふたりに降りかかる困難も、その優しさが手助けしてくれる。これが、実に痛快。
もう、全編に優しさが溢れていて、とても素敵な和風ファンタジーだと思う。
わたしは、途中でやめられなかった……。読みはじめたら、たぶん、皆さまもです。 - ★★ Very Good!!家族は社会の最小単位といいますが、その社会格差と甘い菓子(甘やかし?)
生まれる社会は選べなくて、そこが閉ざされていたなら外の社会は知れなくて…
でも、厄介払いとばかりに嫁に出されたら、新しい社会が形成されるわけで?
その新しい社会のお相手が、爽やかな美形で(奥さんにだけ)優しかったら?
おまけにもふもふしたしゃべるあやかしも遊びにくるときます。
でもせっかく新しい社会が開けても、旧社会の禍害が当然の顔して搾取を続けます。
二人(と、もふもふ)はこの社会構造を改革できるのでしょうか?
…社会の最小単位は個人?その話はややこしくなるので無視です(笑顔)
最後になりましたが、伊織さん、祝言を挙げるまで頑張って! - ★★★ Excellent!!!そこの疲れたあなた、甘~い和菓子でもいかがですか?
和風ファンタジーというのでしょうか? 江戸時代というには、和装の紳士がいたり、帝都があったりするので、ちょっと違うみたいです。でもまあ、雰囲気は時代劇っぽいですが、時代考証とかそういう堅苦しいものはない方向で楽しめます。
和菓子屋のイケメンのとこにお嫁に行ったヒロイン、小夏。
妾の子として大店でひどい扱いを受けて育ったのですが、どうやら素敵な男性に見染められたみたいなんです。
が、祝言はまだ先。でも、一緒に住んでます。
この二人で、和菓子屋を切り盛りするお話。ただしこの和菓子屋、人間の常連さんばかりでなく、あやかしたちもよく来るみたいです。
素敵な旦那さんと、愉快なあやか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!耐えろ、耐えるんだ、伊織!!
時代劇恋愛ファンタジーの本作。和菓子屋に嫁いだヒロイン。可愛い妖とイケメンで優しい旦那さまに愛されまくる新婚生活……の、はずなんですが。
妾の子だと虐げられて不遇の時代を過ごしてきた主人公小夏ちゃんは、結婚により、やっと悪の巣窟から抜け出せたかと思いきや、しつこく絡んでくる悪役たちのせいで、なっかなか落ち着けません。
しかも境遇のせいで、自分に自信がなく、超絶美人の母によく似ているそうなのに、自分はちんちくりんだと思い込んでいます。そんな悲観的かつ天然ぷりも発揮するので、夫・伊織もいろんな意味で大変です。いろんな意味で。
二人の近々の目標は無事に祝言をあげること!!
なのに、もうっ、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひたむきで健気な心は悪意や過酷な環境もなんのその、というおとぎ話
料理屋五十鈴屋で奴隷同然の扱いを受けている小夏は菓子屋千寿堂の主人である伊織に見初められ……。
主人公を取り巻く環境はかなり過酷で悲惨な境遇。
しかし物語のカラーは明るく微笑ましいのです。
夫である伊織は肝が座っていて小夏をひたすら愛しています。
伊織の兄弟子である鳩羽は生臭坊主。
そして物語に欠かせないあやかし達。
カワウソ、子狸、大天狗、狐女。
彼らには癒やされます。
そして魅力的な敵役No.1の八重。
個人的にはイチ押しのキャラクターです。
正しいものは強く、意地悪なものは滅ぶ。
そんな正道のおとぎ話をお楽しみください。