あやかしと可愛い若女将のいる水茶屋で、ちょっと一息つきませんか?

とはいえ、あやかしは見える人にか見えませんし、若女将の小夏ちゃんも最初はもうトリガラでねぇ……。

小夏ちゃん、苦労してきたんですよ。妾の子だからって五十鈴屋さんでこき使われてねぇ。もうね、こんなところとっとと辞めておしまい!ってこっちは思うんですけど、ほら、行く宛もないわけですよ。

ところがそんな小夏ちゃんに縁談が舞い込むわけですね。お菓子屋さんの千寿堂さん。主の伊織さんがまた良い男で。主って言ってもあれですよ。うんと年上のロリ親父とかじゃないんですよ。まだピチピチ(死語)の十代!

こんな若夫婦がですね、もう一生懸命お店を切り盛りして――って、伊織さんはもう何年も一人でそれをやって来てるんで、その辺頑張りまくってるのは小夏ちゃんなんですけど。いや、伊織さんは別のところで頑張ってるって言いますかね。

だってこの二人、祝言まだあげてないんですもん。いまと昔は違いますからね。十代のヤングが、一つ屋根の下でっていうか同じ部屋で新妻が寝てるってのに我慢しなくちゃいけないわけですよ。

さて、そんなほのぼの(一部忍耐)ストーリーだけでは終わりません!
せっかく悪の城(五十鈴屋)から逃げ出したお姫様(小夏ちゃん)の元に意地悪ジジババがやって来るわけですね。異母妹もやって来ます。そいつらまとめて切って捨てろ!なんて私なんかは思うわけですけど、もちろんそんなことが出来るわけもなく。

さぁさぁ、そんなベタな悪役がちょいちょい現れて殺伐とした展開になりつつも、カワウソ子狸ペアに癒され、初々しい新婚夫婦のやり取りにニヤニヤ出来ちゃう本作、ぜひとも甘いお菓子とお茶を入れてお楽しみください。

その他のおすすめレビュー

宇部 松清さんの他のおすすめレビュー941