そこの疲れたあなた、甘~い和菓子でもいかがですか?


 和風ファンタジーというのでしょうか? 江戸時代というには、和装の紳士がいたり、帝都があったりするので、ちょっと違うみたいです。でもまあ、雰囲気は時代劇っぽいですが、時代考証とかそういう堅苦しいものはない方向で楽しめます。

 和菓子屋のイケメンのとこにお嫁に行ったヒロイン、小夏。
 妾の子として大店でひどい扱いを受けて育ったのですが、どうやら素敵な男性に見染められたみたいなんです。
 が、祝言はまだ先。でも、一緒に住んでます。

 この二人で、和菓子屋を切り盛りするお話。ただしこの和菓子屋、人間の常連さんばかりでなく、あやかしたちもよく来るみたいです。

 素敵な旦那さんと、愉快なあやかしたち。ご近所さんだったり、お得意さんだったり、意地悪する人もいるにはいるけど、総じて楽しい日常が流れていきます。

 移り変わる季節と、その時々のお菓子。お節句、お祭り、そしてとうとう祝言。

 世界がひっくり返るような事件は起きないけれど、甘くておいしい和菓子はそれだけでひとつの事件です。

 まだまだ色の塗られていない余白のたくさんある物語。なにかの折りに、きっとこのつづきが描かれると思います。




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